今年のシャクナゲは顕著な裏年なのか?

 2015-05-01
本日は2015年5月1日 (金曜日) であります。

●昨日の夕方、午後3時50分から淡路島の自生シャクナゲを見にいきました。5月6日に自生のホンシャクナゲの観察会 (お花見会) を催行するのですけど、その下見の意味もあります。ただし、6日に行く予定の場所じゃありません。日没が迫った夕方ということが示していますが、簡単に行けるところであります。標高がごく低いところで谷筋でありまして近くまで車で行けますわ。でも狭い林道ですから図体の大きな車じゃダメです。じつは、毎年シャクナゲ観察会を催行する場所は山の尾根で、急こう配を登る必要があります。気易く行けないところです。

●なぜ簡単に行けるところでシャクナゲの観察 (お花見) をしないのか? といえば、シャクナゲはどんな種類でも深山の麗花といわれ、種類によっては高山植物です。で、簡単に自生シャクナゲが見られたら値打ちがないわけです。シャクナゲは高い山の上に咲くべき花で、文字どおりの “高根の花=高い山の尾根に咲く花” であるべきなんです。海抜200m台などという低い所に咲いてはいけないのです。と言うこともあるのですが、その自生地には小さな実生苗が見られるから盗掘防止の意味もあります。お花見会参加者はみな良識のある人々ですが、どこからその谷の自生情報が漏れて世間に広がるか分かりません。で、残念ながらそのシャクナゲ自生地は公開できないわけです。公開できるのは簡単にアクセスできないところです。行くのがしんどくて二度とゴメンだ、というふうなシャクナゲ自生地ならば盗掘の危険性はかなり減りますわ。淡路島には、希少な植物を乱開発や盗掘から護ろうというナチュラリストが少ないので、しかたがありません。



今年のホンシャクナゲは顕著な裏年だ!
裏の中の裏って感じです。10年に1度の裏年ですわね。淡路島に自生するシャクナゲもそうですが、徳島県の雲早山や高城山など剣山地も、裏の中の裏のようですわね。「今年はシャクナゲのつぼみが少ないわね」 と花を愛する登山者たちが噂していますね。ま、10年に1回の見事な咲きっぷりの翌年に当たるから、しかたがありませんね。ホンシャクナゲやツクシシャクナゲのお花見は、いくらなんでも葉を見るだけってことはないにしても、花がまばらにしか見られないでしょう。剣山や矢筈山の亜高山帯のハクサンシャクナゲは花付きはどうなんでしょうか? 長いこと矢筈山に登ってないから今年は久しぶりに…。年もとったし、つるぎ町側からは標高差がありすぎて、吾輩のよたよたしたアヒルのような足取りでは絶対に無理だから、落合峠から尾根筋を…。(矢筈山1848m)-(落合峠1520m)=328m! これだったら老人のアヒル足でもなんとか…。なんぼ体力劣等児でも、むかしはそれなりに元気で、若いころ、東海地方の学校に行っていたころ長野県出身者の道案内で、国鉄木曽上松駅に晩10時に着いて、徹夜で中央アルプス木曽駒 (2956m) に登りご来光を拝んで、ロープウエーなど乗らずに登山道を歩いて降りて更に平地を歩いて夕方に国鉄駒ヶ根駅まで、1昼夜かけて中央アルプス横断踏破できたけどなあ。寄る年波に勝てれへんわ。

ホンシャクナゲに花がない
↑ ホンシャクナゲの樹に花 (つぼみ) がないわ。

1個だけ見付けたつぼみ
↑ 1つだけ見付けた! 2015年4月30日、兵庫県淡路島南部の某谷の奥で。


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本日の花見2種

↓ モチツツジ×ヤマツツジです。自然に雑種になっています。花の大きさは、モチツツジよりも小さくヤマツツジよりも大きいです。花の色も朱色のヤマツツジよりも薄く、紫味を帯びた桃色のモチツツジよりも濃くなっています。両種の中間の形質を示しています。ミヤコツツジなどという優雅な名が付けられています。
ミヤコツツジ
ミヤコツツジ

カマツカ
↑ カマツカです。小さな花ですが沢山あるので枝に雪が積もったようで意外に綺麗です。カマツカの材は固く、鎌の柄にされたとか。で、鎌柄 (かまつか) が語源らしいですが、いまどき鎌なんて田舎でもほとんど使いませんよね。農家でも非農家でも草刈りはエンジン付きの刈払い機です。鎌なんて使いよったら笑われそう…。


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ダケカンバの樹皮は何のために剥がれるのか?

 2015-04-29
樹皮がはがれ落ちるダケカンバ
「根周り穴」 とか 「根開き」 の話題をしようとするのではありませんが、ここは剣山の北斜面です。海抜1870mぐらい。終日陽が当らない北斜面です。しかしながら派手な 「根周り穴」 が出来ています。したがって、樹木の幹に陽が当たって幹の温度が上昇し、幹の周囲の雪を溶かすといわれている通説は説得力を失います。しかしながら今回のエントリーはそういう話題ではなく、樹木の樹皮が剥がれるのは何のためなのか? という話題ですので、「根周り穴」 の議論は横に置いておきます。 下の3葉の写真は、2015年4月8日の剣山山頂直下のダケカンバ林です。細かなことを申すと、四国山地や紀伊半島の大峰山系にあるダケカンバは変種のアカカンバだとされています。しかしそんな細かなことは本エントリーの話題にはどうでもいいので、ダケカンバという表記で行きます。
ダケカンバの林

ダケカンバの樹皮は、薄い紙程度の厚さの薄皮が次々に剥がれます。はがれ落ちた樹皮が雪上を汚しています。春の残雪ですから雪が汚れていますが、白い雪の上に落ちた赤っぽいダケカンバの樹皮はよく目立ちます。
樹皮が剥がれて、雪上を汚す

↓ 顕著に樹皮が剥がれている個体を写真に撮りました。樹皮が剥がれると言っても本当に薄い膜のようなものが剥がれています。
樹皮が派手にはがれる

●樹皮が剥がれるのは何のためか? という疑問には、まとわりつくカズラやコケや地衣類を払い落すためだ、という説明がしばしば行われます。たしかに一理あります。下の写真は2014年10月5日に高城山で撮ったものですが、カズラ (ヤマブドウ) に樹冠を覆いつくされて結構大木が枯らされてしまっています。ただし、枯らされた樹はヤマブドウの蔓や葉に隠れて見えません。樹木にまとわりついて登るカズラは、ヤマブドウだけでなくサルナシ・ツタウルシ・イワガラミ・ツルアジサイなど色々あります。そういうものが幹にまとわりついてきたならば、登ってくるなと、樹皮をわざと剥がれ落として、うるさいカズラやコケ・地衣類を一緒に払い落としているんだという説明なのですが、たしかに合理的な説明のように見えます。しかしながら本当なのだろうか? 


樹冠がカズラで覆われた木は枯らされる!
カズラに被陰されると枯らされる


ブナの樹皮ははがれないので、地衣類の天国だ!
コケや地衣類がびっしりと付着するブナ

●ところが樹皮が全然はがれない樹が存在するのも事実です。典型例はブナです。ブナの本来の樹皮は白っぽくて貴婦人のような美しさがあります。特に北日本や日本海側のブナは白くて綺麗でシラカンバと見紛うほどです。ブナはなかなか樹皮が剥がれて落ちないので、ブナの幹の樹皮の上にはコケや地衣類がびっしり付着しています。いろいろな地衣類が付着して色々な紋様を描き、まるで望遠鏡で見た月面みたいです。ブナはコケや地衣類の付着を歓迎しているように見えます。コケや地衣類の付着を嫌がっているようには見えません。

●生物の身体を観察すると、その組織や器官のみならず生理や習性にいたるまで実に “合目的的” であると言えます。ほとんど例外なく 「~のために」 という目的がありそうに見えます。たとえば、われわれの目という器官は精密なカメラ眼でありますが、可視光線の波長帯を感知して外部環境を捉えています。夜間になると暗くて可視光線ではダメなので、動物によっては赤外線カメラを発達させているし、漆黒の闇で障害物の多い洞窟にすむコウモリはなんと超音波カメラまでもっています。ヒトも生来目が見えない場合には、聴覚が異常発達して、障害物がある場所を歩く時、自分の足音等の反射を聞いて障害物を “見る” ことが出来る人もいるようです。後天的な音波カメラの獲得か? とも言えましょう。これらは全て外部環境の様子を知るためという明確な目的があります。

