交通死亡事故:千葉県警160件を過少計上 一部改ざんか
毎日新聞 2015年04月28日 06時30分
交通死亡事故件数の年間統計に誤りがあるとして、千葉県警が過去10年にさかのぼって調査したところ、計約160件を過少計上していたことが分かった。ほとんどが判断ミスなどで統計に計上すべき基準に従っていなかったものだが、一部には事故内容の悪質な改ざんとみられるケースがあり、県警は、当時交通部門に所属していた警察官数人を公電磁的記録不正作出容疑などで捜査する方針。
警察庁は統計に計上しない対象を(1)事故発生から24時間経過後に死亡(2)道路外(線路上など)での事故(3)自殺や病死による事故であることが明らかに認められる場合−−などに限定している。
千葉県警は、昨年11月下旬に「計上されるべき死亡事故が統計に載っていない」との指摘が外部から寄せられたため、2004〜13年分について事故の状況を調べ直した。その結果、約160件を追加計上する必要があると判明した。
その多くは、発生場所が道路外か否かの判断が難しかったり、明らかな自殺とは認定できなかったりした事故だった。計上が義務づけられている「事故発生から24時間以内」に当事者が死亡していたのに、現場から報告されていなかったケースも三十数件あった。
一方で、担当者の判断ミスや解釈の誤りによるものではなく、故意に発生場所や時間などを改ざんしたとみられるケースも数件見つかった。県警は、こうした不正処理に関与した当時の警察署交通課員らを5月にも書類送検するとみられる。
県警の発表によると、県内の交通事故死者は00年の416人から年々減少し、11、12年は各175人だったが、13年は全国3位の186人。死亡事故件数が全国的に見て多い実態を踏まえ、ある県警幹部は不正処理について「死亡事故(の報告を)をなるべく少なくしたいというプレッシャーが(担当者に)あったのではないか」と指摘する。
交通事故統計の過少計上を巡っては、愛知県警が13年、11年までの過去21年間分の600人を追加計上した。【荻野公一】