村田、スタメン落ちも男の執念打!

2015年4月27日6時0分  スポーツ報知

 ◆ヤクルト1―4巨人(26日・神宮)

 悔しさで全身の血が逆流していた。村田は紅潮した顔で力の限りフルスイングした。「振ったら当たったよ」。バットは折れたが、鋭いライナーが右前に飛んだ。

 昨年7月以来、今季開幕25試合目で初のスタメン落ち。8回2死一塁から中井の代打で登場すると、初球の外角直球をたたいた。気合の一打で3連打の起点となり、追加点を呼び込んだ。

 今季、ここまでの打点はわずか3。この勝負弱さから、打率1割台と低迷する長野とともに先発を外された。だが、腐っている時間はない。ロッカーでは右拳を何度も左手のひらに打ち込み、集中力を高めた。鏡の前で素振りを繰り返し、ただ出番を待ち続けた。

 16日のDeNA戦(横浜)で右翼ポール際に今季1号ソロ。昨季のメジャー本塁打王(ナ・リーグ)に輝いたマーリンズのスタントンをまね、右肩にバットを乗せた状態から打ったものだが、何かしっくりこなかった。

 「あれはメジャーの選手みたいに上半身にかなりの力がないと無理」と諦め、「何であんなに小さく打っていたんだ。小さく打つのはやめる。俺は2回、ホームラン王をとってるんだから」と考え直した。肩に置いていたバットを立て、上段から振るようにして本来の力強さが戻って来た。

 やれることはすべてやっている。3月31日の中日戦で放った今季初安打のボールは、大切に「お守り」としてバッグに忍ばせている。「さすがに飾ってはないけど、しまってある」。ある日の試合前、手に持ったのは大量の塩。それを心臓のある左胸に塗りつけ「厄払い」。通算310本塁打男が必死になって結果を追い求めた。

 原監督は「村田の意地? 意地ってなんだよ、意地って。意地って言ったのか本人が(笑い)。でも、よくつないだね」と話した。

 9回2死二、三塁では投ゴロに倒れ、試合後は言葉少な。「スタメン落ち? 知りません」と表情は厳しいまま。心が晴れるのはやはり、特大アーチしかない。(中村 大悟)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
ニュース 順位表スコア速報
矢口亨のG-Photobook 矢口亨のG-Photobook 矢口亨のG-Photobook 矢口亨のG-Photobook
今日のスポーツ報知(東京版)