●さて、ダケカンバの樹皮がなぜ剥がれるのか? ということを考えた場合、生物の器官や行動は全て目的があるハズだという目でつい見てしまうから、幹にまとわりつくカズラや地衣類を払い落すためだ、なんていう発想になってしまうだけではなかろうか? というのは、そもそもダケカンバの根元に振り落とされたカズラなど見たことがないからです。それに、樹木が生長して幹が太くなっても樹皮が全然剥がれない木も沢山あるからです。ブナやツバキが典型例ですが、樹皮が剥がれないからといって困るようでありません。幹や枝に沢山の地衣類や着生植物を寄生させていて、なんら不都合でもなさそう。かりにツル植物に寄り付かれても、そのツル植物よりも高く枝葉を茂らせていたら枯らされる心配はありません。逆に自分が枝葉をびっしり茂らせたら、取りついたツル植物が被陰されて生長できなくなります。ツル植物との戦いはあるでしょうが、それは陽光を奪い合う戦いであって、それは樹皮の剥離とあまり関係ないのでは?

普通に考えたら、樹木が生長して幹が太るとき、樹皮の下にある形成層の働きで新しい樹皮がどんどん作られ、古い樹皮は幹が太るにつれて外側に伸びていくハズだと思うのですが、ゴムみたいに伸びるわけじゃなかろうから、ひび割れて亀甲状であったり縦に裂けたり、いろいろな紋様が生じます。そして古い樹皮はやがて剥がれ落ちてしまいます。マツ類なんかは典型例で、亀甲状に樹皮が割れていて手で触るとポロリと剥がれおちます。大なり小なり樹皮が剥がれ落ちるのは当たり前で、目立つか目立たないかの違いのように思われます。樹皮が全く剥がれ落ちない樹種もあるんですが、そのばあい古い樹皮がひび割れていく時、そのひび割れの間隙を新しい樹皮が素早く埋めるのではないか? で、剥がれ落ちない? 冒頭の疑問 (設問) の 「ダケカンバの樹皮は何のために剥がれるのか?」 ですが、吾輩の拙い観察と考察では、別に何々のためにという目的などなく、その樹の樹皮の生育様式に従ってたんに剥がれ落ちているだけ、という結論にいたりましたわ。  (でも、まあ、間違っているかもわかりません。)



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暖温帯で一番よく樹皮がはがれる木は、バクチノキか?
ダケカンバは冷温帯~寒温帯に分布する樹木ですが、淡路島全域が属する暖温帯で樹皮が剥がれ落ちることで有名なのはバクチノキです。おそらく、樹皮が剥がれることでは暖温帯の樹木ではトップではないか? そもそもバクチノキという和名自体が樹皮の剥離に関係しています。樹皮が次々に剥がれ落ちることをバクチ打ちにたとえています。バクチ打ちが勝負に熱中するあまり身体がほてって暑くなり、衣服を1枚づつ脱ぐことに似ているというのです。

↓ バクチノキの若木では、樹皮の剥がれがまだ少ないです。
バクチノキの若木

↓ 樹皮が剥がれた直後は白っぽいです。
樹皮の剥がれた跡は白い

↓ バクチノキは古くなると赤褐色というか赤銅色となってきます。古い樹でも樹皮はよく剥がれます。
古い樹になると赤銅色になる

↓ 剥がれ落ちた樹皮をザルに盛りました。初夏から梅雨ごろに樹皮がよく剥がれて落ちてきます。観察している小1時間の間にも、4回幹の上の方から剥がれた樹皮が音を立てて落ちてきましたわ。梅雨ごろにバクチノキの大木を訪れると、根元の周囲に剥がれ落ちてきた樹皮が積もっているのをよく見かけます。樹皮は腐植しやすく、黄色~赤褐色の積もった樹皮が異様な光景をみせます。
剥がれ落ちた樹皮

●バクチノキは淡路島の南部の山岳地帯の裾には意外に多い樹木です。兵庫県版レッドデータではBランクの貴重植物としていますが、大きな樹であり盗ろうとしても盗れるものではありませんので、特別に上掲の写真をどこで撮ったか公開しましょう。庭木にしたい方は種をまけば簡単に苗木ができます。花期は淡路島南部では9月中頃、果期は5月中頃です。写真の場所の集団は今年は裏になるのか? 果実が全然付いていませんワ。山系の南側 (紀伊水道側) では谷ごとにバクチノキが点々と自生しています。 南あかじ市灘山本 住吉神社 の杜 (もり) で写真を撮ったのですが、リンクの国土地理院電子地形図の+マークのところです。南あかじ市在住者で自然が好きな方は、この特異な樹木を観察に行きましょう! なお、動物に注意してください。吾輩が観察中にイノシシが2頭、ウサギも2頭、目の前を横切りましたわ。もし弁当とか持っていたら、六甲山のイノシシみたいに飛びつかれるかも?


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彼らは何をついばんでいるのか?

 2015-04-28
●三羽烏 (さんばがらす) と言えば、その分野を代表するような優れた三人衆を指す言葉でありますが、三羽の鳩 (はと) ならばどういう意味になろうか? などとつい考えてしまいます。公園や寺社の境内などでよく見かけるカワラバトでありますが、休耕田の叢 (くさむら) で何かをついばんでいます。何をついばんでいるのだろうか? と小1時間観察しましたが分かりませんでした。3mぐらいまでは近づけるのですが、いくら警戒心の薄いヒト馴れした彼らであってもそれ以上は近づけません。目をこらして観察しても何をついばんでいるのか全く分からないです。そもそも鳥類の動きは早いです。早すぎて分かりません。彼ら (彼女らかも、彼と彼女かもしれないのですが) は何をついばんでいるのだろうか??

カラスバト

●彼らがいるのは休耕田です。あたり一帯はタマネギ畑が広がっていますが、この田んぼの耕作者が病気でもしたのか、高齢化で農業が無理になってきたのか、後継者がいないのか、あるいは生産物の売価が安くて営農にイヤ気がさしたのか、コメの生産調整の補助金を当てこんでいるのか、また他に深刻な事情があるのか分かりませんが、草生えになっています。この地方の農家たちはセブンーイレブン農業です。勤勉で朝早く7時から田んぼに出て働き、夜遅く11時まで農業倉庫で生産物の調整・包装など出荷作業に余念がありません。もし江戸時代であったならば、淡路島を統治していた阿波藩の蜂須賀家のお殿様から表彰状をいただけるほどよく働きます。そんな地域特性の中で田んぼを草生えにするのは、忌むべき怠惰、恐ろしい堕落とみなされ、周囲でどんな陰口を叩かれているか、想像するだけで田舎の地縁・血縁・因習・風評のがんじがらめの鬱陶しさに人ごとながら暗澹としてきます。

●けれども、カワラバトたちにとっては格好の採餌場のようであります。休耕田の存在がカワラバトたちの生存を保障しているというふうな見方もできます。農家の人々が一人残らず蜂須賀家のお殿様から表彰状をもらえるような勤勉さでは、カワラバトたちは生きていけません。カワラバトたちが帰化動物だとしても、帰化動物や帰化植物が環境省が目くじらを立てて排除するものであっても、あたかも日本在来種かとつい勘違いするほど日本の人里の生態系に密着している以上は、カワラバトたちも田んぼの生態学的ニッチを獲得しているハズです。田んぼに湧く害虫 (農業生産にとって害をもたらす意味で害虫というだけですが) をカワラバトが退治してくれているかもしれません。場所によっては糞公害をまき散らす害鳥であっても、田んぼでは益鳥であるかもしれません。泥棒がいるからこそ警察が仕事が出来るのと同様に、所構わず糞公害をまき散らすカワラバトがいるからこそ、農業ができるのかもしれません。そのへんの事情を知ろうとして、カワラバトたちの食性を観察、どのような田んぼ生態学的ニッチをしめているのか? 小1時間観察しましたが、何をついばみ何を食べているのか全く分かりませんでした…。


タネツケバナ

●休耕田に一面にはびこる草は圧倒的に被植率が高いのが タネツケバナ です。95%以上でしょう。他には、僅かに スズメノテッポウ が見られるだけです。で、一番考えられるのはカワラバトたちがついばんでいるのは、タネツケバナの若い果実か? あるいは花茎の下部に残っている柔らかい葉なのか? タネツケバナに居る虫を獲っているのか? 何だろうかな??


