まあまあのサイズだね。
これ以上大きくなるとな…。
ちゃんと防水利いてるし。
えっ!何入れようかな。
何入れようかな〜。
帰ってこないんだよね?今までの自分じゃない自分と出会いたいなあ。
本当に出会いたいなあ。
テリー伊藤です。
もう二度と戻れない旅に出るのに荷物はリュックひとつ分。
生きるために欠かせないもの。
新しい自分に必要なもの。
たくさんあるものの中から何を詰めればいいんだろうか
もう帰ってこないんだよね?1人だよね?そうか…。
もう一つの人生が始まるんだよな。
見知らぬ土地でしょ。
この年で…。
後ろを向かないで出かけるわけだから…。
俺こう見えても結構なあ…。
さみしがり屋なところあるから。
音楽は欠かせないよな。
あとは…。
結構体悪いんで薬いっぱい持ってこう。
あとは保険証だな。
保険証…。
旅立ちなんだけども保険証とトイレ近いから前立腺の薬だろ。
これはないと駄目だよね。
あとは鼻が詰まるから鼻の薬も入れたいんだよね。
う〜んあとは…。
骨がちょっと弱いんで骨粗しょう症の薬もちょっと入れたいね。
じいさんみたいな事言ってる。
ハハハハ!じいさんじゃないですか!それ。
旅立ちでも何でもないじゃない。
あの世行くみたいじゃないか。
そうじゃありません。
カウボーイってず〜っと牛を追って大陸を横断してる時って…。
昔ね「ローハイド」って映画を見てる時にそこに出てくるカウボーイの連中はいつも同じ服着てたのね。
という事は彼たちは同じ服で…。
ジーパン。
あれで川へ入って洗ってパンツ一丁で乾かしてまたそれをはいているからず〜っと同じ洋服着てんだ。
…というのがすごく印象なのね。
だからなまじの…。
着替えはいらないな。
あとはね…。
ナイフ持っていきたいな。
俺ねナイフ好きなんですよ。
ナイフ…あれ?ないな〜…。
あったあった。
ありましたよ。
このナイフがねいいんですよ。
アメリカのスミス&ウェッソンのナイフ。
ここ書いてありますよね「Smith&Wesson」。
それこそリンゴを食べたり…大した事ない?大した事ない!リンゴ食べたり。
だから気取ってるだけ。
そんな大した事やってない。
ただ刺して食べてるだけ。
イメージイメージ。
ハハハ!でもいいでしょ?こういうの好きじゃないですか男は。
これは持ってかないと駄目ですよ!ペンはいつもこれ。
俺実はこれね30年以上使ってるんですよ同じもの。
このペンしか使った事ないですよ。
企画書書く時も全部これで書いてた。
そうそうそう。
これはね…この辺は全部持っていきません。
これ全部「テリー伊藤」になっちゃうから。
これテリー伊藤じゃん。
これだってテリー伊藤じゃないですか。
こんなのかぶってたら目立っちゃうじゃないですか。
これ嫌ですね。
本名の伊藤輝夫の方がいいね。
なんかその方が面白そうじゃない。
ナイフスニーカー…。
あとねラジオだな。
ラジオいるな〜。
ラジオから流れてくる音楽って行きずりの曲でしょ。
「今の何て曲だろう?」って。
でももう消えちゃうと二度と会えないかも分かんないじゃない。
そこがいいんですよ。
あと薬だ薬。
薬なんだよな〜。
「薬」!用心深いですよね!気が弱いのばれちゃうよね。
情けない。
あれ駄目なの?行く前にペットショップ行ってワンちゃん買うっていうのは?それ相当いいや!何でいいかっていうとそうするとペラペラしゃべれるね。
一緒に旅できる。
「さあ行こうぜ」って。
こん中に入れてもいい?ワンちゃん。
生きてても。
OK?それがいいよ俺。
テレビにいる「テリー伊藤」を捨て「伊藤輝夫」というもう一つの人生を始める旅。
本当に必要なものって何だろう
あっ来た。
ちょっと悩みましたよ私。
限りがあるんでね。
ふだんはこれ仰々しいからこういうニットキャップを。
