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米国務長官「歴史的な会談で転換点だ」
4月28日 5時41分

米国務長官「歴史的な会談で転換点だ」
日米の外務・防衛の閣僚協議「2+2」がニューヨークで開かれ、新たな日米防衛協力の指針、ガイドラインについて合意しました。協議のあとの共同記者会見で、アメリカのケリー国務長官は「今回のガイドラインで、日本の防衛能力が、日本の領土だけでなく、アメリカ、そして必要とされるほかの友好国にも拡大されることになった。歴史的な会談であり、転換点だ」と高く評価しました。
ケリー長官は「このガイドラインによって、日本の安全保障が強化され、脅威への抑止力となり、そして、地域の平和と安定に貢献するものとなる」と述べたうえで、「われわれは、大国が自分たちの特権だとして航行の自由を妨げたり、領空侵犯したりすることを拒否する。オバマ大統領が繰り返し断言するように、日本に対する日米安全保障条約の適応は強固なものであり、それは尖閣諸島を含む日本のすべての施政下にある領土を対象とするものだ。日米同盟は世界で最も強固な同盟の一つとなった」と述べて、中国をけん制しました。
また、カーター国防長官も「前回のガイドラインの見直しからこの18年間で、アジア太平洋地域、そして世界の環境は大きく変わった。新たなガイドラインによってサイバーや宇宙空間などの新たな分野で協力できるようになる」と述べました。そして、28日にワシントンで開かれる中谷防衛大臣との会談で、新たなガイドラインに関する今後の役割や任務について話し合う意向を示しました。
また、中国が海洋進出を強める南シナ海での今後の日本が果たす役割について、カーター長官は明言は避ける一方で、「今回のガイドラインでは、地理的な概念の制約がなくなった。日米は、共通の利益に対して共同で対処することができる」と期待をにじませました。

米国防総省高官「意義は日米協力が世界規模に拡大」

新たなガイドラインについて、アメリカ国防総省の高官は「アメリカにとっての重要な意義は、地理的な概念の制約がなくなり日米の協力が世界規模にまで拡大したことだ」としています。
背景には、イラクやアフガニスタンの戦争で、アメリカは大きな犠牲や財政的な負担を強いられてきたのに加え、厳しい財政事情から国防費の抑制を迫られ、「世界の警察」としての役割から脱却したい事情があります。中国が軍備を急速に増強するなか、オバマ政権はアジアを重視する戦略を着実に進めるうえでも、同盟国日本が役割を拡大し、アメリカの負担が軽減されることに期待を示しています。中国が海洋進出を強める南シナ海では、自衛隊が哨戒活動を行うことなどを求めているとみられるほか、中東でも、有事の際、日本のタンカーが通過する原油の主要な輸送路となっているペルシャ湾で、自衛隊が機雷の掃海活動を行うことを想定しているとみられます。
新たなガイドラインで自衛隊とアメリカ軍が協力する範囲や内容は大きく拡大することになり、アメリカは今後、日本に対して安全保障面でより大きな責任を求めていくとみられます。

米国防総省元高官「将来は南シナ海で自衛隊活動も」

アメリカ国防総省でアジア太平洋地域を統括する国防次官補を務めたウォレス・グレグソン氏は、NHKのインタビューに対し、中国が南シナ海で海洋進出を強めている現状に懸念を示したうえで、「中国にこうした活動をさせないよう抑止力を高める必要がある。日本が、中国と領有権を争うフィリピンやベトナムとともに海上での監視活動に協力するなら、アメリカは強く支持するだろう」と述べ、新たなガイドラインの下で、将来的には、南シナ海で自衛隊の航空機による哨戒活動を行うことに、アメリカ政府は期待を示していると指摘しました。
さらに、ガイドラインに盛り込まれた機雷の掃海活動についてグレグソン氏は、自衛隊による機雷の掃海活動の能力を評価したうえで、「日本、そしてアジアの国々は、エネルギーの大部分を中東に依存しており、もし日本がペルシャ湾やホルムズ海峡での機雷の掃海活動に参加することができれば、世界の多くの国々から歓迎されるだろう」と述べました。
また、沖縄県にあるアメリカ軍普天間基地の移設について、沖縄に駐留するアメリカ軍のトップも務めたグレグソン氏は「アメリカは、日本政府と沖縄県との議論に深入りすることには気をつけなければならない。これは日本国内での議論にとどめる必要がある」と述べる一方、名護市辺野古への移設が最善だという考えを強調しました。

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