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ワラビと、ハマボウフウのサラダ。

 2015-04-27
●ワラビを大量に採ってきまして、アク抜きをし、2%濃度の塩水 (生理食塩水よりも濃く、海水よりも薄い) に漬け込んで保存しています。出してきてそのまま食べても一夜漬みたいな感じで美味いです。あまり火を通すと柔らかくなりすぎてシャキシャキという歯ごたえがありません。アク抜きの際に熱湯をかけるから、半煮えの状態です。そのまま食べることも可能ですし、サッと湯をくぐらせる程度のほうがよろしい。砂浜に自生する香り高い山菜のハマボウフウと、ワラビとをマヨネーズ・塩・胡椒とであえてサラダにしてみたらどうだろうか? と考えて試作品を作ってみました。意外に美味く、結構なお味です。いけます。

↓ 砂浜海岸に自生するハマボウフウです。半ば砂に埋もれるようにして生えています。葉はペタンと地面に寝るような感じでロゼット状です。写真のものは、葉は羽状複葉です。
ハマボウフウ

↓ これは大きな株です。写真のものは2回羽状複葉になっています。
ハマボウフウの大きな株

↓ これは小さな株です。葉は、まだ単なる1枚だけです。つまり複葉ではなく単葉でです。ただし、中裂~深裂しているから複葉 (三出複葉) になる前段階ともいえましょう。このような小さなものは採ってはいけません、
小さなもの

↓ ハマボウフウは、淡路島では花期は5月中旬以降からですが、すでにつぼみが見えかかっています。
つぼみが見えている

↓ 株の基部を少し掘ってみると赤い葉柄がでてきます。1個体のハマボウフウから葉を1枚か2枚程度間引くように採取します。これならば、その株を枯らすことはありません。
葉柄は赤っぽい

↓ 本日の収穫です。赤い葉柄を食べます。葉柄の基部ほど柔らかいです。葉に近いほど固いです。今の時期は緑の葉は固くて苦いです。食用には適さないのですが、天ぷらならば行けます。或いは湯掻いてから水にさらすと苦みが多少は抜けます。
本日の収穫

↓ 吾輩の試作品です。材料は、ワラビ、ハマボウフウ、エンドウ、リンゴ、ポークソーセージの5品目です。味付けはシンプルにマヨネーズと塩と胡椒で和え物にしました。ハマボウフウは葉柄の下部を “ささがけ” にします。ハマボウフウはセリ科特有の香りが高いのが身上で、薬味にするつもりで使います。むしゃむしゃ沢山食べるものではありません。もちろん生です。火を通すと台なしになります。エンドウは軽く茹でます。ワラビはサッと湯をくぐらせるだけです。リンゴは彩りに入れるだけで、沢山入れるのはマズいです。(産地が東日本だからです)
ワラビとハマボウフウのサラダ (試作品)


近縁種のハマウドは有毒植物?? 食える山菜??
↓ ハマボウフウに近縁のハマウドです。ハマボウフウが砂浜海岸の半安定帯~安定帯に自生するのに対して、ハマウドは砂浜海岸の安定帯~岩石海岸の礫の中~潮風の当たる斜面にあり、同じ海岸植物であっても棲息環境がやや異なります。また大きさも異なります。ハマウドはヒトの背丈ほどか、花茎が立つ時には、しばしば2.5mぐらいになる豪壮な草です。 一般的には、ハマウドは食べられないとされます。多くの文献でも食べられないと記され、有毒植物だからアシタバと間違えて誤食しないようにと注意喚起している書物もあります。で、通説に準拠して一応有毒植物と考え、毒キノコのように赤枠扱いとしました。吾輩も、まだ食べたことがありません。もしハマウドが有毒植物であるならば、どの程度の毒性なのか? 致死量はどの程度か? どういう毒成分があるのか? どうゆう作用機序で中毒症状を引き起こすのか? ということを山菜ファンならば知っておく必要がありましょう。

ハマウド
ハマウド

●ハマウドは通説では有毒植物ということになっていますが、広い世の中にはハマウドを食べている人々がいるのも間違いない事実です。では、食用になる山菜なのか? といえば疑念も残ります。内閣府 沖縄総合事務局 北部ダム統合管理事務所のサイト 「やんばるのダム」 を閲覧すると、トップ>北部の自然>やんばる野草資料館>野草料理の作り方>ハマウド (セリ科) にハマウド料理が3品記述されています。ハマウドが山菜 (食べられる野草) 扱いです。茎や花が食べられるということで、天ぷらや炒め煮にするらしいです。

●本土じゃ、まあ、ほとんどの人はハマウドを食べないのですが、沖縄では立派な山菜 (海岸にあるものを山菜と表現するのはヘンですが) なのか? ハマウドは有毒で食べられないと先入観をもっているだけなのかもしれません…。そういえば、アシタバとハマウドの両種の分布が重なっている関東~東海~伊豆諸島で、ハマウドをアシタバと見誤って食べたということが相当あるハズだと思いますが、中毒したというニュースなんて聞いたことがないですわね! やっぱり、食べられるのかも? 美味いのか美味くないのか分からんけど…。 

●ただまあ、ちょっと気がかりなのは、沖縄で食べているというハナシです。かつて歴史的には琉球王朝が繁栄し、沖縄はヤマトとは別の国です。島津藩 (鹿児島藩) が武力で制圧してヤマトに併合しましたが、言葉は日本語の亜種であって英語とドイツ語の差に相当する距離があります。伝統音楽でも民族衣装でも建築様式でもヤマトとはまるっきり異なります。当然、食文化も異なり、飢饉のときには有毒植物であるソテツの実を毒抜きして食べる風習があるようです。で、ひょっとするとハマウドの中毒しない食べ方があるのかも?? いろいろ考えたら、地方によってハマウドには毒のある系統と毒のない系統があったりして…。ちなみに、キノコのカキシメジなんかは地方によって毒のあるのと毒のないのが存在するようです。あるいは、単に味や食感が不味いということで食用不適だけなんですが、沖縄の人々は料理が上手で食用不適なものでも上手く調理して食べてしまうとか…。ハマウドを試食する勇者がおられたら、試食レポートをぜひお聞きしたいものです。


(なお、吾輩は試食など絶対にしません。案外、石橋を叩いて渡る慎重派でございます。頑張らない、張り切らない、率先してやらない、人様の後ろをついていく、ということを人生のモットーとしております。先駆者が何人か試した後を行きます。列の先頭ではなく後尾を行きます。)


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今年のシャクナゲのお花見は?

 2015-04-25
山の花が昨年よりも1週間早いようだ!

淡路島自生のシャクナゲお花見会はどうなるんだろうか?
今冬は特別に暖冬というわけではなかったのですが、3月中旬以降暖かい日が多く積算温度がどんどん加算されたためか、山の花の開花が1週間程度早いような気がします。四国の山では例年5月の連休ころに咲くアケボノツツジが、もう満開になっているらしいです。恒例の淡路島のシャクナゲを見る観察会 (お花見会) は5月の連休中じゃないとダメですわね。3日、4日、5日、6日のうち、吾輩の都合を申せば3日が商売でテンテコマイです。4日もヤボ行事があります。で、5日と6日しか空いていません。2日の土曜日も視野に入ります。一体どうなることやら?? 

