インタビュー ここから「ノーベル賞受賞 天野浩」 2015.04.29


去年ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学大学院教授の…青色LEDの実用化へ道筋を切り開きました。
世の中を大きく変えた青色LED。
今やなくてはならないものとなっています。
青色LEDさえちゃんと出来るようになればもうディスプレーがガラッと変わる。
天野さんは世界の研究者が不可能だとした素材で開発に挑みました。
しかし…。
地道な研究の繰り返しから世の中を変える成果を生み出した天野浩さん。
なぜ粘り強く研究を続ける事ができたのかその原点に迫ります。
すみませんご無沙汰してます。
どうもお久しぶりです。
ノーベル賞受賞で大きく注目を集める天野さん。
その後も母校の名古屋大学で研究と後進の育成に当たっています。
ノーベル賞を取って頂いたおかげで私たちもこの青色LEDについてかなり興味がいくようになりました。
それはもうありがたい事ですね。
世の中に一体どんなものが青色LEDが使われているのかちょっと今日いろいろ持ってきたんですけど…。
これね…分かります?ちょっとね折り畳んじゃったんだけどこれこんなふうにして使うものなんですけど。
何だろう…何ですかねこれは?ここ挟むようになってるんですか?さすがですね。
これ眼鏡につけるものなんです。
ここに!はい。
いいですか?なるほど〜!…でこうするんですが。
これで本を読む?そうなんです暗いところでも。
えっめちゃくちゃコンパクトですね。
へえ〜!これは初めて見ました。
すごいなあ。
この帽子にも実はLEDが使われているんです。
帽子にですか?いきますよ。
こうしまして…こうするんです。
ハハハハハ!これ夜道とか今日のような雨の日には非常にいいですね。
そうなんです。
かぶって頂いて…。
もう至って普通の帽子なんですけど。
こういう感じですか?自分…あんまりこの明るさは感じないですけど周りの方がまぶしいというかよく分かるんですね。
帽子お似合いですね。
ハハハハ。
ノーベル賞受賞した時のノーベルウイークの実際どんな日々を過ごされたのかっていうのを是非お写真をもとに教えて頂きたいなと思いまして。
まず最初この写真ちょっとユニークですよね。
これはですね授賞式当日の朝です。
朝はリハーサルがあるんですね。
段取りとかいろいろ教えて下さって。
その時には非常にリラックスしてここにノーベルの像があるから一緒に写真撮っちゃおうって撮ってる時の写真がこれですね。
これはじゃあ非常にリラックス?リラックスしてる時の写真です。
そのあとじゃあリハーサルも実際にしてみて…。
午前中はもう完璧に覚えてます。
じゃあ実際の授賞式は堂々たる形でいけたって事ですか?いけると思ってました。
ハハハハハ!「いけると思ってました」?ところが会場に着いたらすごく緊張してて…でいざ授賞式ってなった時にちょっと段取りが頭から消えちゃったんですね。
そうなんですか。
ええ。
本当は名前が呼ばれた時に椅子から立たなきゃいけなかったんですね。
ところがあまりにも緊張してて立てなかったんですよ。
続いての写真いきますと…今度はこちらです。
この時はストックホルムからちょっと離れた所なんですけどそこの高校ですね。
そこのグループに交ぜてもらっていろいろ話を聞いたんですけどね。
だから高校生といろいろ話ができました。
現地の高校生大学生若い人たちっていうのはきっと天野さんに夢だとか研究の内容についていろいろ伺ってたんじゃないかなって感じもしますけどね。
そうですね。
ストックホルムでももちろん高校生といろいろ話しして例えば「物理と化学とはどのように違うんですか?」とか「物理って何ですか?」とかいろいろ本質的な事を聞いてくれるんですね。
若い時にはそういう本質的な事をじっくり考えるっていう事もやっぱり大切なんじゃないかなっていう事は強く思ってそれは日本の若い人たちにも伝えなきゃいけないなと思いましたね。
天野さんは静岡県浜松市の出身。
子どもの頃はソフトボールやサッカーに夢中でした。
最初から勉強に興味があった訳ではなかったといいます。
まず宿題をしない…。
本当ですか!?それから例えばドリルとかありますよね。
あれも自分で考えるのは嫌だから大抵後ろに解答があるものありますよね。
