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商品開発を変える、秘密の「感情測定センサー」の威力 #WXD

もしユーザーが製品の何に反応し、どこに不満をもっているのかを正確に把握することが出来たなら、企業はよりユーザーに寄り添った製品をつくることができるだろう。デザインコンサルティング会社「mPath」の創設者、エリオット・ヘドマンが開発したリサーチ手法が、それを可能にする。本誌VOL.15(3/10発売)の総力特集「ワイアード・バイ・デザイン(WXD)」より転載。

 
 
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TEXT BY KYLE VANHEMERT
PHOTOGRAPHS COURTESY OF MPATH

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Elliott Hedman | エリオット・ヘドマン
mPath創設者、リードリサーチャー。MITメディアラボのアフェクティヴ・コンピューティング・グループで「感情センサー」の研究を行いながら、デザイン会社「IDEO」で1年間働き、2011年にmPathを創設。www.buildempathy.com

米国の家電量販店「ベストバイ」、パフォーマンス集団「ブルーマン・グループ」、そしてグーグルの研究機関「Google X」に共通することとは? 答えは、これらすべてがエリオット・ヘドマンの感情センサーを採用していることだ。

デザインコンサルティングファーム「mPath」の創設者であるヘドマンは、従来の観察的手法にストレスを測定するセンサーを組み合わせている。そのセンサーは、わたしたちの製品や体験に対するごく小さな感情の動きを明らかにする。例えば、家電メーカーが新しい掃除機をテストする場合、このセンサーは試験対象者が不満をもった瞬間を正確に示すことができるだろう。

まだ開発途上で、完全な技術ではないが、そのポテンシャルははかりしれない。将来的には、これまでにないほど高い精度でユーザー体験をチューニングできるようになるだろう。いつの日か、製品自体が自ら微調整を行うものをつくることだって可能になるかもしれない。

ヘドマンはMITメディアラボのアフェクティヴ・コンピューティング・グループ(感情情報処理を研究するラボ)で「皮膚コンダクタンス」を中心に研究を行い、感情センサー「The MOXO Sensor」を開発した。ストレスや興奮のような精神的な刺激が加わった人は汗をかき始める。そのわずかな発汗が皮膚の導電率に影響を与える。感情センサーはそれを測定し、興奮状態を記録する。

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指に接続する2本の電極が被験者の皮膚コンダクタンスを計測する。ストレスや不快、興奮などを感じたときに、計測している数値は跳ね上がる。

例えば店を訪れた女性にどのように感じたか尋ねるとする。その女性は売り場のすべての製品に興味をもったと答えるかもしれない。だが感情センサーによって皮膚コンダクタンスを調べることで、彼女がどのサインやパッケージを見たときに特に興味を示していたかがわかるようになる。

皮膚コンダクタンスは、主にこれまで研究室の中で測られていた。配線につながれて、ビーという発信音に反応する人がいるお馴染みの光景だ。だが、ヘドマンは「ビーやブーという音に反応する人は重要ではない」と言う。「これらのツールを使って人の感情の変化をもっと理解したいのです」。彼がメディアラボ時代に多くの時間を注ぎ込んで研究していたのは、リビングルームで遊んだり、コンサートホールで交響曲を聴いたりしているときに変化する感情をいかにして把握するかということだった。デザインファーム「IDEO」で1年間働き、どれほど自分の研究が彼らのデザインプロセスを補完できるか試してみた。そして2011年にmPathを創設した。

デザイナーのヒュー・ダバーリーは、ヘドマンの手法を評価している。「従来の研究では、ユーザーを観察し、感想を聞くことでフィードバックを得てきました」と彼は述べる。「そこに感情センサーを加えることで、より正確なデータを得ることができます。これは大きな影響力をもつツールとなるでしょう」

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