2008年 08月 02日
【野洲高サッカー部】野洲スタイル GOES ON! |
インターハイ全国大会、野洲が敗けた・・・。
まさかの一回戦敗退・・・。
この「まさか」ぶりは、昨年のインハイ滋賀県予選3回戦で綾羽高校に負けていらいの
ショック。まるでお付き合いしていた女性に、急に去られてしまったかのような。僕は直
接観戦していないので、なんとも言えないけど、聞きかじった話しによると、
◇前橋育英は組織化されたいいチームだった。
◇前橋育英は立ち上がりに勝負をかけていた。
◇8番@潮入啓太選手にはキツいマークがついていた。
◇後半は野洲が怒濤の攻め、前橋育英は完全に引いて守っていた。
◇全体として前橋育英は野洲をかなり研究していたのではないか。
とのこと。インハイ滋賀県予選を危なげなく勝ち上がり、近畿総体では余裕を残しての
準優勝、高円宮杯決定戦トーナメントを制する、など最近、調子を上げているように思
えただけに、今回の敗戦はショック。未だに信じられない。前橋育英もいいチームなの
だろう。ちょっとしたことで勝敗はひっくり返る。ただ前橋育英が野洲をかなり研究し
ていたことは、推察できる。事実、ビックレイクには野洲の試合を撮影するために前橋
育英の車が来ていた。
野洲は相手によって大幅に戦い方を変えるようなことはない。
「5バック気味に守りを固めて、カウンター勝負」こんな戦い方をしている野洲をみた
ことがない。つねに攻撃的なチーム。超攻撃的といってもいい。そのスタイルは、試合
を通じて、そして世代が変わっても変わらない。
いわば超攻撃的であることが「野洲スタイル」。
山本佳司先生が講演会で
◇初めての選手権大会(第81回大会)
◇相手は市立船橋
(この世代の市船はJリーガーを何人も輩出している、この大会の覇者となる)
◇勝てば国立進出
◇野洲は中井昇吾選手を擁する世代
◇試合終了間際、強豪校市船に初出場校野洲、スコアは0-0
◇通常ならば引いて守ってPKに持ち込もうとする。
◇PKになれば勝率は5割になる。
◇しかし野洲は最後のワンチャンスとなるCK時に、GKまでもが攻撃参加した。
◇結果として野洲はボールを失い、カウンターにより0-1となり敗退。
◇野洲の国立進出の夢ははかなくきえた。
◇だた、大会後の選手権の総集編番組で、日本テレビが
「野洲は勝利よりも美しい戦う姿勢を魅せてくれた」
とテロップを出してくれた。
という話しをしてくれた。
野洲は昔から攻撃的なチーム。リスクを冒しながらも攻撃的なチームはカッコイイ。
このとき野洲が守りを固めれば、PK戦で勝ったのかもしれない。しかし、後の語り草
とはならない。つまりはクレバーかもしれないが、あまりカッコヨクはないのだ。そして
「カッコヨク負けた」野洲を観て入ってきたのが84回大会で全国制覇したメンバー。
15才の才能に溢れた、それゆえに自ら恃むところの多い少年達(おそらくはチョカリ
が多い)が行きたいと思うサッカー部はどんなところだろうか。これは、スカト活動が
できず、体育学科ももたない公立高校としては重要なことだ。あくまでも「集まってく
れる」ことを待つしかないからだ。ではどうしたら優秀な選手が「集まってくれる」のだ
ろうか。
「そんなのは簡単だ。強いところに決まっているじゃないか」
と思うかもしれない。それは必要条件だが十分条件ではない。正解は
「強くてカッコイイ」
フットボールでなくてはならないのだ。そして、超攻撃的な野洲はあぶなっかしいけど、
まちがいなく「カッコイイ」。僕もこのチームが好きなのは、「負けない試合」をしようと
せず、常に「勝ちにいく試合」をしてくれるからだ。
そういえば高校の頃、夢中になっていた漫画「スラムダンク」でも、ラン&ガンオフェン
スの超攻撃な豊玉高校が、一番好きだったなぁ。
研究されてしまうことも、野洲が「強豪校」として認識されていることの現れだろう。
「楽しいサッカーが全国を制したとき、それはニュースになった」
これはいつぞやネットで見た、野洲サッカーを評した言葉でもっとも好きな言葉。
鮮やかで情動的で官能的、いいかれば人々を興奮させる要素を多量に含む野洲の
サッカーはセンセーショナルだ。センセーショナルなチームは、人々の情念に訴えか
け、単に「強いチーム」よりも大きな存在として相手にうつる。
王道をいく、よく訓練された組織された「強いチーム」ならば、他のチームは「尊敬」
し「敬意」を払うだけである。しかし、自分と異質なものに対して、人間とは本質的に
「恐怖」を覚えるものなのだ。「尊敬」や「敬意」よりも「恐怖」は人の心を揺り動かし、
