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RHYMESTERの26年目の挑戦、日本の音楽はまだまだ面白くなる
インタビュー・テキスト:柴那典 撮影:中村ナリコ(2015/04/28)
結成から25年以上。日本のヒップホップ黎明期から活躍しシーンに君臨し続けてきた「キングオブステージ」RHYMESTERが、また新たな一歩を踏み出した。
昨年末に、レコード会社の移籍と自ら主催する新レーベル「starplayers Records」設立を発表した彼ら。5月10日には初の主催フェス『人間交差点』を開催する。KGDR(ex.キングギドラ)やスチャダラパーなどシーンの重鎮に加え、スガシカオや10-FEETなど他ジャンルの実力派ミュージシャン、PUNPEEやSIMI LABなどが所属するレーベル「SUMMIT」勢など次のヒップホップシーンを担う才能も登場する、バラエティーに富んだラインナップだ。
4月29日には移籍第一弾シングル『人間交差点 / Still Changing』もリリースされる。彼らは一体何を見据えて新しいスタート地点に立ったのか。新曲について、フェスについて、そして現在の音楽シーンについて、語ってもらった。
RHYMESTER(ライムスター)
宇多丸(Rap)、Mummy-D(Mr. Drunk、マボロシ:Rap / Total Direction / Produce)、DJ JIN(breakthrough:DJ / Produce)からなるヒップホップグループ。別名「キング・オブ・ステージ」。1989年グループ結成。1993年アルバム『俺に言わせりゃ』でインディーズデビュー。ライブ活動を中心に支持を集め、 1999年リリースの3rdアルバム『リスペクト』のヒットで日本のヒップホップシーンを代表する存在に。 2001年活動の場をメジャーに移し、2007年には日本武道館でのワンマン公演を成功させた。 その後グループとしての活動を休止したが、2009年シングル『ONCE AGAIN』で再始動。 以降3枚のオリジナルアルバムは全てTOP10ヒットを記録している。また、宇多丸のラジオパーソナリティとしてのブレイクなど、ソロでの活動とボーダレスな活躍も特筆に価する。2015年、ビクターエンタテインメントへの移籍と主催レーベル「starplayers Records」の設立を発表。5月10日は初となる野外音楽フェス『人間交差点』の開催を予定している。
RHYMESTER
僕たちは、ヒップホップシーンのコアな部分と邦楽シーン全般を繋げられる数少ないグループの1つになっているんじゃないかと思うんですよね。(Mummy-D)
―去年はRHYMESTERにとって結成25周年のアニバーサリーでしたが、そこからまったく休むことなく新しい活動の展開が発表されましたね。
Mummy-D:休んでる余裕がないんですよね。どんどん続けていかないと、あっという間に過去の存在になっちゃうから(笑)。
一同:(笑)。
Mummy-D:派手に動いている感じを出したいとは思ってました。そこで、まずはレーベル移籍と主催フェスの開催を年末に発表することになって。
―今回の新レーベル設立は、RHYMESTERにとってどういう新しいスタート地点にしようとイメージしていたのでしょうか?
Mummy-D:まず、ここまでキャリアを重ねてきて、自分たちがなかなか珍しい立ち位置になってきたという実感があって。ヒップホップシーンのコアな部分と邦楽シーン全般を繋げられる数少ないグループの1つになっているんじゃないかと思うんですよね。なので、今のところは自分たちがリリースすることしか決まっていないけれど、僕らにしか紹介できない才能を外側に発信していきたいとは思ってます。
DJ JIN:自分たちだけじゃなく、他のアーティストのためになれたら、ということは考えていますね。
宇多丸:それもヒップホップに限らずですね。もちろん本筋は日本語ラップにあるんだけれど、トータルで僕らのビジョンを示していきたい。それは今回主催するフェスでも同じことです。うちのレーベルからすごく売れる新人が出てきてほしいですね、そしたらお金もらえるし(笑)。
Mummy-D:それで儲かったら、RHYMESTERの活動は停滞してもいいかもしれないね(笑)。
宇多丸:そうそう、もっとスローペースになるかも(笑)。
―ヒップホップと邦楽全般のシーンを繋ぐ珍しい立ち位置に立っているというのは、そこを目指して活動してきた結果なのでしょうか。それとも気付いたらそうなっていた感じ?
Mummy-D:気付いたら、だと思いますね。メンバーそれぞれが持ってる雑多な趣味性をアリにしていったら、こうなった。別に特殊な立ち位置に行こうって話し合ったこともないし。
―雑多な趣味性がアリになったのは、振り返ってどの辺りがターニングポイントでしたか?
Mummy-D:例えば、宇多さん(宇多丸)がアイドル好きを表明するのをアリにしたのは随分と前だけど……あくまでRHYMESTERの音楽性ということで言うなら、2002年に『ウワサの伴奏~And The Band Played On~』というアルバムを出した時かな。『ウワサの真相』(2001年)というアルバムの曲を、いろんなバンドとコラボして再構築したアルバムで、それを作っていく中でヒップホップの外のミュージシャンたちとの共通言語や付き合い方を掴んだんですよね。その時に得た人脈から急速に世界が広がって、それとほぼ同時にロックフェスから声がかかるようになった。今振り返ると、あのアルバムがターニングポイントだった気がします。
宇多丸:外から見たらヒップホップって「ゴリゴリの人たち」というイメージもあるし、俺たち自身もそれまではそう見られていたところがあったんですけど、あのポイントで「オープンな人たちだ」というイメージに変わったんじゃないかな。
―フェスはどういうターニングポイントになりましたか?
DJ JIN:フェスに出るようになるまで、僕らが曲を作る時に想像する現場は夜のクラブだったんですよ。でも、ロックフェスに来ているお客さんをどうロックするかを考えるようになった。
―以前KREVAさんにインタビューさせてもらった時も「RHYMESTERは、夏フェスに出るようになってからその場に対応する曲を用意するようになった」と言っていました。
Mummy-D:クレ(KREVA)がそう言ってたんだ? 俺らの悪口言ってなかった?(笑)
―悪口じゃなかったです(笑)。賢いチームとして、KREVAさんなりに尊敬していると。
宇多丸:そうなんだ。KREVAのRHYMESTER評はあんまり聞かないからね(笑)。
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