考える力と学校の成績の関係

はじめまして。村上さんを知ったきっかけは知り合いに村上春樹さんの書く小説によくいる人ね、という言葉でした。『海辺のカフカ』を一番最初に拝読させていただいたのですが、いざ読んでみたら自分の好みとぴったり重なってとてもよかったです。中でも大島さんと田村カフカくんが好きです。大島さんが好きなのは実は自分も性同一性障害であり、更に男性を好きになる片鱗があるので……。まあ完全にそうというわけでもないのですが。
さて前置きはここまでとして、『海辺のカフカ』をよく読み返し深く考え、この場面はこういう事なんじゃないかという事や、ついでに哲学的な事を父親に話しました。すると父親は褒めてくれたには褒めてくれたんですが、「なんで勉強はできないのにそういう事を上手く考える力はあるのかな。普通勉強ができてそれができるんじゃないのか?」と言います。現在中高一貫の私立に通っているのですが、たまたま受験で受かってしまい定期テストの順位が割と下の方です。それなのに絵を描くのが好きで授業中によく落書きをしてしまったり、父親の言っていることは裏を返せば、勉強ができないやつはそういうことを考えてもダメだ、あるいは無理なはずだ、と言っているように聞こえてしまいます。村上さんは勉強ができるらしいので、やっぱりそういう事なのでしょうか。意見をお聞きしたいです。拙い文章と長文申し訳ないです。
これからも応援しています。
(けい、13歳、中学一年生)

考える力と学校の成績って、あまり連動しないものじゃないかと僕は思いますよ。成績はいいけど、自分の意見なんてほとんど持っていないっていうようなやつは、けっこういますよね。自分の頭でものを考える力って、ある人にはあるし、ない人にはないんです。それは成績とはあまり関係ありません。僕はそう思っています。きみのお父さんとはちょっと考え方が違うかもしれないけど。

本を読むことは、自分の頭でものを考えるためのいちばん役に立つ訓練です。僕も本ばかり読んでいたので、学校の成績はあまり良くありませんでした。そのかわり自分の意見だけはいっぱい持つようになりました。あなたも自分の意見を持てるようになってください。いろいろとたいへんそうだけど、うまくやってくださいね。

村上春樹拝