それを写してやったようにして。
本当ですか!?そういう経験はありますね。
どちらかというと勉強ってものは苦手だったんですか?苦手というか意味が分からなかったんですね。
何でやらなきゃいけないのかって…。
中学までほとんど勉強はしてなかったんですね。
でもその先ですよね。
何のタイミングで学ぶっていう事の面白さに気付いたんですか?高校入ってからですね。
担任の先生が数学の先生だったんですけどず〜っと3年間同じ先生だったんですね。
その方が非常にすばらしくて分からない事があると聞きに行ってそれで非常に論理的に解き方を教えて下さるんですよね。
それで「ああそうか数学っていうのは論理的にちゃんと順序立てて考えればちゃんと解けるんだ」っていうのをそこで何かパッと何て言うか全身で感じる事ができてそこからですね。
勉強っていうか数学だけですけど数学とそれから本読む事ですね。
それが好きになったのが高校に入ってからですね。
なるほど言われてみたらそうか。
数学って数式の羅列ではなくってそれは自分の意志によっていろいろ解けるというか。
そうですね。
自分の力で問題が解けるんだっていうのを本当に実感…高校1年の最初の時に実感できたんですね。
そこからもう数学だけは好きになって数学だけは一生懸命やりました高校の時。
ここでなんですけどねもしその時にいやこの数式先生から教わったものだとかあとご自身が好きな数式とかあればと思いましてちょっとホワイトボードを用意してみたんですが。
数式…う〜ん例えば三角関数の微分積分ですね。
それはもう本質的にこういうものが積分だよとかこういうものが微分だよっていうのを教えて下さったりしたんですよね。
まず積分っていうのはこの面積を計算するんですけど面積の計算のしかたっていうのはここの点と少し微量な変数の変化。
これをず〜っと足していくと…。
これでかなり近似的な…これをずっと足していけば近似的な答え出ますね。
これを極限まで狭くしていけばこれで完全にこの面積は出す事できますね。
そうですね。
この中のこの面積は分かりますね。
ええ。
これが積分の意味ですね。
…というように教えてもらったんですねまず。
じゃあその当時もこんなふうに図を用いながら…。
図を用いながら教えてくれたんで「あっなるほど」と。
例えば公式を覚えるんじゃなくてこれをずっと頭に入れて考える事ができたんでどんな事でも対応ができたんですね。
はあ〜…。
大本を考えると意外に問題って簡単に解けたりする事が多いんですね。
天野さんは浜松から名古屋大学に進学します。
ここで研究生活の第一歩を踏み出しました。
最初に名古屋大学に選んで来た時ってどんな感想でした?今までは浜松にいて親に助けられて生活してたんですけどそれが自分一人で生活するようになって不安は多少ありましたけどそれよりも本当に「わ〜一人で生活できるんだ」という喜びというか夢というかそればかりでしたね。
ハハハハハ。
どんな夢ありました?え〜っと夢…。
ちっちゃな夢なんですけどまずは料理勉強しようと思って…。
え〜っそうだったんですか?ええ。
自分で自炊しようと思って料理はいろいろやりましたよ。
得意料理とかあったんですか?いや結局カレーを作りましたね。
カレーって日もちするじゃないですか。
3日間ぐらいもちますよね。
そのあと次何やろうかなって考えたら次シチューにしようと思って。
結構同じ系統ですよね。
それが3日間ぐらい。
そのあといろいろ覚えたんですけど結局だんだん勉強大変になってくるとそれが一番効率がいいという事が…。
結局カレーとシチューしか覚えられなかった。
天野さんが当時研究に明け暮れていた場所に案内してくれました。
ちょうど桜がきれいですね。
こんなにきれいだったかな?ちょっと記憶がないですね。
当時と違います?いや〜こんなイメージじゃないですよこんなきれいじゃなかった。
桜もきれいですね〜。
研究とかしてる時はどうなんでしょう?桜とか見る余裕とかありました?いや全くないですね〜。
みんなごめんなさいねお邪魔してま〜す。
天野先生ですよ。
皆さん知ってますよね?何かちょっとひと言ないんですか?ありがとうございます。
ハハハありがとうございます。
みんなはどこの学部なの?工学…。
工学部?一緒一緒。
一緒!こうやって身近なところでノーベル賞取った先生がいるってどうですか?