選択肢は、5月2日、5日、6日、であります。

●ことしは、5月24日に、徳島県の雲早山(1496m)、高城山(1632m)、の尾根でホンシャクナゲ・ツクシシャクナゲ・両者の中間型のお花見をしたいと思います。当該山域では海抜800-1600mにシャクナゲが見られるから、早く行っても遅く行っても大丈夫です。なぜならば花前線は標高100mを2日ぐらいかけて登っていくからです。分布の下限と上限では満開に10日か2週間ぐらいのズレが出来るので、登る道すがらどこかで満開! これが深い山 (高い山) のいいところなんです。でも、まあ今年のシャクナゲは明らかに裏年みたいですわね。


以下に、4月16日に淡路ファームパークで撮ったシャクナゲの写真を陳列します。


↓ 西洋シャクナゲですが品種名は不明です。ここまで赤いと目が痛くなってきます。原色ケバケバしい感じがするので、もう少しおとなしい色のほうがいいかも?
西洋シャクナゲ(品種不明)

↓ これも西洋シャクナゲですが品種名は不明。これぐらいの花色がいいですね。洋シャクは葉裏に赤褐色の毛がなく、葉の観賞価値はありません。花は一見すると豪華に見えるかもしれませんが、過激にケバケバ過ぎです。で、あまり言うことはございません。パスです。
西洋シャクナゲ(品種不明)


↓ こちらは日本原産のシャクナゲです。品種名はホソバシャクナゲです。自生の分布域は愛知県東部~静岡県西部のごく狭い範囲ですが、鳳来寺山 (695m) はホソバシャクナゲで有名です。比較的に標高の低い山にあり、愛知県設楽町津具大入のホソバシャクナゲ自生地 は、愛知県の 天然記念物 に指定されているみたいです。
ホソバシャクナゲ

●愛知県の「文化財ナビ愛知」によると、ホソバシャクナゲは 「日本産シャクナゲ類の中では最も低地に生育する種で、津具村の指定地附近では海抜300~700mの範囲に生育し」 などと言うけれども、必ずしもそうではありません。

●イチャモンをつけるようですが、わが西日本にあるホンシャクナゲもたいがい低い所にあります。淡路島じゃ280-530mの範囲にあるし、有名な 鎌掛谷ホンシャクナゲ群落 は海抜300-450mぐらいのところにあります。三重県志摩半島のホンシャクナゲは極端な低海抜に自生しているから、夏暑い低地の環境に耐えられるシャクナゲとして園芸家に珍重され、「伊勢シャクナゲ」 などと呼ばれています。南伊勢町の暖地性シダ群落の尾根 にホンシャクナゲがあるのですが、その尾根の最高所でも316mです。ホンシャクナゲはそれこそ100m台から自生していますわ。それどころか、むかし吾輩も見にいったことがあり、五ヶ所湾の奥でそれこそ波打ち際 (海抜5mとか10mのようなところ) にホンシャクナゲが自生しているのを見てビックリしましたワ。徳島県でも植物の調査をされている高校の先生に聞いたら、県南の海部郡で海抜50mのところにホンシャクナゲの自生があると言ってましたわワ。あるところに行けば極端な低海抜にシャクナゲはあるんです。ま、共通するのは、太平洋から湿った風が吹き込んで夏に極端な高温にならなくて (30度まで) 湿度が高い環境です。そういうところでは暑さに弱いシャクナゲでも夏が越せるということなのでしょう…。 



↓ こちらはヤクシマシャクナゲです。申すまでもなく屋久島の固有種です。園芸家の世界では、シャクナゲの新品種育成のための原種として最高級に評価されているシャクナゲです。ファームパークはプロの園芸家が管理している植物園でもあるハズですが、日本原種のシャクナゲたちにとっては大変厳しいところに植えられています。よくまあ、こんなカンカン照りのところに植えたものだとビックリしました。西日を遮る樹木を横に配するとか、近くに噴水とか滝を作って暑い盛りには霧がかかるようにするとか、工夫できないものだろうか? 涼しい気候を好む野生種のシャクナゲには劣悪な環境で、葉が日焼けしていて生育が全く芳しくありません。せっかく800円という高額入場料を取るのだから、見事に育ったシャクナゲを見たいものであります。
ヤクシマシャクナゲ



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日本列島にたった1本しかなかった植物

 2015-04-24
日本列島にたった1本しかなかった植物
といえば植物観察する人ならば誰でも知っているアイラトビカズラです。ただし2000年までですが。熊本県山鹿市菊鹿町相良に自生していて、文化庁の国指定文化財等データベース で確認するとたしかに 「相良のアイラトビカズラ」 の名称で特別天然記念物です。37万平方キロもある広大な (?) 日本列島に本当に1本 (1個体) しかなかったようで、なぜ1本だけあるのか謎とされてきました。中国の長江流域に分布する植物のようで、何らかの要因で種子が中国から運ばれてきたとか、大昔は日本にも分布していたのだが絶滅してしまい、生き残りの最後の1本が相良のアイラトビカズラなんだ、とかまことしやかに説明されてきました。が真相は藪の中。わかりません。国の特別天然記念物なので、国土地理院地形図 に載っています。 山鹿市 (やまがし) 探訪なび によると花は5月上旬まで見られるものの満開を通り過ぎて散り始めたということです。 2000年に長崎県の 佐世保市のトコイ島 でアイラトビカズラの国内2番目の自生が発見され、上を下への大騒ぎの話題になったのはまだ記憶に新しいところです。

●ちなみに、地形図にも載らないキレンゲショウマとは格が全く違います。剣山のキレンゲショウマは国の天然記念物などじゃありません。あくまでも 美馬市指定の天然記念物 (NO.60) でしかありません。それも旧 木屋平村指定の天然記念物であります。なぜならば、3町村が合併して美馬市となったのは平成17年ですが、剣山のキレンゲショウマを天然記念物としたのは平成12年だからです。天然記念物をあちこち見て回ると気付くのですが、国の天然記念物ならば看板に麗々しく書いています。ところが、県レベルならばともかく、市町村レベルの天然記念物はあまり市町村指定をハッキリ書かないものです。あいまいにボカします。値打ちがないことを良く認識しているからなんでしょうね…。 徳島県にある国の特別天然記念物は 「加茂の大クス」 ただ1件ですが、あまりに威風堂々として巨大で腰をぬかすほどビックリしますわ。


4月16日に撮ったアイラトビカズラの写真
を陳列します。 淡路ファームパーク のロックガーデンにシャクナゲを見に行ったのですが、ちょうどアイラトビカズラが咲いていました。もちろん自生ではなく植栽品です。熊本県山鹿市の自生品起源の株 (挿し木等で増殖したもの?) なのか、中国の系統なのかは不明です。

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↓ 根元の太い幹 (茎) に直接に花が着く「幹生花、かんせいか」 の性質が現われています。これは熱帯の植物によく見られる性質のようで、アイラトビカズラは亜熱帯性の植物だとされますが、なるほどそんな感じだなと首肯できます。
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この冬最後の雪見 (詳細版記事その3)

 2015-04-23
まだ残雪が色濃かった4月9日の剣山登頂記の続きであります。

ただちに撤去するのが望ましい説明看板
↓ 絶滅危惧種リスト入りの理由のひとつが 「観賞用採取」 であります。ただちに撤去するのが望ましい説明看板です。盗掘されて困るというのであれば、そういう植物があること自体を知らしめてはいけません。知らしめることは盗掘を奨励することと同義であります。口先で貴重植物の保護だなどというけれども、ホンネは別のところにあるのは透けてみえていますわ。
キレンゲショウマの説明看板

