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【政治】

日米防衛新指針 安保条約も逸脱 政府決定 国会関与せず転換

 安倍政権が米国と合意した自衛隊と米軍の役割分担を定めた新たな日米防衛協力指針(ガイドライン)は、日米安全保障条約の実効性を担保するものと位置づけられてきた。だが、新指針は「日本と極東の平和と安全」を目的とした条約の枠を超える内容で、国会の審議、承認も必要としない。国会の関与がないまま、日本の安全保障政策の転換が日米の政府間協議だけで進んだ。 (金杉貴雄)

 新指針は日米外務・防衛担当の四閣僚が合意手続きを行い、安倍晋三首相はオバマ米大統領との二十八日の会談でこれを確認した。

 外国などと結ぶ条約であれば改正には国会での承認が必要になる。だが、安保条約に基づく新指針は、国会は改定に関与できない。位置付けとして「いずれの政府にも法的義務を生じさせない」と規定される一方で、「それぞれの判断で具体的政策と措置に適切に反映することが期待される」と明記。日米の政府間合意は国際約束と同じ意味を持つ。

 一九九七年の前回改定も日米合意後に日本の国内法整備が行われた。しかし、今回の新指針は日本の安全に加え「アジア太平洋とこれを越えた地域」での協力をうたった。安保条約の範囲を大幅に超え、地球規模で軍事協力を行う改定内容は、九七年と比較にならないほど大きな変更を伴う。

 新指針に盛り込まれた戦時の機雷掃海や米艦防護、弾道ミサイル防衛などの集団的自衛権を行使する活動内容は、国内法を国会で審議、成立させなければできない。国内的な合意を経ることなく、政府は米国との約束を交わした。

 自民党の高村正彦副総裁は二十八日の党会合で「最初は安保条約の義務を果たすだけでよかったが、地域の安保環境が変化している中で、グローバルな協力をすること自体が同盟の堅固さを発信する」と主張した。

 

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