この世の果てブログ

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Apple Watch のレビュー記事を読んで感じる「キサマ等のいる場所はすでに林信行氏が2000年前に通過した場所だッッッ」感

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厳選したしかるべきジャーナリストやライターに発売前の新商品を使わせて、各媒体にアップされる先行レビューで世間を盛り上げる、というアップルの戦略はおそらく正しいだろうし、実際に購入するか否かを決める際の参考にもなるので、俺も好んで読むのだが、そういった先行レビューがあまりにも詳細かつ、言葉を尽くしたものだと、発売後に通常ルートで手に入れて書かれたレビューが全て陳腐化されてしまい、なにを書いても死屍累々、という状況を、Apple Watch に関して日々目にしている。

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日本においては、Apple Watch に関しては林信行氏(@nobi)が発売前に全てを語ってしまった。微に入り細に入り、言葉の伽藍を築き、全てを語ってしまった。


これらが全て、発売前にアップされているのである。もはやなにを語っても、林信行氏の受け売り、あるいはすでに語られたことの繰り返しになってしまう。例えば今朝目にした以下の記事。

リンク AppleWatch、使って3日目に分かったこと | オリジナル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

Apple Watchをし始めると、今までの、通知ごとにiPhoneをポケットから取り出すという行動をぴったりしなくなる。震えたとき、手首をこちらに向ければ、何の通知があったのかが分かるからだ。

その一方で、手首の上に乗っかっている小さなディスプレイだ。これを長時間操作しながら見るわけにもいかない。だんだんと、通知のチェックはApple Watch、より細かい情報を読んだり、返信を書いたりする際にはiPhone、という分業を意識するようになってきた。

使い始めて3日目の段階で、こうした自分のテクノロジーの使い方の変化に気づくことができた。

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これ、す・べ・て、林信行氏がもう言ってた。釈迦の掌の上ではしゃぐ猿の如し。


また独自性を出そうとしても、どうしても「林信行さんはこう言っていたが云々」という体裁になってしまう。まるでサファヴィー朝時代のペルシアで織られた、現在はロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にい収められているペルシャ絨毯の名品「アルダビール」のような、華麗かつ緻密な広大なる下敷きがすでに敷かれてしまっているのである。例えば以下の記事。

リンク [徳力]アップルウォッチを72時間使ってみて、自分には完全に宝の持ち腐れになりそうなことが分かってきた件について

前半が、林信行氏が「アップルウォッチの便利な機能トップ5」として挙げていた以下の機能に対してそれぞれ反証して、「恩恵を感じるシーンがほとんどありませんでした」という内容なのだが、そもそもの反証が、実際に使うまでもなく林信行氏の記事を読んでいれば事前にわかってしまうものであるのが、辛い。メリットもすでに語られ尽くされているので、カタギは林信行氏の記事を読んで以下の様な点にメリットを感じなければ、買わないのである。

  1. パソコン使用中ですら便利な「メッセージ通知確認」
  2. 「持ったかな?」と心配になった時に便利な「iPhoneを探す」
  3. iPhoneとのシームレスな通話連携機能
  4. ちょっとした調べ物が声だけで済む「Siri」
  5. フラストレーションが減り腰痛も改善の「STAND」




誰も悪くはないのだが、発売前にあまりにも詳細なレビューが世に出ると、未だ見ぬものに対して感じるアウラや、実際に手にした時に感じるであろうワクワク感が減じるのは、否めないかなあと。特に今回の Apple Watch、予約しておいても実際に手元に届くのはまだまだ先(俺のだと6月予定)というケースが大半のようなので、日に日にある種の気分が減退しているのは、事実。なんなら、もう一通り使ってみた気にすらなりかねない。