フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡さず、ロシアへ金銭補償を行なう
- カテゴリ:フランスのミストラル級引き渡し保留問題
『タス通信』より
2015年4月26日13時09分配信
【メディア:フランスはロシアへ「ミストラル」の費用を補償する意向である】
パリ、4月26日/タス通信特派員ミハイル・チモフェーエフ
フランスは、ロシアへプロジェクト「ミストラル」ヘリコプター空母の費用を補償する意向であり、それ(ミストラル級)はロシア海軍へ引き渡される事は無い。
『ル・ジャーナル・デュ・ディマンシュ』(Le Journal du Dimanche)紙は報じた。
「法的には、未だこの決定は正式に下されていないが、ロシアとフランスの双方は、この1ヶ月以内にロシア連邦への軍艦ミストラル級の供給契約の解約の正確な条件を定める事で合意した事が知られた」
同紙は記した。
同紙によると、「既に決定は事実上下されており、パリはロシアへ支払い済みの8億ユーロを返し、そして更に3億ユーロになる同プロジェクトの他の費用を補償する」
新聞は、「ミストラル」に関する交渉に精通しているフランス大統領府のスタッフのデータを引用した。
そのデータによると、この為に必要な共和国の資金は、総額20億ユーロになるポーランドへのヘリコプター供給契約から受け取る事になるだろう。
同紙が報じたように「フランスは、完成した2隻のヘリコプター空母を転売する権利をロシアから取得する」
複数のNATO諸国が、これらの購入への関心を示している事を『ル・ジャーナル・デュ・ディマンシュ』は明らかにした。
[「ミストラル」の運命]
ロシアの為に建造され、「ウラジオストク」と命名された「ミストラル」級1番艦は2013年10月に進水し、2014年11月にロシアへ引き渡されなければならなかった。
最後の段階でパリはウクライナ情勢を理由にロシア側へのヘリコプター空母の引き渡しを無期限に延期した。
2番艦「セヴァストーポリ」は、当初はロシア側へ2015年後半に引き渡される計画であったが、1番艦と同様に、引き渡しの凍結が決定された。
以前、外交筋が伝えたように、ロシアが「許容できるオプション」として、フランスが、ほぼ15億ユーロの前払い金をロシアへ返す事を考慮している。
従って「フランスは、その面子を保つでしょう」
彼は付け加え、艦の為の金銭を返すというパリの決断をモスクワが「高く評価」した事を指摘した。
[フランスのポジション]
以前、西側のメディアは、ロシア連邦の為に建造された2隻のヘリコプター空母ミストラルの供給契約が破棄された場合、フランスはロシアへ10億ポンド(15億ドル)を支払わなければならないと報じた。
メディアの報道によると、ヘリコプター空母の取り引きの停止の結果、フランス側は毎月300万ユーロの費用が生じている。
水曜日にフランス大統領フランソワ・オランドがパリで表明したように、フランスは未だロシアへのヘリコプター空母「ミストラル」の引き渡しが可能であるとは考えていない。
「(ミストラル級の)引き渡しについてですが、今、既知の情勢(ウクライナの)を考えますと、それは不可能です」
フランスの指導者は話した。
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約は、2011年6月に締結されました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】
「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国はフランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]
2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、今年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]
オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げています。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]
このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金(約11億ユーロ)を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用(約10億ユーロ)は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]
4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアでプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]
4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアがフランスへ払った「ミストラル」級の代金(約10億ユーロ)の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]
そして4月24日、アルメニアのエレバンでプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]
この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領は「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官は「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。
そして今回、フランスのメディア『ル・ジャーナル・デュ・ディマンシュ』(Le Journal du Dimanche)紙は、フランスはロシアへの「ミストラル」級ヘリ空母2隻の引き渡しを中止し、代わりに合計11億ユーロをロシア側へ補償するという方向で双方が合意していると報じました。
ロシアは以前から「ミストラル」級のような艦を自国で建造する事は可能であり、その計画が有ると何度も表明して来ましたが、その設計原案は既に出来上がっています。
[ロシア造船業界はミストラル級のようなヘリ空母を建造する用意がある]
2:57からロシア独自設計のヘリコプター揚陸ドック艦の模型が出てきます。
この動画では、艦の中央部分しか写されていませんが・・・
ロシア将来ヘリコプター揚陸ドック艦
この艦の全長は大体230mくらい。
兵装は、確認できるものだけで130mm単装砲が1基、高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」が6基です。
搭載機は、Ka-52K、Ka-29、Ka-27辺りが想定されているようです。