対応のために「頭脳」を回転させ、行動を起こさせる内的機動力となる。だれだって
「恐怖」からは逃げたいから。自分たちと異質なサッカーをする(ように思える)野洲
は「恐怖」であり、丹念な研究の対象となってしまうのだ。
相手方の丹念な研究の対象となるのは『野洲スタイル』故の宿命―。
僕はそう思っている。それでも『野洲スタイル』を貫きとおすからこそ、僕らは彼の
チームのフットボールに夢中になる。鮮やかで強烈でカッコイイスタイルをもった
チームのフットボールに夢中になる。人間は鮮明なる物しか強く愛することはでき
ない。例えば、水は無色透明無臭無味である。これを嫌う人はいない。しかし強烈
に愛する人もまた、稀だ。コーラは強烈な色、味、要素を持つ飲料だ。決して近づこ
うとせず、憎悪や偏見(飲むと歯が溶ける)をもつ人々がいるいっぽうで、中毒とい
えるほどに偏愛する人々がいることも事実だ。
『宰相吉田茂』高坂正堯著(中央公論新社)より抜粋
彼はかわらなかった。戦前・戦後を通じて恐ろしくかわらなかった。
おそらくあの時期に吉田と同じ立場にいたものは、吉田と変わらないことをしたであ
ろう。しかし個人の場合もそうであるが、同じことをするのでも、周囲の諸勢力におさ
れつつ、それを行うのと、断固として行うのでは周りにあたえる印象がまるで違う。
前者は「その日暮らし」に終わり後者はひとつの生き方(=スタイル)をつくりだす。
※( )内、さざなみ追記
そう、野洲は断固としてスタイルを貫きとおすからこそ、人々はそれに魅了される。わ
らわれオーバーエイジのものはたまらなくなって試合を観戦しつづけ、時として仕事
まで休む。そして中学・小学校の優秀な選手達は、いつか野洲高サッカー部でプレ
ーすることを夢見る。結果として野洲には優秀な選手があつまる。それは断固として
スタイルを貫きとおすカッコヨサがあるからなのだ。
★ストライカーDX 第86回選手権 野洲×韮崎戦★ より山本佳司監督の言葉を引用したい。
「選手権本大会の抽選が終わってから今日まで、1カ月くらいの期間がある。これが曲者
で、相手チームはこの期間に野洲のサッカーを研究してくる。今日の韮崎も5バックの
ような形で、ウチにスペースを与えてくれなかった」
そして同様記事から引用したい。
「もはや野洲が相手チームに研究されるのは宿命ともいえる。
それを乗り越えるクリエイティビティを、次の試合には期待したいと思う」
今年の野洲の選手達ならやってくれる。僕は信じている。また、試合会場にいけば長め
の髪をなびかせた彼らの、ドキドキするようなプレーが見られる。
試合前のリラックスした表情の彼ら。
試合中の痺れるようなプレーの彼ら。
そして試合後ののんびりした雰囲気の彼ら。
そのどれもが、僕は好きだし、かつ強いチームであるというのは奇跡的なことなのかも
しれない。その「奇跡」を見続けることができる僕は、間違いなく幸運者だ。
これからも、天皇杯予選、各招待試合、高円杯、選手権予選、と試合は続きますね。
そして、また滋賀で野洲高サッカー部のプレーを観られることにワクワクしている。
僕は幸いにも滋賀にいるから、彼らのプレーを毎週末のように観ることできる。
関東にも、全国にも彼らのプレーが観たくてウズウズしている人達はたくさんいる。
「野洲」という名前はそれだけ人々を引きつけるし、期待もされている。
注目度が高いチームなだけに、全国の舞台は疲れたと思います。BBCと京都新聞しか
取材に来ない試合とは桁が違ったと思います。おつかれさま。注目されるのはツラくもあ
るが、むしろ「注目」をプラスのエネルギーにできるのが野洲高サッカー部だと僕は勝手
に思っているのですよ。
また滋賀でワクワクするようなプレーを魅せてくれるのを期待しています。
昨年はインハイ予選3回戦で破れても、選手権は全国大会2回戦までいってくれた。
今年はインハイ予選突破して全国へ。選手権ではやってくれます。
野洲高サッカー部は鋳鉄製じゃなくて鍛鉄製、完成にはまだまだ時間がかかるのです。
その代わり、完成したときの美しさは息を飲む程であり、切れ味の鋭さ舌を巻く程にスゴ
イのです。
心配することじゃないさ。
彼らは一層、本気の本気を出してくれるよ。
やってくれるさ。きっと。
応援よろしくです。頑張れ!
湖国の星☆野洲高校サッカー部!!→ 人気ブログランキング
Tags:#野洲高サッカー部周辺
■
[PR]
by sazanami226 | 2008-08-02 01:31 | 野洲高サッカー部