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2009-03-16

中田健太郎「言語の過剰と詩の抒情」+にかにかブログ

ユリイカ2008年4月号 特集=詩のことば

ユリイカ2008年4月号 特集=詩のことば

   僕は詩があまり得意ではない。特に、ユリイカに載っている詩とか、さっぱり分からない。むしろネットとかをよく読んでいて、そっちの言語の方が面白いとか思う人間である。中田の論文は、そのようなネットと現代詩の影響関係を論じていて、非常に面白い。「ゼロ年代の詩」論として、溶けている主体性などを発見している部分は示唆深く、面白かった(僕はこの号に載っていた詩では和合亮一さんのと中村美恵さんのが面白かった)。中田さんとは以前、詩の伝統/ネットにおける過剰な言語 のどちらかにつくかというような話をしたこともあるのだが、ネットの出現における表現の変化という点において彼と僕の問題意識は近い(さらに、『ゼロアカ同人誌本』に載っている佐々木寛太郎さんの論考も共鳴している)。

   僕は昔、「WEB環境の文学」という、ネット上でモニタの中で読むのを前提とした文学のありかたについて走り書きをしたことがあった。(http://texpo.jp/texpo/disp/10473)これを掲載している『クリスタルの加工の仕方大辞典』は、2ちゃんねる創作文芸板のコテハン小くんが、WEBならではの表現を探求するという目的で創刊したWEB雑誌で、僕も少し編集に関わっているのだけれど、メンバーと喧嘩して0から2まで出して、あとは細々と作品を増やしている(もう妥協しない路線に切り替えたらしい)  ここで読めます。http://texpo.jp/texpo_author/profile/nprLIgRXygE=/&fwd=/texpo_book/toc/1856/

   この「ニコニコ動画」とのコラボ作品「niconico novel」http://texpo.jp/texpo/disp/5989とか、絵を使ってgoogle.docのような形態で集団創作した「仮想戦争で欲望を満たしましょう」http://texpo.jp/texpo/disp/9639などなど、いくつかの見るべき試みはあると思う。先日、とある出版社の若い社員の方とお話していたら、はやくWEBに移行すべきで、その課金方法を考えるべきだとしきりにいらだっていた。そしてなかなか動かないことに業を煮やしていた。

   確かに紙とモニタは全然違う。自分の論文ですらWORDのときと紙のときは違う。しかし、その「違う」ところを逆手にとって表現メディアの特性を生かせば何か面白いことができるのではないか。そんなことをあちこちで言っていると、多少呼応してくれる人も現れた。それは僕の身内なので、身内びいき紹介めくのだけど、詩人のにかさんが最近ブログ「にかにかブログ」で面白いことをしている。http://yaplog.jp/tipotipo/ 僕が、ユリイカとかの詩を見せると、彼女は「白黒がよくない」「カラフルにポップに」「ピンクの紙に」と結構ラジカルな提案をする。それは僕は面白いので、雑誌に載らなくてもいいからWEBでやったら、と薦めていたら、とうとう表現が随分見たことがない地点にまで来ている。色と絵文字を使った独創的な、「モニタ」性を存分に生かした動く詩である。絵と文字の中間である「絵文字」が動く詩の気持ち悪さに、僕は「これはなかなかいいんじゃないのか」と思った。ラカン的に言えば、象徴界想像界の中間のような領域で、奇妙に動いている謎のエクリチュール(?)がメディア自体も含めて表現されているんじゃないかと思った。ガーリーポップさと、メンヘル系と、モダニズムの詩のような配置と、絵文字などの表現などなどが絡まり、結構面白い境地にまで来ていると思う。

   彼女はこのブログtwitterではかなり意図的に崩したバブリングに近い言語を操っているが、元々はちゃんと小説も書けるようで、お願いして僕が実質編集権ももらった『クリスタルの加工の仕方大辞典』に載せさせていただいた。これも結構いいと思います。「空っぽ劇」http://texpo.jp/texpo/disp/20897 「小麦の小さい御話」http://texpo.jp/texpo/disp/20896 前者は作家の向井豊昭さんにお褒めをいただいた作品のようです。僕もかなりいいと思っておりまして、合わせてご覧になっていただくといいかと思われます。しかし、最近のブログの詩の過剰性は、かなりのところにまできている気がします。

かしこかしこ 2009/03/16 21:57 詩と呼んで良いか分からないけどやたら改行の多い文章をブログで書いてる人はよく見かける
そこから新しい何かが生まれるとも思わないけど面白いと言えば面白いよね
まあ一昔前に大学ノートや日記帳に書いてたことをネットでやってるだけなんだと思うけど、みんなの内面が簡単に透けて見えてるってなんか気持ち悪いな
というかみんな恥ずかしくないのかなあ、内面暴露みたいなこと
匿名だから、良いのか…
私も匿名じゃなかったらここに書き込みしてないと思うし…