ニットキャップをこうやって…。
これでどうかなと思って。
俺ね走るの好きなんですよ。
だから多分どこ行っても走ると思うんでこの…短パン。
普通に1時間ぐらい走るよ。
それじゃなかったらこの体形…。
俺65だよ。
65でさあこの体形は維持できないでしょ。
あとは…これもいるかな下着。
俺意外ときれい好きなの。
すいません。
これをちょっとどうかな〜と。
こんな感じかなとは思ってるけどね。
あとシャツ。
この辺のシャツも持っていって。
ベルトも持ってって…。
あっあと杖を持っていきたいな。
これはイギリスで手に入れた杖なんですけどもボーダーコリーかわいいでしょ。
ちょっといいかなと思って。
ほら。
こいつに話しかけながら。
「おい行くぞ」って。
「おはよう!」。
「行くの?」。
「行くよ〜!」。
よく時代劇で二股に分かれた時これパッとやるとこっちが…。
「どっちに行こうかな」。
「お前が決めろよ」。
「よ〜しこっちだ!」。
「今日はこちらの方の道」…とかっていうのをこれだとできるかなと思ったんですよ。
なんかそういうのがいいんだよな。
自分で決めないというのが。
決めないの面白そうじゃない?旅を。
できたら本当に「テリーさん」って呼ばれるんじゃなくて「おじさんどっから来たの?」みたいな感じでいろんなとこで言われるとなんか違う自分ともう一度出会えるかなと思って。
「元気が出るテレビ!!」をやりだしてから…。
普通のいちディレクターだったんですがまああの企画が当たっていろんなマスコミの方から取材が来たんですよ。
その時に「伊藤輝夫」っていうのはちょっと硬いなと思って「『テリー伊藤』にして下さい」って言ったら「いいですよ」ってそんな感じでスタートしましたね。
俺気が弱かったから最初ね演出してる時にこういう帽子をかぶってたんですよ。
そうすると今カメラさんから僕の目は見えないでしょ?そうすると演出してる時に役者さんに自分が迷ってるのが気付かれないんですよ。
こうやってやればもう全然見えないじゃないですか。
これこうなっちゃうとばれちゃうじゃないですか。
「テリー伊藤ばれてんな。
お前何か迷ってんだろ」みたいな。
それが嫌なんでこういうのかぶりだしたんですね。
自分の心を見透かされたくないというのがあるんじゃないかな。
「テリーさん」とか「テリー伊藤」って言われた方が軽い感じがして僕自身もすごくもう一つの自分…。
伊藤輝夫とは違う自分をそこで出せるっていうのはものすごく僕としてはまた気楽だったなと思って。
ただこれ本当の事を言うと「テリー伊藤」だから仕事もあるしいろんな人に出会えるわけでしょ。
すごく境遇は俺は恵まれてると思うのね。
でもきっと俺はお山の大将だと思うのこの中で。
例えばどこ行っても「テリーさん」って呼ばれるし仕事場でもちゃんと周りがそれなりに扱ってくれるし。
バレンタインにはチョコレートももらっちゃうし。
ほとんど義理チョコなんだけど。
でもそれにしてもすごく境遇は俺は恵まれてると思うのね。
だからそれとはまた何か違うところでじゃあ65の普通の男がこのリュックサックの中に何か詰めていったらどんなふうになるんだろう…。
そういう気持ちは全然ありますよ。
人間って面白いもんで捨てて「それは昔がよかったな」というよりも「捨ててよかった」「新しいものに出会えた」っていうパワーの方が俺は持てると思うんですよ。
情けないけどこれですよこれ。
薬。
これ持っていかないと。
薬なんだよな〜嫌だけど。
これですよ。
これどうしようかな…。
僕おしゃれが好きなんでいろんな洋服着るんで衣装というものがないんですよ。
俺結構ふだんもこういうの着てるんですよね。
これもたまたまここに掛かってたんで別に今日これを着たって構わなかったんだし。