↓ キレンゲショウマ自生地への登山道は、まだ雪に埋もれている。(4月9日)
場所はここ (+マークのところで、海抜1810m) → 国土地理院電子地形図


自生地への登山道は雪に埋もれている


キレンゲショウマは、襲速紀要素の植物
●高知県出身の宮尾登美子が 「天涯の花」 で紹介したということばかりが喧伝され、地元自治体が山岳観光の金儲けの材料にならないかという願望がにじみ出ています。 「世界的な希産植物」 だなどというのもかなり変な理由付けであって、そもそも日本で見られる高等植物の4割程度は日本固有種だとされます。すなわち、日本列島にしかないのだから、世界的なレベルでは日本固有種はみな 「世界的な希産植物」 と言えてしまいましょう。どこの地方にお住まいでも日本全国身の周りは 「世界的な希産植物」 だらけということでありますね。剣山にしかないのならばまだしも、キレンゲショウマは石鎚山 (ここが基準産地) にもあるし、四国カルストの黒滝山にも、紀伊半島の大峰山系にもあります。九州の祖母山や白鳥山などにもあります。島根県の山にも自生が知られ、ようするに、キレンゲショウマは西南日本外帯のブナ帯~亜高山帯に点々と分布しているわけで、分布域からすると襲速紀要素 (そはやきようそ) の植物の典型例だといえましょう。分布は限られるといっても、中国にもあるというから日本固有種ではありません。したがって 「世界的な希産植物だ」 などと大言壮語を銘打つのは、珍妙にして大袈裟な理由づけなのであって、実は、観光客が大勢きてカネを落としてほしいという願望が言わしめているわけです。

●ネット情報で、基準産地の石鎚山以外で、キレンゲショウマの確度の高そうな自生情報を探してみましたところ、次のような自生地点が見つかりました。
九州 祖母山九州熊本県 御三池 (おみけ)宮崎県 白岩山九州 市房山(11頁)、高知県 黒滝山高知県 筒上山徳島県 剣山(徳島県では剣山1か所のみ)、広島県 戸河内町(恐羅漢山あたり?)、島根県 匹見町奈良県 天川村・川上村(行者還岳、観音峰山?) 得られた自生情報を地図にプロットしたら、分布図らしきもの (分布図もどき) ができてしまいました。ネットって便利ですね。

ただし、科学的な (学術的な) 分布図とはとても言えません。植物の分布といっても生物学の一分野であり自然科学です。自然科学は証拠主義です。標本はラベルに記載された産地にその植物があったという物的証拠です。標本に基づかない、あやふやなネット情報でこしらえた分布図もどきなど、良い子は信用しないように…。


キレンゲショウマの分布


●↓ 村田 源 : 『近畿地方植物誌』 大阪自然史センター刊, 4頁, (2004年) にキレンゲショウマの分布図が載っています。で、借用します。岡山県西部ならびに鳥取県西部のデータがプロットされていないので、それらが見つかる前のきわめて古い標本群をプロットした分布図かもしれませんが、こちらの方が信用なります。あるいは、ソハヤキ要素の植物であることを強調したいがゆえに、ソハヤキ地区から外れる自生地を無視したのかも?? いずれにせよネット情報でこしらえた分布図もどきと比べて、それほど大きな違いはないようです。とは言え、やはりネット情報はいい加減です。ネット情報では標本という物的証拠がないから、その情報に疑義が生じても検証しようがないですワ。

ある登山者が○○山で○○という植物を見て写真に撮りネットに載せても、それが、たとえ日時・場所・生育環境・観察者氏名など克明に記述したとしても、それが本当に○○という植物だったのかどうか写真ではハッキリしないことが多いです。写真ではよほど接写しないかぎり、ディテールはどうなっているのか判然としません。キレンゲショウマのように1属1種で似たものがない植物ならばいいとしても、酷似した近縁種が多い植物ならば、種の同定に疑問が生じても標本をこしらえていないかぎり検証のしようがありません。ということで、ネットはまだまだ発展途上だと吾輩は思いますね。Wikipediaなんかは特にそう。ネット百科事典として大いに便利で参考にはなっても、どこの誰が書いているのか分からない、書き手の知識レベルがどの程度か不明、どういう立場で記述しているのかも不明、で、記事の信用性・正確性が担保されていません。もちろん吾輩が書き散らすことも信用性はゼロです。ネットに膨大にあふれかえる情報の信用性をどう担保するかが大きな課題のように思います。が、偉い人や権力を持つ人が検閲まがいのチェックを入れるというのならば、かえってマズそう。結局、ネット利用者が自己の情報リテラシーを高めるしかないのかもしれません…。


キレンゲショウマの分布図


●話題を元に戻します。キレンゲショウマが小説に取り上げられたなどというハナシは、「あっ、そう」 という程度のハナシであって、自然について観察したり学んだり観賞したりするのとは全然関係ないわけです。ことさらそんなしょーもないハナシを看板にするのは、虚構の存在にすぎない小説のヒロインにあやかって、わんさかと観光客が来てカネを落としてほしいという商業主義 (便乗主義) がチラチラと見えていますわ。そんなに金儲けしたければ著名人にカネを渡して剣山について書かせたり語らせばいいわけです。それから、このような宣伝がその植物に対する 「観賞用採取圧」 を高めて、その植物を絶滅に追いやる大きな要因ともなっています。レッドデータ入り選考基準のひとつに 「観賞用採取」 があることを認識する必要がありましょう。キレンゲショウマを護りたければ、そういう植物があるということ自体を知らせてはいけません。知れば探して採ろう、金網を破ってでも採ろうとする観光客がわんさかと来るわけです。人を見たら泥棒と思えというように、残念ながら、登山者・観光客の多くは公共善をわきまえない盗掘者なのです。したがって、この説明看板は即刻撤去したほうがよろしい。

●自然保護というのは色々な立場や考え方があり、ムダな水かけ論に巻き込まれる危惧があるため、あまり立ち入りたくないのですが、観光振興を図りながら自然を護ろうというのは根本的な矛盾を内包しています。観光客が沢山くると山を荒します。山を荒す奨励をしながら、山を護ろうということであり、どこかマッチポンプ的な胡散臭さがつきまといます。ちなみに、自然保護のNPO法人の活動とか、再生可能エネルギー推進政策などもそうですが、 「環境のため」 という言葉を錦の御旗にしていますが、これはたぶんに表向きの建前です。偽善の仮面をひと皮むけば、ホンネでは補助金をかすめとったり、カネもうけを狙っている色合いが濃厚です。世界自然遺産に関する国内の誘致活動もそうです。世界自然遺産条約の趣旨は 「破壊や消滅の危機から自然遺産を護ること」 です。観光振興では全くありません。本来は入場制限をして観光客を締め出すことであります。ところが日本では異様な観光振興活動に変容しています。 剣山の自然を護ろうとか、キレンゲショウマを守り育てましょうなんて言っているのも、それは建前でしょう。本当に剣山の自然を護りたいのであれば、ただちに登山リフトなど撤去すべきです。軽装で背広姿でも安易に登れることが本質的な問題です。それから国道439号線と国道438号線、それから剣山スーパー林道も閉鎖しなければなりません。簡単には剣山にアクセスできないようにするのが最良の策なのであります。

ようするに、この国は本音と建前を使い分けるのを得意としていて、偽善が多いんですワ。正直に、山村では現金収入の道がこれといってなく、剣山で金儲けの商売がしたい。観光客やハイカーや登山者の皆さま大勢いらっしゃい。大勢が来たら亜高山植物を盗掘したり平家の馬場の草原が荒れてしまいます。次に来た観光客も楽しめるように、自然が損なわれることには何とか対策を立てますから、ぜひ大勢いらっしゃっておカネを落として下さい。と、ホンネで言えばいいのに‥‥。なにも金儲けに反対しているのではなく、大いに金儲けしたらいいと思うし、吾輩もまた行ったら貧人の一灯なりにカネを使いますよ。ホンネとタテマエが乖離していることを話題にしているだけです。




石灰岩や蛇紋岩の山は、特異な植生になることが多い
ということは吾輩でも知るところですから、植物観察する人々の間では一般的な知識であります。キレンゲショウマの説明看板付近の登山道には石灰岩がごろごろと転がっています。剣山は、全山が琵琶湖の北東にそびえる伊吹山のような石灰岩の山じゃないですけど、山頂直下の北斜面に東西帯状に石灰岩層が見られますよね。そういえば四国カルスト付近の山にもキレンゲショウマの自生地が知られていますが、もしかすると石灰岩が風化した土壌とキレンゲショウマとが何らかの関係性 (好石灰植物とか?) があるのかも? よく分かりませんが、キレンゲショウマの自生地は石灰岩地帯であることが多いようですね。 ちなみに、わが淡路島でも僅かですが石灰岩が見られます。旧北淡町の野島鍾乳洞付近ですが、サンゴ礁起源の石灰岩じゃなくて、カキ (牡蠣) 礁が起源の石灰岩です。蛇紋岩も淡路島の付属島の沼島の上立神岩あたりの崖で見られますワ。
登山道には石灰岩がごろごろ

登山道には石灰岩がごろごろ

↓ 4月9日時点で剣山北東斜面は残雪が色濃い。
北東斜面に残る雪



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晩のおかずは、ワラビ尽くし!

