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 作家の辻村深月さんの小説「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」のドラマ化を進めていたNHKが、原作を出版した講談社にドラマ化の許諾契約を解除されて制作中止に追い込まれたとして、講談社に約6千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。岡崎克彦裁判長は「脚本の承認がされていない以上、許諾契約が成立したとは言えない。(NHKには)小説の主題に関する理解が十分でなかったきらいがある」などとして、NHKの訴えを棄却した。

 裁判では、作品の改変がどこまで許されるかが問われていた。

 NHKは訴状で、「脚本家が最初に考えた原作の変更点のうち、半分程度は脚色の必要性を説明することで原作者に納得してもらい、残りの半分程度は原作者の意向を優先して脚本家が脚本を書き直すというのがテレビ業界では一般的」などと訴えていた。

 一方、辻村さんは講談社を通し、「『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』は私が書いた、私の作品。小説として独立した存在であり、ドラマ化の単なる素材として、タイトルやうわべだけを取ってあとは好きにしてよいものではない」と主張していた。(守真弓)