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「一本締め」と「三本締め」の違い 語源薀蓄シリーズ①
ライター:gentlexx01さん(最終更新日時:2013/6/13)投稿日:2013/6/5 アドバイス受付中!
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一本締めと三本締めの違い
<まえがき>
宴会終わりの手締めにおいて、一本締めとか三本締め、あるいは一丁締め、関東一本締めなどいろいろな締め方があります。
しかし、一本締めと言っても、一回だけポンと叩く人と、十回叩こうとする人と両方いて全く揃わず、まさに「締まらない」散会となってしまうこともあります。
そこで、それぞれの手締めの名称あるいはスタイルについて、解説をしてみます。
<一本締めについて>
一本締めの正式なスタイルは、チョンチョンチョン、チョンチョンチョン、チョンチョンチョン、チョンとリズミカルに十回手を叩くものです。
後で解説しますが、一回だけチョンと叩くのは「一丁締め」あるいは「関東一本締め」というもので、一本締めとは似て非なるものです。
では、なぜ十回も叩くのかといいますと、これには深い意味があります。
まず九回叩くのが九=苦労に通じる、
さらに一回叩く=一(点)を足す、
つまり「九」に「点」がついて「丸」になる、ということで、
再整理しますと、「苦労して頑張った結果、全てが丸く収まる」という意味があるそうです。
この作法=スタイルについては、歌舞伎の公演にあたり、総稽古始めと総稽古終わりの際に関係者が集まってこうした手締めをしたスタイルが定型化・一般化したということです。
<なぜ「一本」締めと言うのか?>
十回も手を叩くのに、なぜこれを「一本締め」と言うかというと、実は「三本締め」との差別化ということのようです。
舞台公演などで終演の際、出演者が舞台に勢ぞろいして観客にお礼のご挨拶をしますが、最初に左側客席に向かい一礼、右側客席に向かい直して一礼、最後に真ん中客席に向かって一礼をします。「三方礼」というものですね。あまねく全ての方々に礼を尽くすという意味味合いだそうです。
この三方礼の考え方に基づいて、手締めを三回繰り返す=関係した全ての方々にあまねく感謝や敬意の意を表すというのが、三本締めの主旨ということです。
この「十回×三回」の手締め=「三本締め」に対し、「十回×一回」の手締めを「一本締め」ということになったらしいですね。
そう考えますと、私見では、「内外の関係者の集うパーティーの」場合には三本締め、「会社の宴会など内輪の宴席」の場合には一本締めが、その場にそぐうような気がします。
<一丁締めとは?>
これらに対し、一回だけポンと手を叩くのは、込められた主な意味合いが抜けてしまった「まさに手を抜いた」簡略型ということになります。
これを一本締めと区別するために「一丁締め」と呼ばれたわけですが、「関東一本締め」の言い方もあります。
プロ野球のキャンプ打ち上げの際、この一丁締めで締める球団選手の「手締め」がテレビで広く放映されたりするうちに「一回だけの手締め」が広まってきて、名称の紛らわしさから「一本締め」と混同されるようになったとも言われています。
込められた意味を考えますと、個人的には、最低十回叩く本来のやり方の方が「有り難味」があって好きです。
<手締めについて>
しかし、ここで、大元に帰り、「手締め」について考えてみましょう。
「手締め」とは、手を叩いて場を締める=関係者に敬意を表し、労い、今後の発展を祈念するセレモニーといえます。
そもそも「手を叩く」のは、相手を敬い尊敬の念を表す行為です。
神社で「拍手を打つ」ことをイメージするとわかりやすいでしょう。あるいは、優れたパフォーマンスに対し「拍手で讃える」のも、根源は同じと考えられます。
喧嘩や揉め事、争い事を収束させる際も「手を打つ」「手締めをする」と言います。
これも、一切を水に流して相手を讃え、認め、将来に向かって互いに尊重しあうためのセレモニーとして「手を打つ」というわけですね。
もっとも、この場合は、「行為として」手を打つのではなく、和解・妥結すること自体を「手を打つ」という言葉で表現するだけですが。
このように、考えてみますと、「手締め」=「手を打つ」こと自体に深い意味があるわけでもありますから、十回だろうと一回だろうと、それはそれでやはり意味深い作法=日本文化の一端と考えるべきではないでしょうか。
<それぞれの使い分け>
このように考えてきますと、次のように会の趣旨や場面に応じて使い分けをすればよいのではないかと思料します。
公式・正式な行事で、主催者のみならず内外の関係者が多数集うパーティー
→ 三本締め
会社の忘年会や歓送迎会など、単一組織の宴会
→ 一本締め
居酒屋やパーティーションで区切られた会場などで行われ、何回も手打ちをすると部外者に迷惑をかけるような場所
→ 一丁締め
<あとがき>
「言葉の語源」や「慣習の成り立ち」については、長い年月の中でいつの間にか生まれ変遷していった言葉・風習のそもそものいきさつや由来を「推察」するものであり、諸説入り混じるもの、こじつけ紛いのもの、当て推量の類などいろいろあって、どれが真実なのかは誰もわからないものです。
このレポートも、あくまでこれが正解だと声高に主張するつもりは毛頭なく、こういう見方や解釈もあるという「読み物」として読んでいただければ幸いです。
以上 次回に続く
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