小渕前経産相:観劇会収支記載ずれ 過去の簿外支出穴埋め
毎日新聞 2015年04月28日 07時00分(最終更新 04月28日 09時39分)
小渕優子前経済産業相(41)の関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件で、支援者向け観劇会の収支の記載のずれは、小渕氏の資金管理団体の過去の簿外支出を帳消しにするためだったことが、関係者への取材で分かった。小渕氏の元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎氏(66)が主導して政治団体間で架空の資金移動をさせた疑いもあり、東京地検特捜部は折田氏の立件に向け、詰めの捜査をしている。
小渕氏の説明などによると、観劇会には毎年約2000人が参加、1人1万2000円の会費を集めていた。だが政治資金収支報告書には明治座などに支払った支出を正しく記載する一方、会費収入は一部しか記載しなかった。収支報告書上は2009〜13年の5年間で収入が支出より計約5100万円少なく記載されていた。
小渕氏は資金管理団体「未来産業研究会」(未来研)を父の故恵三元首相から引き継いだ。関係者によると、未来研には観劇会が始まった07年以前から領収書のない飲食・交際費などの支出が多くあり、収支報告書に記載せず簿外処理していた。このため資金残高は報告書に記載された翌年への繰越金を大きく下回っていたという。
このずれを解消するため、未来研から「小渕優子後援会」など関係2団体へ架空の寄付を支出として計上し、未来研の繰越金を減額。関係2団体は寄付を収入に計上する一方で、観劇会収入を過少に記載し、帳尻を合わせていたとみられる。
収支報告書によると、未来研から06〜13年に2団体宛てに支出された計8800万円の「寄付」の大半が架空だった疑いがある。一方で観劇会開始前は1億円以上あった未来研の繰越金は13年に約3500万円に減少した。07年以前の簿外支出は同法違反(虚偽記載)の疑いがあるが、公訴時効(5年)が成立しているとみられる。
一方、事件を巡って特捜部が小渕氏本人から任意で事情を聴いたことも判明した。小渕氏は資金の流れを把握していなかったと説明したとみられ、特捜部は刑事責任を問うのは困難と判断している模様だ。【近松仁太郎、石山絵歩】