SOCOM Change of Command

世界有数の特殊部隊ネイビーシールズ。6ヶ月間の過酷な訓練から学ぶ「人生で大切な10のコト」

「世界は、誰にでも変えることができる」。そう強く語るのは海軍大将であるウィリアム・マクレイブン氏。

彼は、世界中の特殊部隊の中でも特に実力のあることで有名な米海軍特殊部隊の「ネイビー・シールズ」で訓練を受けた人物。そのときの経験で学んだことが、その後の人生に大きく影響したと言っています。

母校であるテキサス大学の2014年卒業式で、彼が学んだことを赤裸々に語りその内容が多くの学生の心をつかみました。

過酷な訓練から学んだこととは、なんだったのか?

動画再生回数は約300万回を超え、海外メディア「LifeBuzz」で紹介されると、驚くほどの勢いでシェアされ世界中に広がった感動のスピーチ。それは誰もが心に刺さる内容でした。(動画は記事の下部に配置してあります)

精神と肉体の限界だった…
6ヶ月間の訓練で学んだこと

今夜、テキサス大学を卒業する学生は8,000人です。平均的なアメリカ人が人生で出会う人数は10,000人だと言われていますが、それはかなりの人数のように思えます。

しかし、もし君たちひとりひとりがたった10人の人生を変えることができたら。そしてまたその人たちが10人の人生を変えたら…。それだけで、5世代後には、8億人の人生を変えることになります。

10人もの人生を、それも一生を変えるなんて無理だと思っている人がいたら、それは間違いです。私はそれがたくさん起こるのをイラクやアフガニスタンで見てきました。異変を感じたリーダーが道を変えたことで、たくさんの兵士が命を落とさずにすむこともありました。

それは、兵士たちの命を救っただけではなく、まだ生まれていないその人たちの子ども、またその子どもの命も救ったことになります。

一人の判断によって、世代を超えて命が助かったのです。世界を変えることはどこでも起こります。そして誰もが起こせることなのです。

ここでは、君たちが世界を変えるのに役に立つであろう、ちょっとしたアドバイスを送りたいと思います。

私はアメリカ海軍の特殊部隊に36年間いましたが、最初に行われた基礎訓練の6か月は本当に過酷なものでした。精神と肉体の限界に何度も追い込まれ、人生のすべての挑戦を6ヶ月に詰め込まれたように感じました。

今からお話しするのは、私が「訓練を通して学んだ人生に大切な10のこと」です。これは軍隊にいない人にも関係があることです。君たちが、自分の人生を前に進めていくための助けになればと思います。

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Reference : Chairman of the Joint Chiefs of Staff

01.
小さなことを疎かにしては
大きな成果は生まれない

海軍の訓練では、上官が毎朝兵舎にきてベッドを点検します。四隅はきっちりしているか、掛布団はピンと張り、ブランケットは正しい位置にあるか。シンプルですが毎朝かかさず、ベッドを完璧にするように求められます。

最初はばかげたことに思えました。厳しい戦いこそが本物の戦士を作り上げると思っていたからです。しかしこのシンプルな課題の意味に気づかされました。

毎朝ベッドを完璧にすることは、その日の最初の課題を達成したということです。それがきっかけとなり、次の課題へ、また次の課題へとやる気を高めるのです。そういう小さいことの積み重ねが大切だという真実を知りました。

もし小さなことを正しくできなければ、大きなことも正しくできるはずがありません。それに、もし惨めな日を過ごしてしまったとしても、部屋に帰り整った綺麗なベッドを見れば、明日は今日よりよい日になるという励みにもなります。

世界を変えたければ、まずはベッドを整えること(当たり前のこと)からはじめましょう。

02.
目標達成には
仲間の存在が不可欠

Rock Portage at Coronado Island

Reference : DVIDSHUB

ボートの訓練では、7人ごとのグループに分けられます。ゴムボートの両側に3人ずつ、そして先導する小舟に1人が乗ります。

2、3メートルもの高さの荒波の海を進まなくてはならないため、全員が力を入れて漕がないといけません。それも、カウントの指示に合わせて同時に行わなければ、あっさりと岸に戻されてしまいます。

