岸田外相:「広島、長崎訪問を」非人道性の認識訴え

毎日新聞 2015年04月28日 11時08分

 【ニューヨーク草野和彦】岸田文雄外相は27日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議で演説、核保有国と非核保有国の対立を踏まえ、「核兵器の人道的影響の共通認識と国際社会の団結」が「核軍縮の原動力」になると述べた。核保有国を含む世界の指導者と若者に広島、長崎への訪問を呼びかけ、「原爆の実相を見てほしい」と訴えた。

 日本の外相として10年ぶりに再検討会議に出席した岸田氏は、「被爆地広島出身の外相として、この会議で『核兵器のない世界』に向けた進展を実現する」と語った。

 岸田氏は「現実的かつ実践的な措置の積み上げがとるべき道」として▽核戦力の透明性の確保▽米露だけでなく全核保有国の軍縮交渉への参加−−などを指摘。核兵器の非人道性に焦点を当て、核兵器禁止条約の必要性を訴える一部の非核保有国とは一線を画した。

 岸田氏はまた、医療、農業、水資源などの分野に原子力技術を応用する国際原子力機関(IAEA)の「原子力の平和利用イニシアチブ」に、今後5年で2500万ドルを拠出すると発表。「福島第1原発事故を踏まえ、国際的な原子力の安全強化に貢献していく」とも語った。

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