みんなお気に入りですけど執着するものはないですね。
あんまりコーディネートするの好きじゃないんですよ。
ファッションの「これとこれが色合わせがいい」とか「これとは同系色だから合う」とかそういうのがもうこの年になると「何だっていいんじゃないの」みたいな。
子供が絵の具を使う時ってそんな事考えないで使うじゃん。
そっちの方が面白くない?あと必要なもの…本だな。
本。
あとは…。
あと何だ…。
ここにいつものチョコレートだな。
チョコレート好きなんですよね。
こんなもんだよね。
おおっ!いい感じ!平気?怪しくない?こんなおっさんが新宿とかウロウロ歩いてたら。
平気かな…。
おっさんになりたい。
おっさんとして旅に出たい
どうぞ〜。
いらっしゃいませ。
(犬の鳴き声)うわっ鳴いてますね。
(犬の鳴き声)どうぞどうぞ。
こんにちは。
うわっすごい!アハハハ!むちゃくちゃかわいい。
パンダみたいですね!ハハハハ!ちょっと笑っちゃいますね。
お前かわいい目してるな。
ハハハハハハ!こんな…。
お前行くか?一緒に旅。
旅に行くか?一緒に。
テリーさんと行くか!おい!ん?尻尾振ってるから行きたがってるのかな。
(女性)さっきからテリーさんのとこ行ってますよ。
フフフフフ!頼りない顔してるよね。
これがいいよね。
顔がまぬけだとかそういうので見ちゃう…。
男の子ですか?
(女性)男の子です。
じゃあお前はね…「ドン太」ですね!ドン太君。
フフフッドン太…。
じゃあちょっとねここに…。
入るかな?ハハハ…。
こんな感じです!
(女性)じっとはしてくれない。
じっとはしとらん。
一緒に旅すんのはどうだ?ん?いいぞお前。
海見れるぞ海!うん?
子犬だから川も海も星も見た事がない
絶対に喜ぶはずだ。
夜も楽しい。
朝まで2人で音楽を聴くぞ
いい?出たライダース。
やっかいだな。
これちょっと重いんだけど…。
二十歳になると女の人って晴れ着着るでしょ。
だから二十歳になったら男は成人式には着ていく必要はないんだけども…。
二十歳になったら男は「革ジャンを1枚買え」っていう。
でその革ジャンを着続けるっていう。
さあ次はこれ。
これくだらないでしょ?これもらったんですけどね入れ物は。
中に入ってるのは実はこれです。
耳栓なの。
あんまりどこでも寝れるタイプじゃないんで。
だから今回の旅はそういう挑戦でもあるんですよ。
だからこれもしかしたら使わないかも分からない一応保険で持っていくだけで。
挑戦なんですよ今回の旅は。
そんな今までの軟弱ななんか…音がしたら寝られないとかそんな自分がかっこ悪いんですよね。
だからもうね今回やりますよ。
こんなん途中で捨てますよ!一応持っていこう。
そしてこれです。
ラジオなんですよ。
こうやってこうやるといらないじゃないですか。
こうやって。
これですぐにスイッチ入るんですよ。
(ラジオ)「ケリー国務長官とキューバのロドリゲス外相は残された課題について…」ほら。
どこでも電源がなくてもFMもAMも聴けるしいいなと思って。
今ちょっとね…カメラさんそ〜っと来てよ。
ほらディレクターこれ見てよ。
ほらこの中でクークー寝てんだよ。
笑っちゃうでしょ。
これ見たらどうする?もう旅途中で「今日はもうここでいいか」みたいな感じで。
横でこうやって一緒になってこうやって寝るしかないじゃない。
だからこれなんかワンちゃんがいなかったらこんな旅はしないんだもん。
全部自分のペースで行くわけじゃない。
こいつがこういうふうにしたらもう俺は「しょうがねえなちょっとここにいるか」っつってなんかよく分かんないけど音楽でも聴いてコーヒーでも飲んでるかも分かんないじゃん。
それ面白くない?俺さ…。
ふだんほとんどマイペースなんですよ。
「マイペース」って言ったら響きいいんだけどまあわがままね。
