| 機動警察パトレイバー(4) (少年サンデーコミックス) (2012/09/25) ゆうきまさみ 商品詳細を見る |
太田功は、野明と共に、第二小隊でイングラム二号機に搭乗する。
レイバーに乗って戦うことが出来る数少ない男子のひとり。
基本プロフィールをいつものごとく、Wikipediaから参照しましょう。
警視庁警備部特科車両二課第二小隊員。二号機フォワード(操縦担当)。階級は巡査。岩手県釜石市出身。よく言えば生真面目で正義感の強い熱血漢、裏を返せば、直情径行で猪突猛進なだけの熱血馬鹿。規律重視で融通が利かない性格ゆえに、自分よりも階級や実力が上の相手にはわりと素直に従う一方、同僚隊員(特に遊馬)と衝突することが多いが、危機には勇んで駆けつけようとする仲間思いな心根にはブレがない。漫画版の初期では、特車2課の隊員の中で唯一「正規の教育を受けた警察官」であるという自負からか、いわゆる「予備校出身の即席警官」である他の隊員を、少々見下しているようなフシがあった。
Wikipedia:「太田功」より
体育会系熱血バカではあるが、正義感が強く、それでいて意外とフェミニストでもある。
古き良きロボットアニメであれば、太田が物語の主人公であってもおかしくはない。
別の言い方をすれば、週刊少年サンデーではなく、ジャンプかマガジンに連載していたら、太田が主人公だったかも知れない。
しかし『機動警察パトレイバー』の主人公は、女性主人公・泉野明、男性主人公・篠原遊馬の2人。
太田ではなく、この2人が主人公になるところがこの作品らしい所であり、巧みなところです。
遊馬がレイバーには乗らず(乗れず)、太田がレイバーに乗って戦えるのは、端的に言って太田が「バカ」だからだと私は思います。
「バカ」ゆえの純粋性と幼児性
「バカ」と言っても、知能指数が劣るわけではありません。
体制側のロボットに乗り、正義の名のもとに、その力を振るうことに屈託があるかないかです。
さらにいえば、冗談のような趣味デザインのパトカーロボットに乗って、ロボットアニメの主人公として正義を執行することを、引き受ける覚悟があるかどうか。(そして、それが恥ずかしくないか)
遊馬はお利口さんなので、そのポジションには立ちません。
もちろん、篠原重工(父)の作ったレイバーだということも拒む理由のひとつでしょうが、そもそもそういったややこしい背景が太田には無いのです。
国家のロボットに乗り、正義の名のもとに、悪党を征伐する。できれば銃で。
太田がレイバーに乗る理由はこれです。シンプル。
かくして、悪・即・弾の太田と、イングラム大好きっ子の野明の「バカ」2人が第二小隊のフォワードになりました。
遊馬、進士、山崎の男子3名は、適性以前に考えることが多く、「バカ」ではないので、レイバーには乗れないでしょう。
自分のやりたいことをやりたいように行動する、それができる「バカ」であることは第二小隊のフォワードであるための「RIGHT STUFF(正しい資質)」なのです。
国家をバックにした太田の暴力
体制側で力をふるうことにためらしのない太田は、やたらに銃を撃ちたがり、暴走を続けます。
彼の正義は「バカ」であるがゆえの行動力と共に、純粋性と幼児性に満ちています。
この幼児的な正義には「しつけ」が必要ですが、進士は太田を全く止められません。
太田と同じ男性である進士が止めるには、太田以上の「力」が必要だったでしょう。
恐らくそれ以外に屈服させる方法はありません。
そこで二号機の指揮は熊耳武緒が担当することになりました。
熊耳は実力的にも太田より上なのですが、それも含めて、子供をしつけるお母さんですね。
実力の問題だけではなく、恐らく原理的に、太田は熊耳に勝てないはずです。
今回のパトレイバー企画を一緒に始めたものの、圧倒的に先行しているpsb1981さんは太田について、こう書いていらっしゃいます。
この彼の存在はパトレイバーという作品のテーマの一つを浮かび上がらせるのではないだろうか。それは太田じゃない人間は、どのようにすればレイバー(ロボット)に乗って、正義を執行できるのか、であり、また太田の正義はどのように担保されるのか、だ。
後者の疑問については作者がすぐに答えを提示してくれる。それは太田を指揮するのが熊耳武雄(女性)だということだ。つまり正義(の暴力)を振るう男性を女性がコントロールしているのである。
太田功(カテジナ日記)
http://tentative-psb1981.hatenablog.com/entry/2015/04/04/201258
男の子がロボットに乗ることで社会に関わるというロボットアニメのモデルを考える上で、この太田&熊耳コンビと、役割と性別が逆転している遊馬&野明コンビは良いサンプルになってくれそうです。
全員に対して逆位置で関われるキャラクター
この他に個人的に、太田を面白いと思うのは、第二小隊メンバー全員に対して逆位置に立てるところです。
泉野明に対して
技の1号と力の2号。女性的な1号機に対しての男性的な2号機として。
篠原遊馬に対して
ひねくれて冷めた若者である遊馬に対しての、直情・熱血のケンカ相手として。
文化系キャラと体育会系キャラの対立。
進士幹康に対して
気弱な知性派メガネキャラクターに対しての、強気の肉体派太眉キャラクター。
山崎ひろみに対して
温和で平和主義のひろみちゃんに対しての、好戦的なキャラクター。
レイアウト上、巨体と低い身長の視覚的コントラスト。
熊耳武緒に対して
学級委員に対しての、ガキ大将的なキャラクター。
(ただし熊耳が格上を証明したため、強い者に従う番長ルールで素直に従う)
コンビという意味では、男性が指揮することで女性パイロットに力を仮託するコンピ(野明&遊馬)に対しての、男がロボットで暴力をふるうのを女性が制御するコンビという対比。
このように全てのキャラクターに対して逆位置に立てるのは、太田功だけ。
こう見ると本当に主人公タイプだな、と思いますが、本作で脇役の太田は、他のキャラクターの個性を引き立てるのにかなり貢献しているはずです。
太田がいなければ、第二小隊キャラクター相関図は線の数が少なく、また線が弱々しいものになっていたでしょうね。作品にとって重要なキャラクターです。
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