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» 2015年04月28日 08時58分 UPDATE

クラレ「魔法の樹脂」、生ゴミを1日で液体肥料に 微生物がゴミ分解 セブン−イレブンに導入 (1/3)

セブン−イレブンはクラレなどと共同で、一部店舗に小型生ゴミ処理機を設置する。処理機は約20キロの生ゴミを約24時間で分解し、残るのは分解液のみ。カギを握るのは、クラレが開発した直径4ミリの樹脂「クラゲール」だ。

[産経新聞]
産経新聞

 コンビニエンスストアから出た消費期限切れの食品などをその場で分解し、生ゴミをなくす−。流通大手セブン&アイ・ホールディングスは傘下のコンビニ、セブン−イレブン・ジャパンの都内20店舗に小型生ゴミ処理機を化学大手クラレなどと共同で設置して4月末から稼働を始める予定だ。処理機は約20キロの生ゴミを約24時間で分解し、残るのは分解液のみ。液体肥料にすれば食品リサイクルにもつながる取り組みのカギを握るのは、クラレが開発した直径4ミリの樹脂「クラゲール」だ。

スグレモノの小型ゴミ処理機

画像 1粒に微生物が10億個棲むクラレの魔法の樹脂「クラゲール」(右)と、クラゲールを活用した小型生ゴミ処理機

 洗濯機ほどの大きさの生ゴミ処理機に、数十万個入った白いクラゲールに食品の残りなどを入れる。内部で水をかけながらかき混ぜると、クラゲール1粒に約10億個棲む微生物がゴミを分解し、1日後に跡形もなくなる。

 クラレがベンチャー企業、シンクピア・ジャパン(横浜市)と共同開発した生ゴミ処理機は、こんな魔法のような仕組みを可能にした。クラゲールは、クラレが世界で初めて事業化した機能性樹脂「ポバール樹脂」からつくる。独自の製造技術で1粒に約0.02ミリの穴を複数開けた網目状にして、微生物をより多く棲みやすい構造にしたのが特徴だ。

 従来はコメのもみ殻の表面に微生物を棲ませる方法や、生ゴミを温風などで乾燥して堆肥にする処理法があった。クラゲールは網目状にすることで同じスペースに棲む微生物を増やし、「もみ殻の表面だけを使う従来の処理機に比べて大幅に小型化できるうえ、乾燥する機械に比べて電気代が抑えられる」(クラレアクア事業推進本部の橋本保・主管)。

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