江戸に送られた松陰がついに井伊と対決。
助かるんですか?
(井伊)許さぬ。
生きろ。
お前らしく。
合羽橋。
170もの店が軒を連ねる日本最大の道具街です。
そこに明治41年創業老舗の料理道具店があります。
所狭しと並ぶキッチンツール。
思わず目移りしてしまいます。
ひときわ美しい光を放っているのが店で一番人気の鍋です。
ミラーボールのような輝き。
規則正しく並んだ美しい模様。
実はこの鍋すべて手作り。
しかもただ美しいだけではありません。
丈夫だっていうことがまずひとつですね。
美しさと実用性を兼ね備えた鍋が今回のイッピン。
大阪の八尾市の職人さんが作っていると言います。
この鍋を愛用している店を訪ねました。
(ラブリ)こんにちは。
(店主)はいこんにちは。
どうもはじめまして。
はじめまして。
ラブリと申します。
西谷と申します。
きょうはここでおいしいお料理を作れるお鍋があると聞いたんですけどぜひ見せてもらってもかまいませんか?はいどうぞ。
このお鍋はどれくらい使ってるんですか?え〜40年!同じ仕事を常にしてくれるので。
ええいいですね。
実際に鍋の良さって何ですか?肝がねふっくら仕上がってくるんですよ。
肝を入れてみると。
ホントだ!普通だったら沸騰が落ちるんですけれども。
確かに。
全然全体変わらず。
はい。
へぇ〜。
温度ホント落ちないですね。
何も変わらないんですね。
何も変わらないんですよ。
ふ〜ん。
ラブリさん肝吸いを頂くことに。
うん。
ん?すっごいふっくらでプリプリです。
ん…おいしい!フフフ…。
丈夫で美しくしかもおいしい料理ができる。
大阪八尾で生まれた手作り鍋の秘密に迫ります。
大阪府八尾市。
3,200もの製造業者がひしめく日本有数の「ものづくりのまち」です。
ラブリさんあの手作り鍋の工房を訪ねました。
(金槌で叩く音)広くて大きい工房ですね。
こちらは大正13年創業。
90年の歴史を持つ老舗です。
こんにちは。
こんにちは。
姫野です。
ラブリです。
姫野さんが全部作ってらっしゃるんですか?全国で10人にも満たないとされる鍋の打ち出し職人。
30年近い経験を誇ります。
この美しい鍋には姫野さんのさまざまなワザとこだわりが詰まっています。
材料は厚さ2ミリの銅板です。
コンパスで鍋の原型となる円を描き専用のはさみで徐々にまるくしていきます。
すご〜い。
こういう感じですね。
きれいなまる。
次にこのまるい銅板全体を均一に800度近くに熱していきます。
「焼きなまし」という作業なんですが。
真っ赤になってるんで…。
真っ赤!これでなまってます。
ここで姫野さんが…。
この板がねなます前の硬さなんですよ。
曲げていただいたら。
ぐっと力いれて。
うん無理。
はい。
でこれがなました後の板。
お〜すごい!この差があるんですよ。
なんか本当に銅を曲げてる感覚じゃないですね。
銅を熱して冷ますことで軟らかくなり加工しやすい状態になります。
これが「焼きなまし」。
姫野さんあるものの前に移動しました。
えこの切り株…。
この切り株で形にしていきます。
へぇ〜。
はい。
切り株でどうやって形を作るのでしょう?このへこみを使って底を決めていくというかくぼませていくんですよ。
ちょっと見ていてもらったら。
繰り返し叩くと銅板がおぼんのような形に変わっていきます。
そしてまたしても見慣れぬ道具の前に。
これ何ですか?「金床」なんですけど。
通称僕らおやじの時代からね「鳥口」って言うんですよ。
鳥のくちばしに横から見たら似てるから「鳥口鳥口」って言うんです。
はいはいはい。
銅板をこの鳥口の上部に当て上から木槌で打っていきます。
打ち出しては焼きなます。
これを8回繰り返すとまるい銅板が…鍋の形になりました!実はここからが本番。
まず硝酸に10分ほどつけたわしで丁寧に磨きます。
焼きなましで出たススを取っていくのです。
銅本来の輝きがよみがえりました。
きれい!ピカピカ!美しさに更に磨きをかけるのがこの一本の金槌。
姫野さんの腕の見せどころです。
(叩く音)現れたのは「槌目」と呼ばれる模様。
右手はリズムを正確に刻むように動いています。
金槌の重さを使い手首のスナップだけで叩いているんです。
(叩く音)続いて鍋の側面を叩いていきます。
左手の親指が鍋を少しずつ回転させています。
