【ソウル聯合ニュース】韓国政府が27日、民間団体による北朝鮮向けの肥料支援を5年ぶりに承認した。
政府は2010年3月に発生した海軍哨戒艦「天安」撃沈事件を受け、同年5月から北朝鮮に対する制裁措置を実施している。人道的な支援も社会的弱者を対象にしたものだけに限定し、肥料支援は食糧に準ずるとして実質的に禁止してきた。
統一部はこの日、北朝鮮を支援するため温室造成事業を推進する財団法人エースギョンアムに対し、畑・温室用品をはじめ、肥料や農業資材など2億ウォン(約2200万円)相当の人道的な支援物資の搬出と、陸路での訪朝を承認した。
同部当局者によると、肥料支援は15万トン規模となる。政府は昨年ドイツ・ドレスデンで南北関係の改善に向けた農畜産業協力などを提案して以降、農畜産業や山林分野の支援を認めており、この温室造成事業に必要な小規模な肥料支援を承認したと説明した。
財団関係者は28日に陸路で支援物資を北朝鮮の黄海北道に運び、畑・温室設置に関する技術支援を行い、来月2日に韓国に戻る予定だ。
この温室造成事業について政府関係者は、政府が推進中の複合農村団地造成事業にも通じる部分があると話す。
小規模とはいえ、政府が5年ぶりに北朝鮮への肥料支援を承認したことから、ほかの事業者も肥料支援を申請すると予想される。ただ、政府は透明性が保証される小規模の肥料支援は承認する方針だが、現時点で大規模な肥料支援は検討していないとする。
統一部のある当局者は「大規模な肥料支援は南北関係の状況と国民の情緒を考慮すべきだ」とし、「小規模な肥料支援の承認は対北制裁措置とは関係がない」と一線を画した。