セウォル号船長に無期懲役 乗員14人は減刑=控訴審判決

【光州聯合ニュース】韓国旅客船セウォル号の沈没事故で、乗客を救助せずに船を脱出したとして殺人罪などに問われた船長のイ・ジュンソク被告(69)ら乗組員15人の控訴審判決が28日、光州高裁であり、イ被告に無期懲役(求刑死刑)が言い渡された。徐慶桓(ソ・ギョンファン)裁判長は一審では認めなかった殺人罪を適用した。

 昨年4月16日に起きた事故では修学旅行中の高校生ら304人が死亡・不明となった。イ被告は乗客らへの救助を怠ったとして殺人罪などに問われたが、昨年11月の一審は殺人罪を認めず、遺棄致死罪などで懲役36年を言い渡した。

 残る14人にはそれぞれ懲役1年6カ月~12年が言い渡され、一審より減刑された。

◇「未必の故意」による殺人罪認定

 今回の判決は大規模事故の裁判で「未必の故意」による殺人罪が認められた初のケースとなる。

 一審で認められなかった殺人罪を適用するかについて、イ被告が脱出前に2等航海士に対し乗客に脱出を命じる放送を指示したかどうかが焦点となった。

 控訴審判決は事故直後の状況や被告人の供述などから、イ被告が脱出を命じる指示をしなかったと判断し、未必の故意を認めた。

◇他の乗組員は減刑

 残る14人の乗組員については一審判決の懲役5~30年から1年6カ月~12年に減刑された。

 乗組員は大きな権限を持つ船長の指揮監督下に置かれている点や、乗客の救助を行ったかどうかなどが考慮された。

 労働契約書すら作成されないまま初めて乗船して事故に遭った2人については、一審でそれぞれ懲役5年、7年の実刑判決を受けたが、控訴審ではともに懲役1年6カ月に大きく減刑された。

◇遺族は反発

 徐裁判長は、高ぶる感情を抑えようと震える声で、何度かつまりながら量刑の理由を朗読。「幼い生徒ら304人を放置し、船長として何の役割も果たさずに、乗客をひどい苦痛の中で死に至らしめ、先に脱出した」と指弾した。

 傍聴した遺族らは判決が出されると、乗組員の減刑を不満とし一斉に非難の声を上げた。

 遺族らでつくる「4・16家族協議会」のチョン・ミョンソン運営委員長は、船長のイ被告以外が減刑されたことについて、「安全と人間の尊厳性の価値を高めることを妨げるもの」と批判した。

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