全員が息を合わせて漕ぐことで、やっとボートは目的地にたどり着くことができます。世界を一人で変えることはできません。誰かの助けが必要なのです。

世界を変えたければ、漕ぐのを手伝ってくれる人(仲間)を見つけましょう。

03.
意志の強さ以外
何も関係ない

最初は150人ではじまった過酷な訓練は、数週間後にはたった35人に減りました。私のボートの乗組員は背の高い人が多かったのですが、一番早いボートの乗組員は、いろいろな国籍で構成され、背の低い人間がほとんどでした。

彼らは他のボートよりも早く漕ぎ、早く走り、早く泳ぎました。彼らがつける小さな足ヒレをからかう人もいましたが、いつだって彼らは一番に目的地に到着しました。

成功したいという意志以外、何も関係ないことを知りました。肌の色、民族、教育、地位などは全く関係のないものだったのです。

世界を変えたければ、足ヒレのサイズではなく、意志のサイズで人間を測ることが大切です。

04.
準備が完璧でも
上手くいかないこともある

週に何度か、上官が全員の制服点検を行います。非常に厳しいもので、どんなに完璧にしていても合格にならないこともありました。

制服点検に引っかかると、学生は制服を着たまま海岸まで走り、頭から足まで濡れた後に、全身が砂で隠れるまで砂浜を転がらなくてはいけませんでした。これは「シュガークッキー」と呼ばれていました。その日一日、その制服で過ごさないといけません。冷たくて、濡れていて、砂だらけの制服です。

全ての努力が無駄になる、という事実を受け入れられない学生はたくさんいて、そういう学生は訓練を最後までやり遂げられませんでした。この訓練の目的を理解できなかったのです。

どんなに完璧に準備しても、どんなにうまく点検をうけても、結局シュガークッキーになることもあるのです。それはときどき人生でも起こります。

だから、世界を変えたければ、人生の中で起きてしまうシュガークッキー(予期できないリスク)を乗り越えて、前に進みましょう。

05.
失敗を恐れてはいけない
それが君を強くする

Sailor fastens chin strap during man overboard drill.Reference : Official U.S. Navy Page

毎日、肉体が限界まで達する訓練が行われます。ノルマが達成できないときには、リストに名前がのり、1日の最後に追加で行う2時間の運動「シトラス」を課せられます。

シトラスを行えば、より疲労がたまり、明日からの訓練がより困難になり、またノルマを達成できずシトラスをする可能性が高くなります。学生を疲れさせ、精神を壊し、やめさせようとするような訓練でした。

誰もがシトラスを嫌いましたが、誰もがいつかはリストにのるものでした。

でもある時、いつもリストに名前がのっていた者におもしろいことが起きました。何度も、2時間多く運動を行っていたことで、周りよりも強くなっていったのです。

人生はシトラスに満ちています。君たちは失敗する。それもよく失敗するでしょう。それは苦痛を伴い、君たちを落胆させるでしょう。でもそのときは、自分の芯が試されているときなのです。世界を変えたければ、シトラス(失敗)を恐れてはいけません。

06.
リスクをとって進んだ者だけが
成功を手にする

週2回ほど、障害物通過訓練が行われました。壁やネット、有刺鉄線などの障害物を乗り越えていくのですが、中でも大変なのは綱渡りでした。

10メートル近い高さの3階建ての塔と、1階建ての塔の間に、60メートル程のロープが渡してあり、そのロープをぶら下がって渡り、3階側から1階側にいかなくてはいけません。

1977年に私の訓練が始まったとき、この訓練の記録は何年も同じままでした。

ある日学生の一人が、勇敢にも頭から先に進むことに決めました。それは非常に危険な挑戦で、失敗は大けがと、訓練からの脱落を意味しました。

しかしその学生は躊躇なく、危険なほど早く進み記録を数分縮めるどころか、半分ほどの新記録を作り出したのです。

世界を変えたければ、障害物を頭から進まないといけない(リスクをとる)こともあるのです。

07.
目標達成するためには
敵に屈してはいけない

陸戦の訓練では、学生たちはサンディエゴの沖合にある島に行かされ、夜間の長距離水泳を行います。この島の海は、ホホジロザメの繁殖地で、水泳の前には上官が楽しそうにサメの種類を説明します。

もしサメがお腹を空かせて襲ってきたら、正当防衛として全力で鼻にパンチをすればどこかへいってしまうと言われました。泳ぎきって訓練を達成するには、サメを恐れずに、どうにかしないといけません。

世界を変えたければ、サメ(敵)に引き下がってはいけない。

08.
前が見えないときこそ
実力を出しきろう

Navy Diver 2nd Class Ryan Arnold snorkels on the surface to monitor multinational divers below.Reference : Official U.S. Navy Page

海軍の仕事の一つに、敵の海運輸送を水中で攻撃するというものがありますが、そのための訓練も徹底的に行われます。

潜水士がペアになり、敵の港の2マイル先でおろされ、測深器とコンパスだけで、水中でターゲットを目指します。やっと船が見えたら、船の下にもぐり、一番深い部分にある船の背骨「竜骨」を探さなくてはいけません。

竜骨は一番暗いところにあり、そこでは自分の顔の目の前にある手すら見えず船の可動音で何も聞こえず方角を狂わせ、たやすく失敗してしまいます。

海軍の者は誰でも、竜骨付近の最も暗いところは、戦術能力と体力、さらに精神力のすべてをもってして耐えなければ、乗り越えられないことを知っています。

世界を変えたければ、一番暗いときに、最高のものを引き出せないといけません。

09.
最悪の事態でも
一人の勇気がみんなを救う

訓練の9週目は、「地獄ウィーク」と呼ばれます。6日間睡眠は禁止され、休みなく肉体と精神への苦痛が続きます。さらに1日沼地での訓練があります。

沼地での厳しい訓練が終わる頃、私のクラスは「重大な規律違反」をおかし、沼に入るよう命じられました。

泥は頭だけ見えるように残し、私たち全員を飲み込みました。上官は、もし5人が辞めれば沼から出られると言いました。たった5人が辞めれば、この圧倒的な寒さから逃れられるのです。

何人かの学生がやめそうなのは明らかでした。まだ日が昇るまで8時間もあります。あと8時間も骨が凍るような寒さの中にいなければなりません。みんなが不安と恐怖に怯えていたとき、一つの声が響き渡りました。

誰かが歌い出したのです。音程はひどいものでしたが、力強く歌われていました。一つの歌声が二つになり、三つになり、クラス全員が歌うようになりました。不思議と、泥は少し暖かく感じられ、明け方もそんなに遠くないような気がしてきました。

誰か一人が窮状から立ち上がることができれば、他の人もそうできると分かったのです。一人の力が人々に希望を与えることによって、世界を変えるのです。

どんなに辛い状況でも、首まで泥に浸かっていても歌い出すように勇気を持ちましょう。

10.
どんなに辛くても
絶対に諦めないこと

USS Iwo Jima  Sailors and Marines man the railsReference : Official U.S. Navy Page

この話の最後となりますが、私たちの訓練の最後にはベルというものがあります。学生全員が見える敷地の真ん中に、ベルが置いてあり、それを鳴らせば、訓練を辞めることができます。

ベルを鳴らせば、5時に起きなくてもいいし、ベルを鳴らせば、凍えるような寒さの中泳がなくてもよい、ベルを鳴らせばもう走らなくてもいい。そして、訓練の辛苦に耐える必要もなくなるのです。

ベルを一度鳴らすだけです。

しかしお分かりのように、もし世界を変えたければ、絶対に、絶対にベルを鳴らしてあきらめないこと。

 

今日この話を聞いたみなさんは、毎日課題をこなすことから始めてください。人生で自分に力を貸してくれる人を見つけてください。周りを尊敬してください。人生は公平でなく、失敗もするということを覚えておいてください。

しかし常にリスクをとり、一番つらい時に立ち上がり、しいたげられても決して諦めないでください。

これらのことをすれば、次の世代やそれに続く世代は、私たちの住んでいる世界よりもさらによい世界に住むことができるでしょう。

これからあなた方が始めることは、実際に世界を変えることができるのです。ありがとうございました。

Top photo by : Chairman of the Joint Chie
Reference:LifeBuzz , Texas Exes

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