 2015-04-21
本日は2015年4月21日 (火曜日) であります。

●溜め池の土手のようなところで採ってきたワラビを、穂のような先っぽを除去して、草木灰と熱湯をかけてアクぬきしましたが、ワラビのアク抜きが不十分であると発がん性物質が含有されています。で、2昼夜もかけてしっかりとアク抜きしました。で、ようやく食べられるようになりました。今日の晩のおかずはワラビ尽くしであります。しばらくは毎日ワラビばっかし食べますね。本当に田舎の人はワラビが大好物なのです。しっかりとアク抜きしないと癌になるかも? ワラビでなる癌はほとんど大腸がんらしいです。



田舎のワラビ尽くしの夕餉のおかず
ワラビ尽くしの料理
↑ 上段左は、ワラビの油炒めですがポークソーセージ付き。塩コショウ味。
 上段右は、ワラビのお浸し。ワラビをサッと湯掻いて上におかかを振りかける。
 下段左は、ワラビの酢の物。モーリタニアの蒸しタコ付き。
 下段右は、ワラビと油揚げの煮物。これは伝統の田舎料理。



●ワラビというシダ植物は、九州南端から北海道北端まで日本全国に自生がみられます。(沖縄県にもワラビが分布するのですか? 沖縄の人に聞かないとわかりませんが…) 各地にはその地方独特の郷土料理があり、また個々の家庭でもその家庭独自の料理というのが存在するようで、他人がワラビをどのようにして食べるのか? よくわかりませんが聞く所によると、味噌汁の具にしたり、すりこぎで茹でたワラビを叩いて 「とろろ」 にして食べる人もあるようですね。十人十色ひとそれぞれです。ワラビの食べ方に定式があるわけじゃなし、自由奔放に創意をこらして奇想天外な食べ方をしましょう! ほんまにワラビは美味いスね。


ゼンマイは吾輩は採らない
↓ こちらはゼンマイです。淡路島南部の南あかじ市にもたくさん自生していますわ。採るんだったら、山裾の道路の法面とか、森の林縁のマント植生内とか、溜め池の土手をさがせばいくらでも採れるハズです。東北地方の日本海側山村のように山菜を売って生計を立てる人は淡路島にはいないので、いくらゼンマイを採っても怒られる心配はないです。しかしながら、吾輩はゼンマイはあまり好きではないので採りませんワ。採った後の湯掻いて干す作業が物凄く大変ですし…。干し上げる途中で何回も揉まなければなりませんワ。ゼンマイは煮物ぐらいしか用途はないですし…。
ゼンマイ


本邦5大山菜は、ワラビ、ゼンマイ、フキ、タラ、ウドか?
もちろん筆頭はワラビであることは申すまでもありません。最近読んだ書物に 『西岡百年史』 という地方史の書物があります。札幌市豊平区西岡地区 の地方史 (郷土史) ですが、明治21年に福井県・兵庫県からの数軒の入植者が開拓のくわを打ち込んで以来の、100年間の開拓発展の歴史を述べた書物であります。

●西岡地区にある 西岡八幡宮 は、(現在の住所表示では) 兵庫県南あわじ市神代上中原あたりから北海道へ開拓移住した森金蔵が創建したそうですが、出身地の 上田八幡神社 (こうだやわたじんじゃ) の御分霊を北海道に持って行ってお祀りしたものです。
(註) なお、西岡八幡宮のルーツは上田八幡神社であることは、吾輩もかかわった淡路 旧 神代村側の綿密な調査で判明しています。で、西岡八幡宮の関係者ご一行様がルーツを訪ねるということで、わが南あわじ市に見えました。吾輩が旧 神代村側を代表したというわけではないのですが、ご一行様の案内係をしたのですが、そのときに頂戴したのが 『西岡百年史』 です。読んでみるとなかなか面白く、たんなる一地方史では全くなく、明治期以降の近代史・現代史のひとつの資料として読める内容です。とくに興味を引くのは、本州からの開拓移住者が母村の風習や食生活を引きずりながらも、気候風土の異なる異郷の地でどのように食糧を調達し生きていったかを、民族学的な方法で克明に調査していることであります。記述は山菜にまで言及しています。

(註) 「だが森金蔵が持ってきたのは稲荷であり八幡宮はあとから地元の人々が相談しあって祀ったという説もあり、正確な起源は不明である」 ともいう。 『西岡百年史』 303頁

西岡開基百年記念祝賀協賛会 『西岡百年史』 平成3年刊、364頁から引用
山菜  春採集できるものとして、わらび、ぜんまい、蕗(ふき)、たらんぼの芽、うど、あずきな、せり、三つ葉、たけのこ、よもぎなど、秋はきのこ類が多かった。これらは、煮しめ、浸し物、和え物、汁物、よもぎは餅に利用された。昭和に入ってからは前述の如く、塩漬、乾燥などによって保存され利用されることが多くなった。これらの保存方法を次にあげる。
蕗の塩漬  現行では、さっと茹でて皮をむき、あく抜きをして塩蔵にするのが一般的であるが、当時は忙しく、皮をむく手間をはぶくために切り口の先だけをむいて、あく抜きし塩をふりかけ重石をして漬けた。使用する時に皮をむき茹でて水にさらす。
わらびの塩漬  切り口に木灰をつけてから、塩をふりかけ漬け込み、重石をのせる。使用する時に茹でる。または、灰水にさらす。
よもぎ  灰水のうわずみで茹でた後、水気を十分取り木陰で干す。他の方法として、よもぎを茹でた後塩をまぶし、固く絞ってから干す。戻す時はぬるま湯を使用する。  
根曲がりたけ  筍に塩をふり重石をする。また、茹でてから皮をむき塩漬にする。昭和三十年以降は保存方法も改良され、茹でた筍を塩水で漬込んでびん詰やおから漬にして、地下のむろに保存された。 【引用終了


気候帯・植生帯が変わっても、主要な山菜は変わらない?
●最初に山菜の名称を列記していますが、恐らく利用価値・採集頻度の高い順に並べたのではないか? と解釈すると、ワラビ、ゼンマイ、フキ、タラの芽、ウド、が西岡地区での5大山菜でありましょう。この順位は予想外というか意外ですわね。これではわが淡路島南あかじ市となんら変わりませんね。

●北海道と本州の間には有名な生物分布境界線の ブラキストン線 があり、これを境に動物相(ファウナ)・植物相(フロラ)は大きく変わります。たとえばブラキストン線以南のツキノワグマは、以北では大きくてたくましいヒグマにかわります。植物でも本州のウラジロモミやシラビソは北海道ではアカトドマツにかわります。暖温帯下部の淡路島と冷温帯上部あるいは亜寒帯に近い札幌郊外では樹木の種類がガラリとかわるのに、主要山菜はそれほど変わらないというのは、たぶん、山菜の多くは陽生植物であり先駆植物であるから分布が非常に広いということを示しているのでありましょう…。

なお、『西岡百年史』 が列挙して、おそらく札幌市西岡地区の人々が昔から賞味している山菜10種のうち、淡路島に分布していないものは 「あずきな=ユキザサ」 「たけのこ=ネマガリダケ」 の2種であります。これとて北海道の特産・固有種などではありません。ユキザサ は徳島県のブナ帯でよく見かけます。徳島の山では5月上旬頃が開花期ですが、この若葉が食べられるなんて知らなかったわ。ひとつ勉強になりました。ネマガリダケ (チシマダケ) は兵庫県でも北部の海抜800m以上には普通に見られますわ。やはり、珍しい山菜といえども分布は広いですね。 



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ランクルさんのコメント
和食が無形世界遺産なんですねえ。
それには出汁が肝心なんですが、美味しそうなワラビずくしですねえ。