(笑い声)どうもどうもありがとうございました。
ここ工学部で天野さんは研究者としての人生を貫く一つの言葉に出会います。
2階と3階を赤研究室で使ってましたね。
一番最初に工学部受けた時に印象的な言葉を聞いた訳なんですね。
そうですね。
工学部の「工」っていうのは人と人とを結ぶのが工学ですよという事を教えて下さったんですね。
それでやっぱり工学の道というか勉強する事の意味っていうのは人の役に立つっていう事がやっぱり勉強の意味なんだよって事を本当に教えてくれた一番大事な言葉でした。
研究室は後にノーベル賞を共に受賞する赤勇さんのもとを選びました。
研究対象は青色LED。
研究が成功すれば人の役に立つ。
天野さんに迷いはありませんでした。
当時はディスプレーってものすごく大きかったんですね。
ブラウン管が使われててもっと小さくスマートにしたいと思った時に青色LEDさえちゃんと出来るようになればもうディスプレーがガラッと変わる。
世の中が絶対ガラッと変わるに違いない。
コンピューターがこれだけ進んでるんだからあとディスプレーをスマートにすれば世の中が大きく変わるんじゃないかと思って赤先生の研究室に是非入りたいと思ったんですね。
青色LEDを生み出すためには窒化ガリウムという物質の結晶を作る事が必要でした。
しかし当時高品質な結晶を生み出す事は不可能だといわれていました。
天野さんはその実現に挑み成功させました。
しかし初めはただ失敗を繰り返すだけの日々でした。
失敗の数は1,500回以上にも上ったといいます。
元日以外の毎日を実験に費やし深夜に及ぶ事も少なくありませんでした。
公称1,500回と言ってますけど実はもっとやっててですね。
いろいろ失敗して途中で失敗って分かるとすぐやめちゃったりしててそれは数に数えてなかったんでだから一日少なくとも3回多かったら6回ぐらい実験をずっと繰り返してましたね。
いつ結果が出るのかなですとか不安に思う部分っていうのはありませんでしたか?いややってる時は非常に楽しくてその時も失敗だと思ってないんですよね。
だから楽しくてしょうがなかったんですけどやっぱり実験って労力もかかるし原料代もすごく高いものだったんでお金もかかるしという事でいろいろ考える訳ですね。
必ず今度は成功させる。
…でこういう例えば配管をこのように変えたら必ず結晶はこういう形になるに違いないと思ってやる訳ですよね。
うまくいけばそれで万歳ですし全然違う結果が出てきたら「あれっ何が違ったんだろう」という事を考える。
その連続だったんですけど今から考えると。
それはでも実験って考えればそれなりの結果が出てくるっていう事が分かってそれは非常に楽しかったですね。
できるんだって気持ちは持ってましたね。
へえ〜…。
それが3年後になるか5年後になるか分かんないんですけどこれはいつかは出来るようになるとは思ってましたね。
そういった中でようやく窒化ガリウムのきれいな結晶を天野さん自身が作り出します。
ええええ。
それを見た瞬間というのはいかがでした?いや私自身は本当に言葉にならないぐらいに感動しましたですね。
本当に今まで見た事ないようなきれいな結晶だったんですね。
原子レベルで見てもきれいな結晶。
ゴールがすごく単純だったのがよかったのかもしれませんね。
要するに青色LEDが出来ればそれがゴールな訳ですね。
明るいLEDが出来ればいいんでそのイメージが常にあったのでたとえすぐには出来なくても少しずつそれに近づいてるなという気持ちを持つ事ができたんでだから別につらいとか苦しいとか思わなかったんだと思いますね。
人の役に立ちたい。
その信念が実を結んだ瞬間でした。
消費電力が少ないLEDはエネルギー消費量に革命的な変化をもたらしました。
僅かな電力でも明るく輝くLED。
十分な電力がない発展途上国でも生かされています。
世界のエネルギー問題を解決する力にしたいと天野さんは考えています。