伝説へ、ヒナギクとともに・・・伝説へ、ヒナギクとともに・・・ 2009/03/17 22:16 僕はむしろ逆で、名が知られてるからこその露出をしたい
僕はなんとしても有名になれるようにと奮闘中なんですが、
有名になって言いたい放題書きまくってやるぜ、
というのがひとつのモチベーションになっています。
あいつがこんなこと書いてるぜ、なんて2ちゃんとかでスレ立ったりとか夢みたいじゃん
ちなみに、ネットに実名が流出したのに内面暴路しまくってる人がいます。
僕もこの人のブログに電波分を加えたようなのをやりたいです。
麻布卒京大生の言いたい放題http://d.hatena.ne.jp/akiraviz/

t.minemurat.minemura 2009/03/18 16:04 穂村弘が、詩には、ワンダーとシンパシーの側面があると語っている。
紹介されているにかにかブログは、多角的に大変な驚きがあった。
しかし、僕は、これは新しいアウトサイダーアートではあるが、断じて詩ではないと思う。
ここまでの異常な飛躍を許してしまったら、詩や文学が一層崩壊してしまうからだ。

galaxy_engel_of-loving_hinagikugalaxy_engel_of-loving_hinagiku 2009/03/18 18:31 絵文字の使用はおもしろいですね。
ただ、そこに必要以上の意味を読み込む必要性はないんじゃないですかね。
絵文字によって、情動的なものの喚起係数が大きくなるというくらいじゃないでしょうか。
僕は別に得たいの知れなさのようなものは特に感じませんでした。
アメブロなんかでは絵文字がたくさんある文というのは普通だし、
それが詩だからといって特に新規性があるのかという。
絵文字の文は凡庸とみなすのに、いざ詩となると新規性を読み込むというのはよく分からないです。

楫を切る楫を切る 2009/03/18 22:27  
 リンク先の詩は、galaxy_engel_of-loving_hinagiku氏のご指摘は取るに足らないことで、
絵文字の使用の他に諸所の問題をはらんでいますね

 私が年をとってしまったから感じるのかもしれませんが、こういった
逸脱が著しい文体を書く人は、どんなものを読んできたのだろうと考えてしまいました


 不整合な未知の踊りを見せられたような奇妙な読後感
 
 読後感、と記しましたが、観賞と記すべきなのかもしれないですね

 ただ、このような作品は新しいのかもしれないけど
t.minemura氏ご指摘のように実は怖いことだとも思うのです

 なぜなら詩は一定の縛りがあるからこそ存在しえて美しいからです

 藤田氏も詩が得意でないと仰っておられるし、そういう人には詩として違和感がないのかもしれないですが。
 
 前提として、この作品がとても面白いということは表明しておきます



 

 
 
 

 
 
 不整合な未知の踊りを見せられたような読後感で、t.minemura氏

galaxy_engel_of-loving_hinagikugalaxy_engel_of-loving_hinagiku 2009/03/18 22:45 ↑は?意味不明ですよw
僕は藤田氏が彼女の詩の特異性として色や絵文字を
強調するような書き方をしていたからそれに異を唱えただけであって、
あなたが彼女の詩に「他に諸所の問題をはらんでいる」と感じたとして、
そのことをもって僕の指摘に「取るに足らない」というレッテルを貼るのは論理的に破綻しています。
僕は藤田氏が彼女の特異性として絵文字や色使いを前面に押し出していることを問題にしているのに、
あなたはあたかも僕の文を、‘彼女の詩を凡庸だとただ切り捨てているだけのものである‘とみなしているような卑劣な書き方をしています。なにも彼女の詩に絵文字以外の問題がないなんてことは一言も言っておりません。

naoya_fujitanaoya_fujita 2009/03/18 22:48 反応、ありがとうございます。一応彼女の擁護をしておくと、リンク先の小説にあるように、普通の文章も書ける。そして、今までの詩を読んでいないわけではない、ということです(結構読んでいるらしいです)しかし、詩か詩じゃないか、という論争は、僕は不毛なもののように思います。拘束・形式性を「詩」の条件と考えるか、そこからの「逸脱」を「詩」んも一部として考えるかはジャンルを考える上で問題を孕んでいるからです。僕としては、ジャンルのジャンル性を自明視しない境界線上にこそ今面白い作品があるように感じております。

naoya_fujitanaoya_fujita 2009/03/18 22:51 なお、彼女が「絵文字を使っていること」自体が面白いと言っているわけではありません。詩の伝統、JPOPの歌詞、モダニズムの詩、(たとえばマヤコフスキーとか読んでいるようでしたし)などと、現代のメディアや携帯文化のクロスポイントで、絵文字と詩の混交物が、よくわからない強度を持ち始めているので、僕はこれは面白いのではないかと問うているのです。モニタ性を生かした「WEB環境での詩」のひとつのあり方を示しているように僕は思うので。

楫を切る楫を切る 2009/03/18 23:33
galaxy_engel_of-loving_hinagiku 氏

一言も言及していまいのだから、結局他の人が指摘するまで貴殿はそこまでこの詩を

結局は読めていなかったのでしょう?

