人間に力を貸してくれるあのスーツがいよいよ量産体制に
人間に寄り添う技術、素晴らしいです。
過去にギズでも何度か取り上げたことのある(コチラやコチラ)マッスルスーツ。その開発者である東京理科大学の小林宏教授が、開発の経緯や将来展望について「無限大(mugendai)」で語っているのですが、知れば知るほど、秘めた可能性はそれこそ無限大だなぁと感じます。
小林教授によると「マッスルスーツはモーターではなく、ゴムチューブを筒状のナイロンメッシュで包んで両端をつなげた人工筋肉を使う。チューブの中に圧縮空気を入れると、膨張して、5気圧で最大150kgの張力が生じる。これが身体を起こす際の補助力となり、人や物を持ち上げる時の腰の負担が約3分の1になる」とのこと。
介護の現場で高齢者の体を起こす動きを助けたり、配送業者の倉庫作業をアシストしたりと、すでに一部で活用されていますが、2015年4月からは量産体制に入り、さらなる広がりが期待されています。
さかのぼれば1960年代から開発されてきたという、人間の体に装着して動く装置。なかなか実用化に至らなかった要因の1つとして、人間が動くとおりに装置を動かそうとしたことが挙げられるといいます。
そこで小林教授は「逆に人間が動かされてしまえばよいと考えた」のだとか。この発想を起点に、2001年にマッスルスーツが誕生してからも試行錯誤を繰り返し、本当に役に立つものへとブラッシュアップされていきました。
平坦ではなかったその道のりの中、完成度を高めたのはとある老舗企業との連携でした。「無限大(mugendai)」で描かれているそのストーリーを読むと「イノベーションは1日して成らず」だなとつくづく感じます。マッスルスーツの後に控える新製品についてなど、将来展望の話もアツいですよ。
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source: 無限大(mugendai)前編、後編
(奥旅男)
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