安くなればもっともっとたくさんの人に使って頂けるんでそしたら省エネ効果っていうのは非常に大きいですね。
例えば日本ですと省エネ効果は大体7パーセントぐらいが2020年には達成できるんですけどもう一つ考えてるのは今度はパワーデバイスといって今使われてるトランジスターがシリコンで作られてるんですけどそれを窒化ガリウムのトランジスターに変えると近くまで損失を減らす事ができるんです。
エネルギーの損失をそれだけ減らす事ができる訳ですか。
それによって大体9パーセントぐらいまで省エネできるんじゃないかという事を名古屋大学のチームで試算していて合わせると16パーセントですね。
これは2011年の東日本の大震災の前までは大体30パーセントぐらいが原発が発電してたものだったんですけどそれが今止まっちゃったんでそのうちの約半分半分以上はこの省エネで達成できると試算しててそれをなんとか実現したいというのが我々の目標ですね。
2030年までにはそれを達成したいと思ってます。
…でどれだけ人の役に立てるかという事をやってるんですけど例えば少し発展させてですねちょっと作り方はより難しくなるんですけどこの材料っていうのは紫外線も出せるんですよね。
紫外線が出ると例えば殺菌に使う事ができます。
特に今注目してるのは水の殺菌ですね。
私よく知らなかったんですけどユニセフのホームページなんか見るといまだに飲み水にアクセスできない方たちっていうのがアフリカの真ん中辺りにすごく50パーセント以上の方がまだ飲み水にアクセスできないんですね。
それから衛生面。
トイレとか食事等の水にアクセスできない方はこれは世界中でもっと多くてですね中央アジアとかロシア等々の方たちはいまだにきれいな水にアクセスできないんです。
そういった方たちにこの紫外線の光源乾電池で動く…先ほどいろいろ見して頂きましたけどあんなコンパクトな形の紫外線のLEDが出来ればその殺菌に使えますよね。
それが今一番注目してるところであと一押しですっていうところまできてますね。
へえ〜。
天野さんはノーベル賞受賞後も人と人とをつなぎそして人の役に立つ研究とは何かを伝えています。
若い世代へのメッセージを伺いました。
インターネットの時代だからこそやらなければいけない事は必ずあるはずでそれは我々の世代になるとあんまり敏感に感じる事ができないんですね。
若い人だからこそ感じる事ができる事が必ずあるはずでそれをまず見つけてほしい。
それが見つかったらそれを実現するために本当に無我夢中になって取り組んでほしい。
その目標を決めるっていうのは本当に一生懸命考えてほしいと思うんですね。
いろんな事調べていろんな勉強して…でそういった事を続けていくと何かその先っていうのは必ず見えてくると思うんですよね。
2015/04/29(水) 06:30〜06:53
NHK総合1・神戸
インタビュー ここから「ノーベル賞受賞 天野浩」[字]

名古屋大学大学院教授、天野浩さん。青色LEDの開発で2014年のノーベル物理学賞を受賞。世界中を明るく照らす成果を生み出した不屈の開発者魂にせまりました。

詳細情報
番組内容
名古屋大学大学院教授、天野浩さん。青色LEDの開発で2014年のノーベル物理学賞を受賞。ディスプレイや照明の大幅な省エネや小型化を実現し、世の中を大きく変えました。名古屋大学の学生時代に没頭した研究では1500回をこえる失敗の連続。その地道な努力を支えたのは「人の役に立つものを作りたい」という信念でした。世界中を明るく照らす成果を生み出した不屈の開発者魂にせまりました。
出演者
【出演】名古屋大学大学院教授…天野浩,【きき手】永井伸一

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論

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