<スゴ技Q もう失敗しない!ハンバーグ ワンランクアップ術>
専門家ゲスト:松石昌典さん(日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 教授)
ゲスト:宮崎美子さん(女優)、水道橋博士さん(タレント)
リポーター:宮下純一さん(タレント・元水泳選手)
定番料理シリーズ、今回は、こどもも大人も大好きなハンバーグです。
家庭でもよく作る料理ですが、街で聞いてみると、9割以上の人が「焦げる」「割れて肉汁が出てパサパサになる」「生焼け」といったお悩みを抱えていました。
そこで、老舗洋食レストランでハンバーグを作って20年の料理長に、ジューシーさを保ち、外はカリッと中はふんわり焼き上がったハンバーグの作り方を教えてもらいました。そのスゴ技は、材料、肉の練り方、空気の抜き方、成形、そして、焼き方まで、数多くありますが、どれも、簡単ですぐにできるものばかり!
そして、明治時代のレシピに、失敗せずに焼け、かつ、ソースのおいしさをアップしてくれる威力を持つスゴ技を再発見!さらに、冷めても硬くならずにやわらかい、お弁当にぴったりのハンバーグを作るスゴ技もご紹介しました。
老舗洋食レストラン料理長・榊原大輔さんが教えてくれたジューシーさアップの方法は、まず、パン粉の代わりに「麩(ふ)」を使うというスゴ技でした。
麩は袋に入れて麺棒で砕き、ふるいにかけて細かくして使います。
分量はパン粉と同じで、牛乳に軽く浸して使います。
(※お店ではパン粉を使ったハンバーグを提供しています)
・あいびき肉・・・500グラム(牛3:豚1)
・塩・・・5グラム
・炒めたまねぎ・・・25グラム
・パン粉・・・25グラム ※麩に代える
・牛乳・・・85ミリリットル
・卵・・・1個
・こしょう、ナツメグ・・・少々
麩の主成分は網目構造をしている「グルテン」というたんぱく質です。
肉と混ぜることで、もともとあった肉のたんぱく質・ミオシンの網目構造と、グルテンの網目構造がダブルになって肉汁を閉じ込めてくれます。
グルテンは、麩に、パン粉のおよそ2倍含まれているため、パン粉よりも肉汁を閉じ込める効果が高いのです。
麩とパン粉、そして大豆から作った「おから」、お米から作った「せんべい」を使ってハンバーグを作り、中に含まれている肉汁の量を計測してみると、やはり麩がいちばん肉汁を閉じ込めていました。
<取材協力>
榊原大輔さん(洋食料理店 料理長)
筒井知己さん(東京聖栄大学 健康栄養学部 食品学科 教授)
ハンバーグを作る行程にもそれぞれスゴ技がありました!
肉が温かくなると網目構造ができにくくなるので、ボウルを氷水で冷やしながら混ぜるのがオススメです。かつ、肉は調理の直前に冷蔵庫から取り出し、肉がなるべく0度近くを保つように、素早くしっかり練ることが大切です。
肉と最初に混ぜるのは塩です。
ひき肉の粒がなくなり、全体に白みがかり、粘りが出るまで混ぜるのがポイントです。
塩を入れることで、肉のタンパク質のミオシンなどが網目構造を作り、割れにくくなるのです。
空気が入っていると、加熱したときに肉汁が逃げ道を探し、空気の穴に入り込んでそこから割れてしまいます。
割れないハンバーグを作るためにはしっかり空気抜きをすることがポイントです。
榊原さんは、両手の間の距離を短くし、たたきつけるようにして、およそ10回、5秒で終了。なかなかうまく出来ない、という人は、ラップでハンバーグのタネを包み、巾着のように絞れば簡単に空気抜きができます。
成形ができたら、焼く前に、油をつけた手で表面をなめらかにすることが大切です。
火が均等にあたるだけでなく、肉のなかのミオシンなどが、まんべんなく表面に広がり、割れにくくなると考えられます。
ハンバーグを焼くときの、榊原さんオススメの最初の火加減は、中火です。
中火で、表面に薄茶色の焼き色がつくまで焼いたらひっくり返し、逆の面も同じように焼きます。両面に焼き色がついたら、ふたをして5分弱火で蒸し焼きにします。そのあと、火を消してふたをしたまま5分蒸らします。
