関口一喜 イチ押し週刊誌

スマホは個人情報を丸ごと入手できる玉手箱

  • 文 関口一喜
  • 2015年4月28日

写真:スマホは「あなた」以上に「あなた」のことを知っている スマホは「あなた」以上に「あなた」のことを知っている

写真:      週刊ダイヤモンド(ダイヤモンド社)2015年4月25日号

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 ほとんどの人にとって、スマートフォンはいろいろな機能の付いた便利な携帯電話というぐらいの認識かもしれない。が、企業サイドから見ると消費者の個人情報を丸ごと入手できる玉手箱なのだという。『週刊ダイヤモンド』(4月25日号)によると「スマホは『あなた』以上に『あなた』のことを知っている」らしい。たしかに、朝から寝ているときまで……、そういえばトイレの中まで一緒なのだから、家族にも見せたことのない姿や秘密、自分も気づいていないクセや潜在意識まで知られてしまっている。スマホはどんなことを知っているのか。

 朝起きてニュースアプリを開いた途端に、年齢、性別、アプリ利用状況、端末IDが運営会社に伝わり、見ている内容から興味・関心事などが類推できる。SNSは趣味・関心事、居住地、出身地、勤務先など個人を特定するような情報の宝庫。通話アプリからは位置情報、移動情報、通信記録、電話帳情報が入手でき、インターネットの検索内容で関心事や仕事なども想像がつく。ネット販売の購入履歴から所得、生活水準、生活状況、関心事などが類推できるという。

 スマホだけではない。スイカ、パスモなどには自宅・勤務先やよく行く場所、コンビニエンスストアのポイントカードには生活水準、生活状況を知るヒントが詰まっている。先週発売されたアップルウォッチのようなウェアラブル端末を使えば、走った距離、血圧、心拍数、睡眠時間、食事内容などがわかり、そこから健康状態も把握できる。

 「便利さと引き換えに、あなたは自分の個人データをせっせとサービスの運営会社に差し出しているといえるのだ」「『氏名がなければ大丈夫』と思う人も少なくないかもしれないが、侮るなかれ。あなたのデータは、いまやサービス提供会社だけでなく、あなたのあずかり知らないところで、さまざまな企業にも奪われている」「そのうち一つでも実際に会員登録などをすれば、あなたの氏名の下に全ての情報が一気にひも付けされてしまう」と『週刊ダイヤモンド』は注意を呼び掛けている。

 こうしたビッグデータは医療、防災、社会インフラの整備にも活用が広がっていて、安倍内閣は成長戦略の一つに位置付け、その経済波及効果を年間7兆7000億円と試算している。「個人データは21世紀の新たな資源、まるで新しい石油のような存在になっており、今後、争奪戦が激しさを増すのは確実だ」(『週刊ダイヤモンド』)

 皮算用先行で“私の情報”の保護がなおざりにされているような気がする。

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PROFILE

関口一喜(せきぐち・かずのぶ)

1950年横浜生まれ。週刊誌、月刊誌の記者をへて76年に創刊直後の「日刊ゲンダイ」入社。政治、経済、社会、実用ページを担当し、経済情報編集部長、社会情報編集部長を担当後、統括編集局次長、編集委員などを歴任し2010年に退社。ラジオ番組のコメンテーターも10年つとめる。現在はネットニュースサイト「J-CAST」シニアエディター。コラムニスト。

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