黄澈
2015年4月27日18時18分
外国人差別をあおるヘイトスピーチを巡り、被害者の人権救済が進まない。制度を変えないまま、法務省が啓発ポスターなどで電話相談をPRした結果、かえって利用者を落胆させる事態も起きている。
■職員「現行法では対応できない」
今月上旬、埼玉県在住の在日朝鮮人3世の30代男性は、インターネットの差別的な書き込みの削除を法務局に相談。応対した職員は「現行法では対応できない」と話したという。男性は「相談を呼び掛けているから電話したのに、がっかりした」と嘆いた。
「朝鮮人を追放しろ」などと主張する排外主義的なデモが各地で起きていることを受け、法務省は昨年11月、啓発活動の実施を発表。「ヘイトスピーチ、許さない。」とうたうポスターを作り、電話相談「みんなの人権110番」をPRした結果、相談は急増。同省人権擁護局によると、ヘイトスピーチ関連の相談件数を把握し始めた2013年2月以降、計93件が寄せられ、うち76件が昨年11月以降だった。
ところが解決や救済を求める相談者に対し、「啓発」にとどまる同省の対応は、逆に期待を裏切る結果となっている。
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