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海外市場で競うエネルギー企業目指せ

2015/4/28付
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 東京電力と中部電力が火力発電と燃料調達事業を統合する新会社が30日に発足する。

 電力小売りの全面自由化を来年に控え、電力業界の本格再編が幕を開ける。新会社の始動が国内だけでなく、海外市場で競うエネルギー産業に脱皮する足がかりとなることに期待したい。

 新会社は東電と中部電が個別に実施してきた発電燃料の調達や、新しい火力発電所の建設を一体化する。既存の火力発電所についても、2017年をめどに新会社に移管するかどうか判断する。

 新会社が海外から買う液化天然ガス(LNG)は、年間4000万トンと、世界最大規模になる。調達量をいかして燃料コストを下げ、電気料金を抑えることは東電や中部電の競争力を高め、ひいては消費者の利益となるはずだ。

 新会社の社長に就く中部電の垣見祐二専務執行役員は記者会見で、「世界で戦うグローバル企業を目指す」と語った。地域独占に守られてきた電力会社が海外に目を向ける決意に注目したい。

 東電と中部電の火力発電能力は国内外合計で7400万キロワット。新会社はこれを世界最大級となる1億キロワットに増やすという。国内の電力需要の伸びは限られる。目標の達成には海外での発電能力を現在の4倍に高める必要がある。

 電力自由化で先行した欧州では、自由化をきっかけに業種や国境を越えたエネルギー企業の再編が進んだ。連携によって高めた競争力を、電力需要が伸びる新興国市場の開拓につなげた。

 英蘭系メジャー(国際石油資本)のロイヤル・ダッチ・シェルが買収する英BGグループは政府系の英国ガス公社が源流だ。民営化と自由化をてこに海外事業を広げてきたが、厳しい競争を乗り切るためメジャーの傘下に入る。欧州は今も再編の途上にある。

 日本は欧州がたどった道の入り口に立つ。国内に閉じこもってきた日本の電力やガス会社は海外勢に比べて経験が乏しい。それでも、新興国の成長取り込みに動くべきだ。他社との連携はそのための重要な手段となる。

 九州電力と出光興産、東京ガスの3社は東京湾岸に共同で石炭火力発電所を建設する検討を始めた。関西電力も商社や石油会社と東日本での発電所建設を検討している。他社も連携に踏み出しつつある。この流れを新しいエネルギー産業の姿につなげていきたい。

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