さあ皆さんお待ちかね!登場するのは日本生まれの「イッピン」。
優れた技が生み出す珠玉の宝。
今日はどんな技が飛び出すのか。
日本有数の焼き物の産地佐賀県有田。
毎年大型連休に開かれる陶器市です。
今年は7日間で過去最高の137万人が訪れました。
ここに来れば欲しい器が何でも手に入るんです。
今この伝統的な焼き物が大きく変化しようとしています。
フランス・パリ。
ここで人気のレストラン。
独創的な料理に腕を振るうのは巨匠ドミニク・ブシェ。
国家功労賞を受賞した料理人です。
料理を引き立てるスタイリッシュなこの器実は有田焼なんです。
今こうした新しい有田焼が次々と作り出され海外で大評判!有田焼で作った万年筆。
今世界から注目を集める有田焼。
400年にわたって培われてきた伝統の技と最先端の技術によってこれまでにない焼き物が開発されています。
今日はそんな新しい有田焼の秘密を徹底リサーチ!一流レストランが集まる東京・銀座。
今評判の日本料理店です。
誰もが驚くという噂のものがこの店にあります。
どうぞこちらになります。
オブジェかと思ったら…。
パーティーなど大人数の客に料理を出す時に使う重箱でした。
料理長直々に考え出した形。
しかし実現するまでにはかなりの時間がかかりました。
何人もの職人に話を持ちかけましたが大きくてきれいな球形を作るのは難しいと断られ続けました。
それを実現したのが有田焼だったのです。
今回のイッピンリサーチャーは「きれいなもの大好き!」南明奈さん。
早速あの球形の器を作った工房を訪ねました。
きっとあの人かな?こんにちは!こんにちはどうも。
寺内さんですか?はい寺内です。
今日はよろしくお願いします。
明治時代から100年以上続く窯元の4代目寺内信二さんです。
ギャラリーに案内されると…。
こちらです。
わ〜すごいきれい!きれい!丸いすご〜い。
これも?これもそうなんです?どこで切れてるか分からないです。
分かんないですよね。
これもちゃんとパカッと…。
あホントだ!こうやると…。
これもかわいい。
すごいですね。
寺内さんはこれまでも斬新で作るのが難しい作品の数々に挑んできました。
まるで鉄のような質感の器や漆を用いた焼き物など挑戦してきたものは数知れず。
球形の器は2年前に開発したもの。
直径26cm。
6つのパーツでできています。
パーツを組み合わせ美しい球形を作るのは至難の業です。
有田焼の原料は主に陶石を砕いた土。
石膏で作った型に泥状にした土を流し込んでそれぞれのパーツを作ります。
わ〜すご〜い!わ〜きれい!型をとった後まず素焼きします。
素焼きしたものを見せてもらいました。
え!どういう事ですか?非常に微妙なんで分かりづらいんですが球形なんですが下側を削って少しこういう形になっています。
へぇ〜。
実は素焼きの段階ではきれいな球体ではなく完成形とは少し違った形になっているといいます。
どうしてなんでしょう?素焼きをした後更におよそ1300℃の高温で本焼きします。
その時重力や温度変化によって全体が僅かに垂れ下がってしまいます。
更に焼き上がりは10%近くも収縮します。
こうした特性を考慮し焼き上がった時にきれいな球形になるよう緻密に設計されているのです。
この難しい形を可能にしたのはコンピューターグラフィックスによるデザイン技術。
10年ほど前から取り入れています。
職人が長年の経験値からはじき出した収縮率を入力し精密な設計図を作る事ができるようになりました。
こちらがその設計図。
一見すごくシンプルに見えますがここに完全な円を示す線を赤で引いてみましょう。
設計図では焼く時に垂れ下がる事を計算に入れ上方向に蓋は最大で2mm。
底は0.8mmほど調整されています。
最先端の技術を用いる事で球形の焼き物作りが初めて可能になったのです。
この器をきれいに作るためには焼く時にもある工夫があります。
それは江戸の昔から伝わってきた方法。
こちらが「ハマ」という道具になります。