ワラビのシーズンになると、なんやかやと煽てられて山菜採りに付き合わされます。
まあ山用の車に乗っておりまして、世界的な名車といわれている車を29年も乗っています。 だから信号待ちをしてすると、知らない人でも声を掛けてくるほどの骨董車。 ワラビはいたるところに生えているので、山に行かなくてもため池の岸などでもたくさん採れますね。

山のキノコさんはいつも採ったわらびを見ると、綺麗に茎が長く揃えていますね。
私は子供の頃から母親のワラビ採りにもいっしょに行っていましたが、ワラビは先のグルグルっと巻いたところがメインだと思っておりまして、先っ穂を大切に採ってきました。 山のキノコさんの仰るとおりワラビは茎が美味しいんですね。
だから私が摘んだワラビは長さが不揃いです。
長さが一定していて、綺麗に束ねたワラビは道の駅などでも売れますねえ。
今日の私の晩酌は、近所のおじさんから「竹食うか」といただいた柔らかいタケノコと、ヨメが採ってきたわらびです。
春はいいねえ、美味しいものがワンサカ。



山のキノコの返信
>山に行かなくてもため池の岸などでもたくさん採れますね

確かにそうですね。むしろ山のほうがワラビが減りました。樹木が茂って日が当らなくなったからです。淡路島は日本の頂点に君臨する溜め池王国です。香川県の人らが讃岐は溜め池の国だと豪語しているんですが、香川県の三分の一の面積の淡路島の方が溜め池数は遥かに多いですし、兵庫県下の溜め池の半数は淡路島にありますわ。その溜め池の岸や土手にワラビがありますね。半数の溜め池にあるのではないですかね? 溜め池の土手は傾斜があって水はけがいいし、日当たりもいいし、年一回は水利組合が草刈りをするから草木が茂りすぎることがありません。 (遷移の進行が強制停止させられています。遷移が進むとワラビが消えます) よく観察すると、溜め池というのはワラビの生育には理想的な環境です。淡路島でワラビ採りは溜め池廻りです。直感的に思うんですが、地域レベルでのワラビの分布密度は、案外、淡路島は日本屈指じゃなかろうかと思います。しかも、ワラビが多く自生しているのに、東北地方みたいにプロの山菜業者が淡路島にはいないですね。つまり、ワラビなど淡路島では雑草みたいなもので、いくら採っても怒られないです。採り放題です。淡路島はワラビファンにとっては天国みたいな島ですね。

でもまあ、ワラビ天国の淡路島でも、ワラビを採れない人には採れないみたいです。ま、山菜採りでも、釣りでも、きのこ狩りでも、長年の経験の積み重ねや年の功がモノをいう世界ですね。急に思い立ってワラビを採ろうとしても、そう簡単には採らせてくれません‥‥。

>まあ山用の車に乗っておりまして、世界的な名車といわれている車を29年も乗っています。 だから信号待ちをしてすると、知らない人でも声を掛けてくるほどの骨董車。

ホント、道行く人が思わず振り向く名車ですね。しかもウインチ付き。雪道や泥道でハマった他車を助けてあげられますね。骨董車といえばそうかもしれませんが、林道ファンのわたくしには道なき道を踏破するためのクロカン車に見えます。日本一の未舗装道路で、ライダーたちに 「聖地」 とまで言わしめた剣山スーパー林道を走るとサマになりそうな車ですね。街の舗装道路を走るにはモッタイナイです。 剣山系の高所でもぼちぼち雪も消えたことだし、わたくしは、これから5月は足しげく剣山スーパー林道にまいります。今時分からタムシバやカタクリの花、中旬以降はシャクナゲやアケボノツツジのお花見です。今年は沢で天然ワサビの葉を採るつもりです。ワサビの葉は山菜として一般には認識されていませんが、絶品中の絶品です。軽く塩を振って一夜漬にすると、熱いご飯に他にはおかずは要りません。お酒も何杯あっても足りませんワ。



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田舎の人はホントにワラビが好きですわね

 2015-04-20
本日は2015年4月20日 (月曜日) であります。

●昨日の夕方にまたワラビ採りであります。田舎の人は本当にワラビが好きですわね。吾輩の実母は中国山地の山間部出身で、そこは日本海側と瀬戸内側の中間地点でありますが、完全に日本海側じゃないので冬期には雪は降っても積雪30センチ~40センチ程度です。寒さは西日本では厳しいところで、厳寒のときは-15度程度になってしまいます。気候的には中間温帯というか、ブナ帯と照葉樹林帯との境目という感じですが、暖温帯のシイやカシ類では冬の寒さが厳しすぎるし、冷温帯のブナでは夏の暑さが厳しいということで、シイもブナも生育できず、クリやナラの夏緑樹林が多いところであります。ときにはクリ帯などと呼ばれる気候 (植生) なんですが、若干信州に似ているかも? たぶん信州を少し暖かくしたという感じで、ミズバショウやザゼンソウこそ自生していませんが、カタクリならば大群生地があるし、氷河期の遺存種のミツガシワが見られるようなところです。こういうところには山菜が格別に多いです。なんせ、裏山には、なんと垂涎のネマガリタケ (チシマダケとも言う、中国山地東部での地方名はスズコです) が自生していますわ。とりわけワラビが多く、昔は村中総出でワラビ採りが行われ、塩ずけにしたり、乾燥させたり保存食にもしたそうです。で、昔は食糧事情が豊かではなかったということもあるのですが、春から夏にかけて晩飯のおかずといえば毎日ワラビばっかりだったそうな。

●吾輩の実母が淡路島に移住してきて、その中国山地の母村の食文化を持ち込んだのですが、春になったら 「ワラビを採ってこい」 「フキを採ってこい」 と命じられて山菜を採るのは吾輩の役目であります。吾輩の山菜好きは、つまり中国山地の山村の食文化DNAを引き継いでいるということでありましょう。幸いに淡路島南部の南あかじ市はワラビの自生密度がかなり高いところで、人家の近くのため池の土手などにワラビはいくらでもありますわね。



長(た)けてしまったワラビ
すっかり長けてしまいました。道端にわんさかとあるのに、誰も採らないうちに葉が展開してしまいました。最近の若い人はワラビなんて採らないようです。飽食の今どきワラビなんて採るのは、敗戦後の食糧がまだ豊かでなかったころに子供時代を過ごした60代以上か? 現在の老人たちがいなくなるとき、山菜はただの雑草となるのかも? ↓ 以下4葉の写真は長けたワラビ。4月19日、兵庫県南あかじ市にて。
道端で長けたワラビ

道端で長けたワラビ

道端で長けたワラビ

土手で長けたワラビ


でもまあ、晩生系統のものが明らかに存在しますわ
野生のワラビには出るのが早いものや、遅いものがハッキリ観察できます。加えて環境によりワラビの発生が遅れることもあります。北斜面や、やや日当たりが良くないところや、特に草刈りをしていないところのワラビは遅れがち (註) です。そうゆう所を狙えば4月中は南あかじ市でもワラビがわんさかと採れます。

(註) 草刈りをすれば、地面に太陽があたり地温が上昇してワラビの発生が早まります。いっぽう草刈りをしていないと、冬枯れた茎や葉が地面を覆っているので地温が上がりにくいです。それに冬枯れ茎葉のマルチ層を突き破って上にワラビがでるのに日数が余計にかかります。ワラビの品質ですが、冬枯れ茎葉マルチ層があるほうが上等です。ワラビが太くて柔らかいです。理由はハッキリしています。夏や秋に草刈りをすると、ワラビの地上部分を刈り取ってしまうからです。葉というのは植物にとって光合成をする最重要器官であります。それを刈り取ってしまえば地下茎に澱粉の蓄積が少なくなり、春の新芽の発育に悪影響を及ぼします。巷間、こともなげに 「ワラビは草刈りをすればするほど、よく出るといわれますが、とんでもない誤解であります。これも常識のウソです。自然に対する人々の認識には誤解が多いようです。草刈りが頻繁に行われる場所のワラビは細くて固くて収量も少なく、とても食えたもんじゃないですわ。

