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経済産業省が、2030年の電源構成(エネルギーミックス)について、きの…
経済産業省が、2030年の電源構成(エネルギーミックス)について、きのうの審議会に骨子案を示した。省エネ対策を進めて年間の電力需要を今より17%(1961億キロワット時)減らしたうえで①水力を含む再生可能エネルギーの割合を22~24%②原子力は20~22%程度、とする中身である。
原発比率を「20~22%程度」とすることには、問題がある。
というのも、「20~22%」は事実上、40年超の原発も運転し続けることを前提にした数字だからだ。この水準を維持するには、原発を新増設するか運転を延長するしかないが、政府は「新増設は考えていない」との姿勢を崩していない。
福島第一原発の事故後、原子炉等規制法が見直され、原発は40年を寿命とする原則が決まった。この法律と整合しない数値を示すことに、正当性はあるのだろうか。
国内で建設が始まった当初、原発は30~40年の寿命が前提とされてきた。だが、新規立地が難しくなり、主として経済的な要因から運転延長が認められてきた経緯がある。
ただ、運転を長く続ければ原子炉圧力容器などが劣化し、安全性も下がる。事故後は「供給側の事情に配慮するような発想を切り離す」ことを目指して、運転を40年に制限することが改正法に盛り込まれた。
法律には原子力規制委員会の特別な審査に合格すれば1回だけ最長20年の延長が認められる規定がある。
ただ、これは法案をつくる時点で、電力不足に陥る懸念があったために「極めて例外的」なケースとして設けられたもので、規制委の田中俊一委員長も規制委発足時の会見で「(特別審査への合格は)相当困難」との認識を示している。
国内の原発は運転開始から30年を超えるものが多く、40年規制を自動的に当てはめるだけで、30年時点での原発比率は15%程度に低下する。
大地震の恐れや活断層などの問題があったり、十分な避難計画が策定できなかったりする原発については寿命をまたずに閉めることを踏まえれば、比率はさらに下がるはずだ。
電力会社側は「40年には科学的根拠がない」として、関西電力が3基について運転延長を申請する準備に入っている。しかし、審査に通るかどうか、現時点では見通せず、40年超を前提にすることには無理がある。
骨子案をもとに、政府は6月にも電源構成を決める。原発比率は再考するべきである。
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