窯を焼く中ではすごく大事な道具の1つになります。
ハマは焼き物と同じ土で作った敷物。
これに素焼きした器を載せて焼きます。
でもこの丸い敷物がなぜ重要なんでしょうか?そこでハマを用いるものとハマを使わずセラミックス製の板に直接載せるもの。
2つを焼いて比べてみます。
焼きあがったものを見せてもらいました。
どうなってるかな?まだ中少し熱いんですよ。
うん。
お〜かっこいい。
熱い!熱いでしょう?すごいサウナみたい。
ここがハマを使ったやつとこっちが使ってないやつですね。
一見違いは分かりませんが重ねてみると…。
ハマのあるやつ。
ハマのあるやつですね。
ハマのあるやつ完成です!きれい!ハマを使って焼いたものはきれいな球体に仕上がりました。
一方ハマを使わずに焼いたもの。
多少やっぱりこういうところにきてますね段が。
本当だ!ここボコボコってしてる大きさが。
それもしっくりこない。
2つを比べてみると…。
左のハマを使わず焼いたものにズレが生じているのが分かりますか?僅かに隙間ができていたりそれぞれのパーツがうまくかみ合っていなかったり。
一体なぜなんでしょうか?器は焼く時少しずつ板の上を滑るように縮んでいきます。
ハマを使わないと板の上の傷や小さなゴミに引っかかりその摩擦でゆがみが出やすくなります。
ハマを使えば器と同時にハマも縮むため抵抗が少なくゆがみが出にくいのです。
微妙な差なんですけどもお客さんの手元に届いた時に形が崩れると丸というのは違和感を覚えるんですね。
最新技術と昔から伝わる職人の知恵。
2つが融合する事できれいな球形が生み出されていたんです。
有田焼の歴史は400年前に遡ります。
この地で陶石が発見され日本で初めて磁器の生産に成功しました。
江戸時代前期に誕生した柿右衛門様式。
美しい乳白色に映える鮮やかな赤。
ヨーロッパに盛んに輸出されました。
有田焼は日本独自の絵柄や細かい技法で世界から注目を集め続けてきました。
しかし売り上げは1990年をピークに低迷しています。
もう一度町を盛り上げるべく今新たな焼き物作りに挑戦する窯元が増えています。
デザイナーと組んでスタイリッシュな器を開発。
こちらは世界的に有名なデザイン賞で…若い世代にも受け入れられる有田焼が増えています。
こちらの窯元で今年から売り出している有田焼も革新的。
ありがとうございます。
突然ですがここで問題。
え〜?でもね持つところがなんか変わってる。
いえいえそれはただのデザイン。
なんだろう?あれ?分かったぁ!カップが鏡みたいになっているからこのソーサーの柄が映る!正解!ヤッター!そういうこと。
柄の描かれた普通のカップに見えますが持ち上げると柄が消えた!これカップの表面にプラチナの溶剤を塗り鏡のような状態を作り出していたんです。
プラチナを塗る際ムラがあったり形にゆがみが出たりするときれいに模様が映らないんです。
有田焼特有の滑らかな生地をいかし模様を映し出すため角度も計算し尽くしました。
ヨーロッパで発表したところたちまち大人気に!外国人に人気の有田焼は器だけではありません。
それがこちら。
もうお分かりですよね。
万華鏡です!筒の部分がほら!有田焼で作られているんです。
皆さんが驚嘆しているのは隅々まで丁寧に描かれた模様。
ここにも有田の職人の優れた技が。
作ったのは134年の歴史を持つ老舗の窯元。
こちらのほうで絵付けを行っております。
素焼きした生地の上に絵を描く。
輪郭を描く線書きは主に男性が担当してきました。
すご〜い。
女性が担当してきたのは色を付けていく作業。
焼くと美しい青に発色します。
この道20年の職人北島頼子さん。
万華鏡は筒が細くくびれた形をしているのでより高度な技が必要になります。
なにその筆!めっちゃ太い!めっちゃ太い筆なのにめっちゃ細かい!この太い筆を使って細かい模様を塗っていきます。
素焼きしたものはすぐに絵の具を吸収します。
