大阪都構想:維新の会提唱に他党は改革案 論戦始まる

毎日新聞 2015年04月27日 23時58分

 27日に大阪市で告示された住民投票は、大阪市を廃止し、五つの特別区に分割する「大阪都構想」の賛否が問われている。提唱する大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)に対し、「都構想反対」の他党はそれぞれ改革案を提示している。大都市が抱える問題を解決するには、「都構想しかない」のか、他の方法でも可能なのか−−。5月17日の投開票に向け、論戦が始まった。

 昨年5月に成立した改正地方自治法は、知事と市長の協議の場となる「調整会議」の新設▽現在の行政区を「総合区」に格上げして区長の権限を強化−−など、大都市問題の解決策を盛り込んだ。調整会議は道府県と政令市の二重行政の解消、総合区は住民に身近な自治の拡充を狙うものだ。

 自民党は昨年、「大阪戦略調整会議」の設置条例案を府議会と大阪、堺両市議会に提案した。知事、大阪市長、堺市長に加え、各議会から9人の計30人が、広域行政の課題を協議する。

 大阪市議団は4月の統一地方選の公約集で、総合区の実現を掲げた。市内に現在24の行政区が人口20万〜30万人の11の総合区を新たに置き、権限を強める。区長は議会承認を得て副市長並みの特別職とする。両案は大きな制度改正を伴わなず、柳本顕・市議団幹事長は「実情に応じて地域に新たな負担を掛けることがない」と話す。

 公明党府本部も4月の統一地方選の公約集で、総合区導入を掲げた。

 一方で、大都市のあり方の抜本改革を目指すのが都構想だ。橋下市長は大阪府と大阪市の業務について「整理できていない」と指摘。人口34万〜69万人の特別区を五つ作ることで身近な住民サービスを提供し、大型事業などは府が担当するというように、業務を分担するのが特徴だ。橋下市長は調整会議について、「話し合いでは二重行政を解消できない」と批判。大阪市で既に公募区長を導入していることから、総合区長は「今の区長と同じ」と指摘するなど、都構想の方が優れていると強調し、「今のままでもできるのか、一から作り直すのか」と市民に判断を求めている。

 このほか民主党府連は▽府の権限財源を大阪市へ移し替える▽府市戦略会議を設置▽区民による区長の評価制度や区単位の常任委員会を設置−−などを提案。共産党府委員会は「くらしと福祉、医療を守る仕事は、府も市も国も二重三重に進めるべきだ」と訴え、大阪市の維持を主張している。【野口武則】

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