わがままだから結構自分のペースで生きてるんですよ。
だからそうなるとこういうふうな感じでいるのも面白いかなと思って…。
さあいいですか。
続いてはねスケッチブックとクレヨン。
もう普通のそれこそ16色のよくある小学校で使うクレヨンです。
全然絵うまくないんだけどちょっと目覚めて絵を描くのもいいかななんて。
だから旅先で描けたら描いてみたいなと思って。
あっ起きた。
起きた。
わっ起きてきた。
こいつ分かってんのかな?フフフフ…。
あっ寝た。
寝た。
ドン太が寝た。
あっ寝ちゃった…。
出来ました。
なんか絵の方は自分の想像で描けるから。
だって写真だったらこの下にスーツは着てないじゃん。
もしかしたらこの下にタキシード着させるかも分かんないし。
だから想像力でものを描いていきたい。
最後になりました。
最後ね実は本持ってきました。
岡本太郎さんの「自分の中に毒を持て」って本なんですよ。
人生観がものすごいしっかりしてると思うんですよ。
しっかりしてるって僕が言うのも失礼ですけども。
「いい人なんかに絶対なるな」と。
あと「人間というのは地位をつくったり財があるとどうしても人間は守りに入るから駄目だ」と。
「過去のものは全部捨てろ」とかほんとにね「俺そっち行っちゃってる」とかっていうような事を全部言ってくれてるのね。
実は嫉妬するから読んでないのね。
嫉妬するんで…。
僕ね結構嫉妬心が強いんですよ。
この本も落ち込むんですよきっと読むと。
書いてある事がすごすぎて。
だから今まで読んでなかったのね買ってたんだけども。
でもねちょっと旅先でほんとに自分がニュートラルな精神状態だったらこの本をもしかしたら読めるかなと。
まあ何を感じるかそこもドキドキしながら読んでみたいなというふうに思ってます。
今回はこいつですね。
洋服は代替えできるけども旅で一番俺に刺激を与えてくれるのはこいつだと思うんですよ。
こいつのために旅するって事は病気もできないんですよ。
そうすると一見このドン太のために旅するんだけどもでもほんとは最後は自分のためなんだよね。
「自分探しの旅」とかよく言うじゃないですか。
誰か向こうと知り合う事によって向こうの人の勇気を見たり「頑張ろう」とかして自分の中で新しい生き方とか感動とかいろんな事を学ぶと思うんだけども。
ん?平気か?
今までの旅はどうしてもテリー伊藤として「何か仕事にヒントになれば」と。
でも今回は違う。
伊藤輝夫がドン太と未体験のハチャメチャな旅に出る。
新たな発見をする旅。
楽しむよ。
笑えるよ。
行くよ
は〜い!みなさまおはこんちワン!犬山ワン太郎でございます。
2015/04/26(日) 16:30〜17:00
NHKEテレ1大阪
私のリュックひとつ分「テリー伊藤」[字][再]
「二度と戻れない旅でリュックひとつしか持てないとしたらあなたは何を入れますか?」本当に大切な物を選んでいく異色ドキュメンタリー。鬼才、テリー伊藤が選ぶモノとは?
詳細情報
番組内容
「二度と戻れない旅でリュックひとつ分しか持てないとしたら、あなたは何を入れますか?」著名人が自分の最も大切な物を選んでいく異色ドキュメンタリー。好きなコメンテーターランキングで常に上位の演出家、テリー伊藤。ビートたけしらとともに昭和、平成のテレビをおもしろくした鬼才が最後の旅の友として選んだ究極のモノとは?リュックの中身は、過去、現在、そして思い描く未来までその人の人生そのもの。心の旅がはじまる。
出演者
【出演】テリー伊藤
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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