一度にたくさんの絵の具を筆に吸い込ませムラができないよう巧みに色を付けていきます。
職人の指に注目!僅かに親指を動かしていますね。
この微妙な動きによって必要な絵の具の量を調整しているのです。
絵の具の量が多い時は筆先を使って余分な量を吸い取ります。
一度焼いた後赤などの鮮やかな色を付けていく「上絵付け」。
担当するのは立石郁子さん。
表面は滑らかですべりやすくなっているため絵の具を置くように少しずつしっかりと色を付けていきます。
色の濃淡や発色は筆のニュアンスひとつで全く変わるのです。
一本の万華鏡に描かれた繊細な模様。
そこに何人もの職人たちの技と思いが込められていました。
わ〜いっぱい!こんにちは。
何か気に入ったのあります?なんか不思議なのが多いですね形とか色とかも。
ああそうですね。
蒲地勝さん。
世界各国の料理人と共同で器を開発しています。
大きいすごい!これはミシュランの2つ星レストランのサラダのお皿です。
サラダ?地球を表してましてこれが空地上海の入り口で深海っていうひとつの地球になってまして。
料理が載らない部分にはあえて釉薬を塗らずざらざらした質感を出しました。
更に微妙なグラデーションで川から海に流れる水を表現しています。
料理が盛られるとこんな感じ。
「地球をイメージしたものを」というシェフの要望で作ったものです。
インパクトがある器が欲しいと依頼され作ったのがこちらの器。
有田特有の白磁に新開発の塗料を用いてきらびやかに仕上げました。
フレンチレストランでちょっとした一口料理を出す時に使われています。
こちらは魚料理のための皿。
窯から出す時釉薬が割れてできるヒビの模様で水面をイメージしました。
料理が盛られるとほら!魚が泳いでいるみたい!5月中旬。
この日蒲地さんが訪れたのは東京・表参道にあるフレンチレストラン。
夏から秋にかけて出す料理に合う器が欲しいとシェフから依頼を受けていました。
蒲地さんは事前に試作の器を渡しその結果を聞きにきたのです。
ええええ。
大理石なんだけどどうやって作ったんだろう…みたいな。
10種類ほど渡していた器の中でシェフが特に気に入ったのがこちら。
中心部の掘りが深く大理石で作られたように見えるデザインです。
1年がかりで開発した手法を用いひとつひとつ手作業で模様を付けました。
蒲地さんは店やシェフの要望に応えて大きさや色合いデザインを変えていきます。
料理人の心をくすぐるようなお皿って見た事ないです。
細かな要望に応えるため10種類ほどの器を作るのに140以上のサンプルを作った事もあります。
日々新たな器作りは進行中です!400年の歴史を誇る有田焼。
伝統を生かしデザインや形を少しずつ変え世界の注目を集めてきました。
上質で品のある焼き物は今も進化を続けています。
2015/04/29(水) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「華麗に進化する器〜佐賀 有田焼〜」[字][再]
今回は、世界中の料理人を魅了するモダンな器を続々と作り出している佐賀県有田焼。400年の伝統の技と、最先端の技術が融合して生まれる、斬新な焼き物を徹底リサーチ!
詳細情報
番組内容
400年の歴史を誇る佐賀県の有田焼が、いま大きく変化しようとしている。スタイリッシュでモダンなデザインが続々と誕生、内外の一流料理人が熱い視線を注いでいる。中でも注目は、大きな球形をした器。銀座の一流料理店の特注品だ。焼き物で球形を作るのは、非常に難しい。受け継がれてきた伝統の技と、最先端の技術が融合し、初めて製作が可能となった。南明奈さんが新しいスタイルの有田焼に挑戦する人々の活躍に迫る。
出演者
【リポーター】南明奈,【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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