カトマンズ=貫洞欣寛 イスラマバード=武石英史郎
2015年4月28日05時37分
死者が4千人を超えたネパールの大地震。被災者の生存率が下がるとされる発生後72時間が翌日に迫るなか、首都カトマンズでは27日、被害者への懸命の救助や治療が続いていた。雪崩に襲われたヒマラヤ山岳部では、いまも多くの登山客らが取り残されたままだ。
いくつもの寺院が倒壊し、廃虚の集まりと化している。今は博物館としても使われている旧王宮も、9階建ての楼が倒壊するなど大きな被害が出ている。
カトマンズ中心部にある世界遺産、ダルバール広場。いつもなら、各国の観光客でごった返しているこの場所で27日、救助関係者や警察官らが崩れ落ちた寺院の柱やれんがを、黙々と取り出し続けていた。重機を使っているところもあるが、多くは手作業だ。
ふだんは殺人事件を担当するディーパク・レジニ刑事(40)は「部門を問わず全員で救出活動をしている。25日に3人を遺体で見つけた。地震発生時、ここにどれだけの人がいたのかが分からない以上、全部を解体しなければ救出作業も終わらない」と話した。
作業を手伝っていたラム・シュストルさん(52)は土産店主。「観光業がどれだけの損失を受けるのか、想像もつかない。悲劇だ」
近くにあるカトマンズのシンボルだった高さ約50メートルのダラハラ塔は崩壊。200人前後が死傷した。周辺の救助活動はすでに終了し、27日は心配して集まった多くの市民らが、スマートフォンで写真を撮っていた。
カトマンズでは、至るところの空き地が「テント村」となっている。自宅が倒壊したか、倒壊しないまでも余震を恐れる市民らが寝泊まりしているのだ。
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