両手が呼吸を合わせるかのように動いて美しい槌目が刻まれていきます。
で胴体が叩き終わりました。
わ〜!姫野さんだけが咲かせることのできる花。
ぐっと押してもらったら硬い!しまってると思います。
もう全然はね返されます。
ではなぜ銅は叩くと硬く丈夫になるのでしょうか。
銅を叩くとどれほど強くなるのか実験しました。
特殊な機械で引っ張り強度を測ります。
叩いていない銅板はゴムのように伸びて…。
およそ440キロの加重でちぎれました。
一方叩いたものはあまり伸びずに…。
およそ450キロまで持ちこたえました。
耐えられる加重の差は10キロほどでしたが重要なのはグラフのカーブの違いです。
特に最初の部分銅の伸び始め。
すなわち変形が始まる値が大きく異なるのです。
銅は繰り返し叩くと内部で変化が生じます。
もともと…叩くと配列が崩れいわば身動きがとりにくい状態となって硬い構造になるのです。
これを銅の「硬化現象」と言います。
叩くと硬くなる銅。
槌目が多いほどより丈夫になっていたのです。
さあいよいよ仕上げ。
先の細い鳥口で最後の槌目を付けていくんです。
1センチぐらいの所を4回まわるんですよ。
ここを一番しめといてあげないとお鍋として一番傷める所なんです。
五徳に当てたりとか。
傷みやすい部分だけにいっそう丁寧に細かく槌目を入れていきます。
はいこれで終わりです。
すごい!どうぞ見て下さい。
輝きもきれいですし柄もすごいきれいですしあんな板ですからね。
フフフ。
へぇ〜。
こうして1枚の板からついに美しい鍋が出来ました。
姫野さんがひたすらに叩き続けて作り上げた鍋です。
火にかければ優れた熱伝導率で食材に早くムラなく熱を伝えてくれる銅の鍋。
本当に便利なものだからこそ長く使ってほしい。
輝く槌目には職人の思いとワザが込められていました。
今懐かしい食器が若い世代に人気。
新しい感覚で受け入れられているというのですが。
ラブリさんがやってきたのは大阪にある店。
すごいかわいいお店ですねぇ。
おしゃれな雑貨が並んでいますが。
あっこれってアルミですか?
(店主)そうですね。
アルミのコップです。
給食とかで…。
そうですね。
使ってたやつですよね。
はい。
そして…。
(寺脇)今の時期ですと人気のお鍋がアルミの寄せ鍋ですね。
へぇ〜!これかわいい。
これいいじゃないですかぁ。
なんと昭和32年から製造されている…インスタントラーメンの調理や食堂の食器として重宝されました。
そのレトロな感覚が受け若い人たちの間で1人用の鍋として使われているんだそうです。
2012年には長年の人気と変わらぬ形が評価されグッドデザイン賞も受賞しました。
アルミの魅力って何ですか?使い込むと結構アルミが好きな方は白ぼけてきてちょっとへこんだりするのもまた味が出てきてお好きな方は。
自分の味になるっていうのも良さの一つということですね。
もちろん火に直接かける事だってできます。
ほっこりしたどこか温かみのあるアルミの鍋。
どのように作られているんでしょうか。
アルミ鍋を作っているのは八尾市の隣東大阪市です。
大阪府の東側に広がるこれらの地域は「ものづくりのまち」として知られています。
高度経済成長期大阪市内にあった製造業者は量産のためより広い土地を探していました。
そこで大阪市に隣接し交通の便もいいこの一帯に注目。
熟練の職人たちが集まってきました。
中でも金属製品の製造業者は2600社に達しています。
こちらがアルミ鍋を作っている工場。
創業は昭和10年。
戦後東大阪に移転してきました。
新しい機械を取り入れつつ創業当時のものも大切に使っています。
アルミ製の鍋は貴重な機械を職人たちが熟練のワザで操りながら作っています。
アルミ板を金型で打ち抜き成形していく方法です。
10の工程を経て出来上がるアルミの鍋。
仕上げを担当する…この道40年の大ベテラン。
土岐さんは小さな金属の箱や板を積んでいます。
いったい何のため?実は土岐さん鍋の持ち手を上げる縁立てを行うプレス機の調整をしているんです。
持ち手は機械をこのカーブに当て立ち上げます。
僅かな角度の違いも仕上がりに大きな影響を与えるため職人の手による調整が必要なのです。
最も適した角度や位置を見いだすまで金属の箱や板を積み上げていきます。
