26日に投票が行われた統一地方選後半戦は27日、すべての結果が確定した。東京都北区議選(定数40)で、トップの6630票で初当選した「筆談ホステス」斉藤里恵氏(31)は、北区役所で当選証書を受け取り、さっそく議員活動に向けたスタートを切った。

 「まだ実感がわかないです。証書を受け取り重みを感じております」。午後2時45分ごろ、区役所で当選証書を受け取った斉藤氏は、報道陣からの問いに神妙な顔つきで小型電子ボードにタッチペンで書き込んだ。

 耳が聞こえず、話し言葉も不自由という大きなハンディの中の選挙戦は、6630票を獲得。1947年の北区発足以来、同区議選での最高得票だった。北区の選管担当者は「ここまでの得票数は見たことがありません」と驚きを隠さなかった。

 26日は、深夜に及んだ開票で、開票結果が出た翌27日午前2時すぎに北区内の事務所で会見した。睡眠をわずか約1時間とった後、午前7時から十条駅でお礼の朝立ちをした。興奮して眠れなかったといい、やや疲れた様子。しかし「人の心が聞こえる街を目指したい」と今後の抱負を力強くボードに書き込んだ。

 斉藤氏はシングルマザーで4歳の長女栄万(えま)ちゃんを育てている。朝、「おめでとう。やったね」と(口の動きで)伝えてもらったと明かし、「うれしかった」と笑顔をみせた。

 斉藤氏はこの日北区議会事務局を訪れ、どのような方法で議会でやりとりをしていくかの打ち合わせを行った。斉藤氏の関係者によると、手話通訳やパソコンを使って音声をテキスト化しての聞き取りソフトや読み上げソフトを使うなどの方法が話し合われたという。議会事務局によると、本会議場にパソコンの持ち込みは現在は認められておらず今後、議員間での申し合わせや規則の改正なども考えられるという。同事務局では「議会活動が円滑にできるように最大限に取り組んでいきたい」と話した。【上岡豊】