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【政治】

首相、慰安婦問題には触れず 「反省 歴代首相と同じ」 

29日、ワシントンで日本の首相として初めて米議会の上下両院合同会議で演説する安倍首相。後列はバイデン副大統領(左)とベイナー下院議長=共同

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 【ワシントン=中根政人】安倍晋三首相は二十九日午前(日本時間三十日未明)、日本の首相として初めて米議会上下両院合同会議で演説した。焦点の歴史認識に関しては、先の大戦への「反省」を表明。「アジア諸国民に苦しみを与えた」と、中国や韓国などに配慮した。米国で関心の高い従軍慰安婦問題には言及しなかった。

 一九九五年に村山富市首相(当時)が発表した戦後五十年談話に盛り込んだ「植民地支配と侵略」や「心からのおわび」は、今回も触れなかった。二十二日にインドネシアで開かれたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の首脳会議演説で先の大戦に関して用いた「深い反省」は、「痛切な反省」とするが、英文では同じ「deep remorse」と表現した。その上で「痛切な反省を胸に、歩みを刻んだ。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目を背けてはならない」とし、「これらの点についての思いは、歴代首相と全く変わるものではない」と述べた。

 従軍慰安婦問題は、二十八日の日米首脳会談後の共同記者会見で米側の記者が質問し、首相は河野洋平官房長官談話を見直さない考えを明らかにした。米議会演説では「紛争下、常に傷ついたのは、女性だ。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはならない」と訴えたが、慰安婦問題に直接は言及しなかった。

 自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)の再改定は「真に歴史的な文書に合意した」と評価。新指針を裏付ける安保法制見直しでは「戦後初めての大改革だ。この夏までに成就させる」と、今夏に関連法案を成立させる考えを示した。

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 アジア太平洋地域の安全保障については、中国の台頭を踏まえた米国のリバランス(再均衡)政策を支持し、日米同盟を基軸として豪州やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)、韓国とも協力関係を深めていくことを強調した。

 環太平洋連携協定(TPP)については「単なる経済的利益を超えた長期的な安全保障上の大きな意義がある」と早期妥結を目指す姿勢を鮮明にした。

 

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