ひっくり返すのは1回だけ、そしてふたをしたら開けずにじっと我慢して待つことが大切です。
中火の目安は炎の先端がフライパンの底につくぐらいです。
<取材協力>
松石昌典さん(日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 教授)
明治15年に日本で最初にハンバーグを公の場で披露したという料理学校を訪ねました。
現存する学校最古のハンバーグのレシピを見てみると、タネを成形した後に小麦粉をまぶして焼くという行程が記されていました。
再現してみると、小麦粉をまぶさない方からは肉汁が出てしまうのに対して、小麦粉をまぶしたハンバーグからはあまり肉汁が出ませんでした。
小麦粉の専門家、山田昌治さんによると、これは、小麦粉に含まれるでんぷんがゆっくりと熱を伝える性質があるため、焦げずに、中までゆっくり火を通すことができるのに加え、同時に、加熱が続くとのり状になって肉汁を閉じ込めてくれるためだと考えられるそうです。
・牛肉(もも 塊)・・・600グラム
・塩・・・小さじ1
・こしょう・・・少々
・玉ねぎ(生 みじん切り)・・・小さじ1
肉は包丁で細かくみじん切りにして、6個に分け平たく成形し、表面に小麦粉をまぶします。そして、当時はフライパンの蓋がなかったので、しっかり火が通るように、油を敷いたフライパンで5~6回ひっくり返してよく焼きます。
ひき肉で作る場合は、牛肉だけでは硬く仕上がってしまうので、豚肉とのあいびき肉がオススメだと、赤堀さんはおっしゃっていました。
<取材協力>
赤堀博美さん(料理学校校長)
山田昌治さん(工学院大学 先進工学部 応用化学科 教授)
お弁当にハンバーグを入れると、食べるときには冷めて硬くなってしまいがち。そこで、料理研究家・藤井恵さんに冷めても硬くならない技を教えてもらいました!それは、一般的な材料に加えて、マヨネーズを肉の重さの5パーセント入れるというものでした。
・あいびき肉・・・400グラム
・マヨネーズ・・・20グラム(大さじ3分の2)※肉の重さの5パーセントが目安です
<A>
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・炒めたまねぎ・・・2分の1個
・卵・・・1個
・パン粉・・・4分の3カップ
・牛乳・・・大さじ4
・塩・・・小さじ3分の1
・こしょう・・・少々
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材料の混ぜ方がポイントです。最初にひき肉にマヨネーズを加えて、まんべんなく肉に混ぜ合わせます。次に、Aを別のボウルで入れて混ぜてから、(1)を加えて混ぜ合わせます。
食品のおいしさを研究して28年の白井隆明さんによると、マヨネーズを先に肉にもむ込むと、マヨネーズが肉の網目構造の中に入り込み、焼いたときにたんぱく質どうしが結合する力を弱めので、かたくならないのではないかということでした。
マヨネーズを入れたハンバーグと入れてないハンバーグを崩れるまで荷重をかけて、柔らかさを測定しました。すると、マヨネーズが入ったハンバーグの方が弱い力で早く崩れ、柔らかいことがわかりました。
<取材協力>
藤井恵さん(料理研究家)
白井隆明さん(東京海洋大学 特任教授)
先週21日に放送した「3シェフNEO マリネ特集」に、“マリネを食べたあとのマリネ液がたっぷり残ってしまってもったいのだけど、よい利用法は?”という問い合わせをたくさんいただきました。今回は、そのご要望にお応えして、マリネの達人によるリメーク料理のアイデアをお伝えしました。
<マリネ液の材料>
・バルサミコ酢・・・小さじ2
・塩、こしょう・・・各適量
・エクストラバージンオリーブ油・・・大さじ2
<作り方>
<すし酢カレーマリネ液>
・すし酢・・・150ミリリットル
・オリーブ油・・・大さじ3
・カレー粉・・・小さじ2
■カリフラワーのマリネ