↓ 昨日の4月19日の収穫です。大収獲です。これ以上採っても喰いきれないし、アク抜きするための 「灰、草木灰」 が足りません。昔のように風呂やかまどで薪をくべないかぎり、田舎でも山村でも草木灰の調達に苦労します。吾輩はわざわざ落葉等を燃やして灰をこしらえています。
本日の収穫

あくぬきの手順
↓ 茎の先端部の穂みたいなものは取り除きます。理由はもそもそとして食感が不味いからです。穂を除去したら深底の容器に並べます。プロの料理人でも穂をとらない人がいますが、そういう料理は興ざめです。
茎の先の穂を除去する

↓ 次に、綺麗な草木灰を振りかけます。へんな灰をかけてはいけません。放射性の 「死の灰」 とか‥。亡国の反国民政府と、政府の走狗の悪辣マスゴミの原発推進キャンペーンで国民の警戒心が薄らいでいますが、問題が解決したわけじゃありません。メルトダウン、メルトスルーした核燃料デブリがどこへいったのか? さえ正確には全くわからない状態です。フクイチ原発の終息 (収束ではない、言葉のアヤで誤魔化すな!) が100年後なのか全く不明です。老朽化した原発の廃炉の方法も確立されていません。高レベル放射性廃棄物の処理も不可能です。誰がどう見ても日本の電力需要は非原子力のみで賄えることがハッキリしました。にもかかわらず政官財癒着原子力ムラの悪あがきは大罪で、ヘドが出そうだわ。電力会社も官吏も政府与党も狂っています。いよいよ晩発性放射線障害の深刻化が顕在しはじめましたわね。特定秘密保護法で隠し通せるのかな? 無理だと思いますね。
灰を掛ける

↓ 次にワラビが十分に浸るまで熱湯をかけます。なお、拙写真はワラブが見えなくなるのでわざと湯が少なめです。写真を撮ったのち湯を増量した。ポイントは、灰の水溶液のアルカリ性と熱で、ワラビに含有されている強力な発がん性物質を安全物質に変質させることですが、シッカリとアク抜きをしないとワラビは毒草です。家畜がワラビを誤食すると中毒を起こすという報告がけっこう存在します。
熱湯をかける


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山菜シーズンたけなわです。

 2015-04-18
本日は2015年4月18日 (土曜日) であります。

●サンショウの葉が採り頃を迎えました。サンショウはワサビとならんで日本原産香辛料として貴重な存在です。木の芽合えとか、お吸い物のあしらいに日本料理にはなくてはならない存在ですが、事実上イオンに併合されたマルナカ南あかじ店の店頭を観察してビックリです。サンショウの葉を10枚か20枚か分かりませんが、僅かな枚数を小さなパック詰めにしたものが105円で売っていました。サンショウの葉1枚が数円で、あまりにも法外な値段です。都会の消費者が購入するのはしかたがないとしても、南あかじ市の田舎人がそれを買うのはみっともないです。サンショウなんて、その辺の山裾の道路側とか、ダムの周遊道路に行けばいくらでもあります。採っても全く問題にならないし、サンショウは典型的な陽生植物で先駆種 (パイオニア種) なんで繁殖力は旺盛です。大量の種子をまきちらし、種子の発芽率は高いです。実生のサンショウの子がたくさんみられます。サンショウは自然 (森林) が破壊されたようなところに多い植物です。光環境の悪い森林内ではサンショウは絶対に生育できません。人がサンショウを乱獲して自然を破壊するのではなく、人が自然を破壊したところに進入して生育するのがサンショウなんです。常識とは全く逆なんです。お間違えなく…。

サンショウの樹

サンショウの若葉

↓ 本日の収穫です。サンショウの樹がたくさんあるので2キロほど葉を頂戴しましたワ。厳密に申せば 「本日の窃盗物」 と言うべきですが、全く問題にもなりません。去年、サンショウの葉を採っていたら南あかじ警察署のパトロールカーが巡回してきました。で、「何を採っているのですか?」 と聞かれましたわ。 「サンショウの葉ですよ。佃煮にしたら美味いんですよ。お巡りさんも採ったらいかが?」 とおすすめすると、「いま勤務時間中だからな。休みの日に採りにくるわ」 という返事です。このように、警察官が採取を現認しても全く問題になりませんワ。この収穫物はサンショウの葉の佃煮にします。熱いご飯にサンショウの佃煮があれば、他におかずは要りません。
本日の収獲

↓ タラノメも長 (た) けてきました。この程度ならばまだ食べられます。展開しかけた葉を摘み取って天ぷらにするか、湯掻いて味噌和えにして食べます。
長けたタラノメ

↓ 山菜尽くしの調理例です。ワラビの漬物、長けたタラノメの葉の天ぷら、タケノコとサンショウの葉の和え物です。材料は近くの山で調達ですが、タケノコは吾輩所有の畑の隣の竹藪で失敬。春は食べられる植物 (山菜) が周りにいくらでもあるのが田舎のいいところです。田舎暮らし冥利に尽きます。つるぎさん山小屋日記 を拝見すると山菜の採取や加工・保存に忙しそうです。おそらく剣山頂上ヒュッテのお客さんにふるまわれるのだと思います。山菜うどんとか…。 そういえば剣山登山車道の入り口付近の道路の山側にフキが沢山あったワなぁ! フキも佃煮にしたら美味いんですわ。
山菜尽くし


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本日の自然観察

トサノミツバツツジ です。兵庫県レッドデータではCランクの貴重種とされています。関東・東海地方に分布する本家のミツバツツジの変種という分類的位置付けです。トサノミツバツツジは紀伊半島と四国に分布しています。淡路島内では圧倒的に多いのが葉や花が小さいコバノミツバツツジであります。トサノミツバツツジの個体数は少ないですし、どちらかと言えば棲息環境を棲み分けている傾向が見られます。すなわち、人家近くの丘陵や里山ではコバノミツバツツジ、山の奥ではトサノミツバツツジという傾向が認められます。

それにしても、綺麗ですわねえ! 見たからといって肩こりが治るわけじゃないけど、目の保養にはなります。この写真をどこで撮ったか? 残念ながら盗掘防止の観点から非公開です。淡路島内ではかなり希産のツツジなので、自生地を明かせばたぶん盗掘されますね。淡路島では何か綺麗なもの貴重なものがあったら、人に採られる前に自分が採らなくっちゃという人が多いです。淡路島にはそれを乱開発や盗掘から護ろうというナチュラリストが少ないように思います。

トサノミツバツツジ
↓ コバノミツバツツジよりもトサノミツバツツジのほうが葉も花もハッキリと一回り大きく、見ごたえがあります。観賞価値はこちらの方が上です。
花のアップ

ミミガタテンナンショウ です。兵庫県レッドデータではAランクの貴重種で、自生地情報は非公開ですが、兵庫県内では旧三原町と旧五色町の2箇所で見つかりました。他のテンナンショウ属植物に先駆けて開花する早咲きの性質があり、淡路島では3月20日ぐらいから咲いています。 テンナンショウ属の植物は有毒植物が多いです。中毒例が報告されているようですので、要注意です。厚生労働省 「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:テンナンショウ類」 参照。特にトウモロコシ似の果実は絶対に食べないように。
ミミガタテンナンショウ

↓ 矢印で示した部分 (口辺部) が耳たぶのように外側に張り出してるから、耳形天南星 (ミミガタテンナンショウ) と和名がつけられました。東北地方の太平洋側・関東地方の山地が分布の中心で、淡路島と愛媛県に隔離分布していることが知られています。淡路島の集団は東日本のものとは口辺部の張り出し方など若干形質が異なるようです。また、仏炎苞の色は緑色っぽいものや紫色っぽいものなど、その個体により変異が大きいです。
花のアップ

トウモロコシ似の果実を絶対に食べないように
↓ 7月中旬~下旬ころにトウモロコシそっくりな果実ができます。有毒なので手を出さないように…。ただし触るだけなら大丈夫です。秋の10月ころに、同じ仲間の植物のウラシマソウ、ナンゴクウラシマソウ、アオテンナンショウも同様な果実ができます。みなトウモロコシそっくりですが、うっかり口にいれると中毒します。

ミミガタテンナンショウの果実



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