楫 2009/03/18 23:42
 因みにこういった
逸脱が著しい文体を書く人は、どんなものを読んできたのだろうと考えてしまいました

と記しましたが、これは良い意味で問うているのです

通りすがり通りすがり 2009/03/19 00:02 詩の停滞性って何だろうね。
コメントも保守的なものが多いようだけど、
詩ってさ、「書く」ことが目的のものが殆どだけど、
「読ませる」ことを意識した場合、にかにかのように
アクロバティックに飛んでいくのは理に適ってるんじゃないの?
「監禁少女ゆうとぴあ」という詩は俺は傑作だと思ったよ、単純に。
ひな菊がブログに絵文字文化があるって言ってるけど、
それが無かった分野に持ってきちゃったら、結局新規性が生じちゃうんじゃないか。
fujitaが、コメント欄でジャンルの自明性について書いてるの読んで思ったんだけど、
詩はそこに特に縛られてるんじゃないの。
小説はもっと進んでるっしょ。
批評さえももっと進んでる。

galaxy_engel_of-loving_hinagikugalaxy_engel_of-loving_hinagiku 2009/03/19 00:03 「詩を読める」というのは恣意的な解釈を有するものであって、
それを担保するものを明示することは不可能なはずです。
彼女の詩をまったくナンセンスだ、と僕が見做していたとして、
それが読めていないということにはならないし、
言及していないことは読めてないことと同義ではありえません。
あなたは彼女に対する藤田氏の称揚に乗っかっているだけ、
虎の衣を借りた中身のない言い掛かりをしているにすぎません。
ちなみにあなたは上の言及程度で、彼女の詩を読めた、などとお想いなんですか?
それほどに、彼女の詩は軽いものなのでしょうか?w

dokusho-memodokusho-memo 2009/03/19 00:30 確かにこれは面白いですね
ネットでやってるということに私は面白さを感じてるのかな?

dokusho-memodokusho-memo 2009/03/19 00:38 2ちゃんねる以外からネット上で何かが出てくると結構みんな意外と耐性なくて驚いちゃうのかもしれない
この詩の場合も、携帯電話の絵記号って2ちゃんねるではあまり見掛けないもんね

キダナリキダナリ 2009/03/19 01:19 確かに耐性の問題はあるね。
一見ポップなんだけど、不穏さがあるっつうか。
その不穏さが何に由来するのか俺には分からんが。
ヒナギクは読めなかったからって、去勢張りすぎwワロスw
詩なんて解釈とかないんじゃね?

イマヌLイマヌL 2009/03/19 03:57 シュルレアリスムと自己劇化と運動性、そしてジェンダー、ガーリッシュさ、
これがこのブログの作品と言語の逸脱と絵文字表現や色付けとの関わりなんじゃないかと言ってみるテスト
自己劇化は新しくないんだが、他の要素が組み合わさったこういったものは出会ったことがない
シュルレアリスムのイメージが感じとれたのが、斜め上の読解力を持つ某氏の「ナンセンス」という言葉だった点は不覚

galaxy_engel_of-loving_hinagikugalaxy_engel_of-loving_hinagiku 2009/03/19 17:08 彼女の詩のカオス具合には僕も驚きましたけど、絵文字はおまけみたいに感じました。
だから彼女の特異性というのは絵文字にではなくて、電波的なところだと想うんですけどね
たとえ詩に絵文字を加えるに「新規性」を読み込んだとしても、
それは彼女の詩自体のとらえどころのなさの記述にはなりえず、
絵文字と旧来の詩の融合体として名指してしまうことによって既存のものに頽落させてしまっているような感覚を受けるのですが・・・
でもそういう名指しをして新たな地平として可視化することで物語化できるという側面があり、
物語に回収された瞬間摩滅するような過剰性はそこまでのもの、ということもいえるのかもしれませんね

通りすがり通りすがり 2009/03/19 17:41 カオス感や電波っぽいてのは同意なんだけどさ、
絵文字込みでそれが出てるんじゃないか。
ひな菊がちゃんと評論してて笑った。

galaxy_engel_of-loving_hinagikugalaxy_engel_of-loving_hinagiku 2009/03/20 14:15 「とらドラ!は、なぜ神アニメなのか?」のエントリですか?
僕としては結構ガチにやってみたつもりですけど、やはり批評は難しいですね
ゼロアカ生は2ちゃんとかでさんざん言われてるけど、どうのこうので歪みないインテリだと想いますよ

楫を切る楫を切る 2009/03/20 19:04 galaxy_engel_of-loving_hinagiku 2009/03/20氏

 失礼があったらお詫びしますが、

あなたの最新の詩の感想や評価は、他の方々の意見を参考にしただけでしょう

 最初の段階で一言も書いておられない

 後出しじゃんけんですよ

galaxy_engel_of-loving_hinagikugalaxy_engel_of-loving_hinagiku 2009/03/22 00:25 違います。

naoya_fujitanaoya_fujita 2009/03/24 06:49 議論が起こること自体はいいと思うのですが、傍から見ていて「読めてる」「読めてない」の水掛合戦は不毛だと思うので、どういう風に読んだのかをお互いが提示しあえば有益ではありませんか?

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