プロとアマチュアの境目はどこに

村上さんへ。この手紙を書くのは二通目になります。ペンネームも変えてみました。何通もお手紙を書くのは或いはご迷惑かもしれないと思い躊躇いましたが、せっかくのチャンスなので二通まではいいだろうと勝手に自分を許してしまうことにします。ごめんなさい。
村上さんに伺いたいのは「プロとアマチュアの違いについて」どう思うか、です。
以前の自分は対価として金銭をいただいているか、そうではないか、がその境目だと思っていた節があるのですが、就職してみてそうではないな、と強く感じました。
クオリティの低い仕事をする人間、自分のミスを立場の弱い人間になすりつける人間、そもそも仕事をしていない人間……以前居た組織に属していた彼ら彼女らをプロと呼ぶことは自分には出来そうもありません。
村上さんはプロとアマチュアの境目ってどこにあると思いますか? 
忌憚ない意見を聞かせていただければ幸いです。
(折紙、女性、33歳、元某組織職員)

どういうお仕事をなさっているのかわかりませんが、とにかくその仕事でお金をもらって生計を立てていれば、それはプロということになると思います。ただプロの中にもいろんな人はいます。ゴルフでいえばレッスン・プロからツアー・プロまで様々です。でもそれで生活をしていれば、いちおうみんなプロです。

ただ個人的な意見を言わせていただければ、愚痴や不平や人の悪口ばかり言っているような人間を、僕はプロとは呼びたくないですね。本当のプロというのは黙って耐えるものです。まわりがなんと言おうと、自分のやるべきことをただ黙々と、手抜きなしに続けている人間です。僕はそう考えて生きていますが、そうでもないのかな。

村上春樹拝