NPT会議:米露、核軍縮で応酬 米の削減提案巡り

毎日新聞 2015年04月28日 11時07分

 【ニューヨーク草野和彦】核拡散防止条約(NPT)再検討会議が27日に米ニューヨークの国連本部で開幕し、一般討論が始まった。ケリー米国務長官は演説で、ロシアに対し米提案の新たな核軍縮交渉に応じるよう求める一方、ロシアによる中距離核戦力(INF)廃棄条約違反を改めて批判した。ロシアは「米国の政策こそが更なる核軍縮を妨害している」と反論。核軍縮の行く末を暗示するかのような、冷戦時代さながらの米露対立を浮き彫りにした。

 米露は前回会議直前の2010年4月、新戦略兵器削減条約(新START)に調印し、配備済み核弾頭を1550発に制限した。オバマ米大統領は13年、この上限からさらに3分の1の削減を提案。だが、ロシアが応じていないことを踏まえ、ケリー氏は「提案はまだ交渉のテーブル上にある。我々をそのテーブルに着かせてほしい」と述べた。

 ケリー氏はまた、冷戦末期の1987年に米ソが調印したINF条約について、「ロシアの明らかな違反に深刻な懸念」を表明した。違反の内容は明らかにしなかったが、ロシアによる巡航ミサイル発射実験を念頭に置いた発言と見られる。

 これに対しロシア代表は、核軍縮交渉に応じないことについて「地球規模でミサイル防衛を構築することによって、世界の安定を台無しにしている米国の政策に関係している」と説明した。INF条約違反の指摘については「具体的な事実はない」と反論した。

 米露間の対立点について、ロシア代表は「会議期間中に反論するつもりはなかった。米国側の演説を聞いて、我々の見解を述べざるを得なくなった」と指摘。米国の核軍縮への意欲をアピールしようとしたケリー氏の試みが、裏目に出た可能性がある。

 一般討論に先立ち、国連の潘基文事務総長は開幕式に寄せたメッセージで、ウクライナ危機を巡る米露関係の緊張を念頭に、「核軍縮加速の提案を追求するのではなく、冷戦時代の思考への危険な回帰がある」と指摘。会議初日にそれが表面化してしまった。

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