28日の日米首脳会談後の共同記者会見の主なやりとりは以下の通り。
オバマ米大統領 安倍首相と私はリンカーン記念館を訪れた。和解の象徴だ。アーリントン国立墓地を訪れてくれたことを感謝する。過去を克服できるということだ。日米同盟を通じてこれからともに未来を築いていきたい。米国の外交政策をリバランス(再均衡)政策を中心に進めていきたい。
日米安全保障条約を含めた同盟の条約に基づいて、安倍首相の日米同盟へのコミットメント(関与)を歓迎する。日本は安全保障と平和に世界で貢献している。晋三、ありがとう。
私たちは日米防衛協力の指針(ガイドライン)を改定した。より柔軟性を高めるものだ。海洋安全保障から災害の対応まで私たちはともに訓練を行い、サイバーの脅威に対応する。日本はより大きな役割と責任を太平洋、世界で果たす。新しいガイドラインは米国の在日米軍の再編も含むものだ。沖縄を含めてだ。
米国の日本の安全保障に対する関与は全面的だ。日米安保条約第5条は尖閣諸島も含めて、日本の統治する地域に適用される。日米両国は航行の自由、国際法の尊重、紛争の平和的な解決に関与している。朝鮮半島の平和的な非核化に関与している。北朝鮮の挑発に対応していく。拉致被害者への日本の対応を支持する。日本人にとってどれくらい重要なことか分かっている。韓国とオーストラリアとの協力によって、この地域全体の安全保障が評価される。
環太平洋経済連携協定(TPP)の妥結に向け、私たちは前進している。米国に多くの日本車が走っているので、日本でももっと多くの米国車が走ってほしい。安倍首相と私は米国と日本がTPPパートナーを率いて、迅速に合意に達したいと考えている。気候変動でも強力な協力を築けている。
安倍首相が日本の女性の社会進出を後押ししていることを称賛する。日米両国でともに女子学生がより教育を受けられるように進めたい。これこそが真のグローバルなパートナーの取り組みだ。同盟関係は安全保障、繁栄、そして人間の尊厳。アジア太平洋地域だけでなく世界において保障していくことになるだろう。
安倍晋三首相 私たちには1つの夢がある。WE HAVE A DREAM。平和と繁栄に満ちあふれた世界を作りあげることだ。日本と米国は新たな時代を切り開いていく。強い決意を戦後70年目の節目となる年にオバマ大統領と確認することができた。日米同盟の歴史に新たな1ページを開いた。世界の中の日米同盟とも呼ぶべきものだ。
いかなる一方的な現状変更の試みにも一致して断固反対する。いかなる紛争も力の行使ではなく国際法に基づいて平和的に解決されるべきだ。米国のアジア太平洋を重視するリバランスを歓迎する。在日米軍の再編を着実に進めるという互いの決意を改めて確認した。住宅や学校に囲まれた普天間基地の危険性を辺野古移設によって一日も早く除去する。沖縄の基地負担の軽減を日米の強い信頼関係の下で進める。
繁栄こそが平和を生み出す。その信念が私たちをTPPの早期妥結へと駆り立てる。オバマ大統領との間で2国間の残された課題について大きな進展があったことを歓迎した。引き続き最終局面を主導するために協力し、早期かつ成功裏の妥結に向けて取り組むことを確認した。
東アジア情勢について北朝鮮の拉致、核、ミサイル、ウクライナ情勢、イランの核問題、テロリズムの脅威、気候変動、感染症対策、安全保障理事会など世界が直面しているありとあらゆる課題について率直に話し合い、協力していくことで一致した。
ビデオで見たケネディ大統領の就任演説は今も胸に強く響くものだ。その一説を思い出す。「米国があなたのために何をするのかを問うのではなく、我々が人類の自由のために一緒に何ができるのかを問うてほしい」。日本はその呼びかけに答える国でありたい。バラクと2人でこの場所に立ち、ここから日米の新しい時代がスタートする。70年後の子や孫達にそう思ってもらえるような歴史的な会談になった。
――日本と米国の安全保障政策が中国との緊張を強めることはないか。安倍首相は第2次世界大戦の謝罪は言わなかった。従軍慰安婦問題については。
大統領 中国の平和的な台頭を我々は支持する。私たちは迅速に今後発生するかもしれない海洋紛争などに対応する。それは中国やその他の国を組み込む形でこの地域の秩序を維持し、平和を維持していきたい。我々は中国との軍事協力を強化していきたい。韓国も我々の同盟に重要な役割を果たす。3カ国の協力も極めて重要になる。
首相 慰安婦問題については人身売買の犠牲となって筆舌に尽くしがたい思いをされた方々を思い、非常に心が痛む。この点は歴代の首相と変わりはない。河野談話は継承し見直す考えはない。20世紀は一度紛争が起こると、女性の名誉と尊厳が深く傷つけられた歴史があった。21世紀こそ女性に対する人権侵害のない世紀にしないといけない。
――日本では集団的自衛権の行使容認に伴い日本が米国の戦争に巻き込まれるとの懸念がある。
首相 我々の安全保障法制について、戦争に巻き込まれるというレッテル貼り的な議論が日本で行われていることは大変残念だ。1960年に安保条約を改定したときに、日本は米国の戦争に巻き込まれるという批判があった。55年がたち、批判が全くの間違いだったと明らかになっている。新しいガイドラインで切れ目のない対応を可能にするために抑止力を強化する。日米の同盟をより効率的、機能的にしていくことで抑止力と対話力を高めることが結果として日本の平和と安定、地域の平和と安定に資することは間違えないと私は確信している。この法制整備において国会で国民に丁寧に説明していきたい。
大統領 これまで数十年にわたって日本が平和国家として歩んできた。非常に過去から難しい教訓を学んできた。侵略に関わらず、国際的にも地域的にもそのようなことをせず、日米同盟を構築し、そして侵略や攻撃から国を守ってきた。
――TPPは中国の力を抑止する意味でどれくらい重要性があるのか。
大統領 米国の企業、米国の労働者にとって良いことだ。中国が何をしているかにかかわらずだ。これは防衛的な協定ではなく、経済を前に動かすためのものだ。
首相 TPPは中国を意識してつくるものではない。中国の経済的な発展は、日本だけではなく、米国にも世界にとっても大いなるチャンスだろう。早期妥結に向け努力をしていく。私はバラクとリーダーシップを発揮をし、早期妥結をめざしていきたい。
――中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立に向け、国際的な金融面、経済面で影響力を強めている。
首相 アジアに膨大なインフラ需要があり、それに応える金融システムが重要である認識は中国とも共有している。日本はAIIBに参加するという決定はまだしていない。これだけ大きな金融機関をつくり、アジアの国々に大きな影響を与える以上、まず公正なガバナンスが必要だ。例えば、理事会による個別案件の審査や承認は不可欠だ。債務の持続可能性や環境や社会に対する影響への配慮の確保も必要だ。今後とも日米が協力していくとともに中国とも対話を行っていく考えだ。
大統領 アジアはインフラを必要としている。中国が資本を開発プロジェクトに投資していくこと自体は前向きだ。私たちはAIIBに反対しているわけではない。英国も参加すると言ったが、いろいろな新聞記事が出ていて、米国政府の公式の立場でないものもある。もし私たちが多国間の融資機関を持つならば運用の基準が必要だ。透明性がなければ、多くのことが起きる。例えば、お金が乱用されるかもしれない。会計基準がしっかりしていなくてちゃんと投資されているか分からない。
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