【社説】中国人観光客数の伸び悩みは自業自得

 整形手術専門ブローカーに現金を渡して中国人患者を誘致したソウル江南周辺の複数の整形外科が家宅捜索され、身元が把握された複数のブローカーが出国禁止となった。韓国で整形手術を受けた中国人の被害の実態が中国メディアを通じて現地で報じられたこともあり、その悪影響を心配した検察が今回捜査に踏み切ったようだ。

 昨年韓国にやって来た中国人観光客が600万人を超え、中国人を対象とした整形手術も大きく増加している。2009年に791人だった中国人の整形患者数は、13年には1万6282人へと一気に20倍に増えた。また中国側の集計では昨年だけで5万6000人以上が韓国で整形手術を受けたという。ところが一部の整形外科では、韓国人に対しては150万ウォン(約17万円)で行っている二重まぶたの手術に、中国人観光客からは500万ウォン(約55万円)を受け取っているという。中国人の団体整形観光客を連れてくるブローカーに、手術費の50%から多いときは90%も支払わねばならないのがその理由だ。業界では、中国人整形観光客の半分以上はこのような違法ブローカーを通じて韓国を訪問しているとみている。

 医療事故も相次いでいる。今年1月末にはソウル市内のある整形外科で目、鼻、額の手術を受けた50歳代の中国人女性が脳死状態となり、直後に死亡した。また先月には20代の中国人女性が豊胸手術を受けていた途中に突然昏睡(こんすい)状態となる事故も発生した。今年に入ってこのような韓国整形観光の問題点を告発する中国メディアの報道は100件近くに達しているという。

 韓国文化観光研究院の調査によると、韓国を訪問した中国人観光客が再び韓国を訪問する割合はわずか25.7%にとどまっていることが分かった。また昨年40%を上回っていた増加率も、今年3月には22%にとどまり、今月はさらに低い10-15%程度となる見通しだ。これに対して中国最大の連休となる春節(旧正月)の期間中に日本を訪問した中国人は45万人で、韓国にやって来た12万人の4倍に達している。韓国の観光資源が貧弱なことも原因だが、無分別な整形手術など、観光客に対する悪質かつ一発屋的な対応も大きな問題だ。中国人観光客伸び悩みの現状は、これら韓国における観光業界の実態が招いた自業自得と言わざるを得ない。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース