まじめにsocial scienes / sciences sociales概念および実践の歴史を追いかけなければと思いながら、色々なものに流されて出来ないまま随分時間が経った。そろそろ意識しないとこのまま出来なくなると危機感を感じた。丁度つい最近、Revue d'Histoire des Sciences Humainesが復刊したという知らせもあったし、いい機会なのでとりあえずブログを書いておく(なお、英語圏でそれに相当するものは History of Human Sciencesのはずである)。
私の生まれた年にK.M. Bakerが出版した本によると、「社会科学」sciences socialesの表現使用例は、Dominique-Joseph Garatがコンドルセにあてた1791年の政治パンフレットの中に出てきたものが知られている一番古いものであるという。1792年にはコンドルセも使っている。ただし、誰の造語かは明らかでない。 Revue d'Histoire des Sciences Humainesn° 15, 2006/2の"Naissances de la science sociale (1750-1855)" 特集号でもその辺が覆されたようではないので、とりあえずこの認識で良さそうだ。この号の論文(無料で今はDL可)ではSciences de l'hommeとSciences humainesの歴史も扱われている(まだ全部読めてないのだけど、どちらかというと前者が中心で、後者の記述はあまりないような?)。 なお、再びBakerによるとsciences socialesは、英国ではしばらく根付かず、当地ではより伝統的な語彙、moral scienceと訳される傾向が強かったという。対して、アメリカ英語では19世紀初頭にsocial scienceの語が見いだせるようだ。