そして調整が終了した時にはロボットのような姿になっていました。
持ち手が立ち上がりましたが…。
プレス機の圧力が弱いといい角度で立ち上がりません。
すかさず圧力を強めにします。
今度は大丈夫のようです。
機械を道具として使いこなす職人のワザによってアルミ鍋に温かな感触がもたらされていました。
ラブリさん店に置くとすぐに売り切れるフライパンがあると聞いて再び八尾市にやってきました。
こんにちは。
こんにちは。
きょうはよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
あっこれですか。
はい。
早速すごい持ち手がかわいいですね。
持ち手もさまざま。
ひとつひとつ個性的で表情豊かなフライパンです。
全部違うんですね。
そうですね。
(宮内)飾ったりとかしてもかわいいので。
確かに。
まるでアート作品。
おしゃれなフライパンです。
実際に使っている方を訪ねました。
よろしくお願いします。
八尾市に住む竹本さん。
きょうは娘の莉子さんに得意のチャーハンをふるまいます。
デザインにひかれて買ったフライパン。
その使い心地は?もっと最初は焦げ付くかなとか思ってたんですけどいただきま〜す。
パラパラに仕上がりました。
味のほうはどうでしょう。
いけてるやろ?うんいける!いっぱいおいしいよ。
アートで使い勝手のいいフライパン。
どう作られているんでしょう。
こんにちは。
どうもはじめまして。
ラブリと申します。
すすごいですね。
びっくりしました。
フライパン作りの職人。
もともとアーティストとして金属を素材とした作品を作っていました。
なんでああいうフライパンを作ろうと思ったんですか?ばかでかい物ばかり作ってたんですけどもファンの方が「私でも使えるものを作ってください」とリクエストがあったんですよ。
で鉄板を扱っていて家庭で使えるものいうたらフライパンかなというんで。
「自分にしか作れないものを」との思いから柏原さんは独自のワザでフライパンを生み出しました。
まずは成形です。
普通なら鋳型やプレス機を使うのに。
この機械でへこますんですか。
はいへこますんです。
エキセンは1トンもの圧力をかけられる特別な機械。
鉄に強度をもたらす一方で独特のシワを作っていくのがねらいです。
チューリップハットみたいな感じですね。
想像がつかないですねこれがフライパンになるっていうのが。
すでにフライパンらしからぬ形ですが。
更に…。
大胆に叩き始めました。
せっかく作ったシワを潰しているようです。
まぁこれで叩きは大体終わりですね。
叩き終わったフライパンをよく見ると…。
大胆な叩きから生まれたのは微妙にうねる美しい稜線でした。
そして次に電動やすりを取り出しました。
普通はギザギザの部分などきれいにならすために使うものですが柏原さんは更に全く違う別の使い方をします。
わざと表面にザラつきを付けていくんです。
この時できる表面の凹凸が重要。
実はこれが柏原さんのフライパンの特徴である焦げ付きにくさをもたらすんです。
触っても分からないけど溝がちゃんとあるという事ですね。
そしてバーナーで仕上げ。
温度や時間を巧みに調整しながら理想の色合いにしていきます。
独特の光沢のあるフライパンが出来上がりました。
「味がある」っていうのはこういう事だなぁと思いますけど。
色もきれいですし使えば使うほどより自分だけの作品になるという感じが。
そうそう。
あとは育ててもらうんですね。
これはずっと大事にしたいですね。
アイデア豊かに新しいキッチンツールを生み出すワザに脱帽です。
先人のワザや道具を大切に受け継ぐ職人たち。
人を喜ばすためならどんなこともいとわない。
「ものづくりのまち」の精神は生き続けます。
2015/04/26(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「メタルな光でおいしい生活〜大阪 金属製キッチンツール〜」[字]
今回のイッピンは、大阪・八尾市のすご腕職人が作る鍋。一枚の銅板から、美しく丈夫な鍋を作る超絶・叩きの技とは?“売り切れご免”のアートなフライパンなどラブリが探る
詳細情報
番組内容
大阪八尾市の金属打ち出し職人が作る銅鍋が大人気。美しく、丈夫で、料理がおいしくできるという。一枚の銅板を叩いて、鍋にしてしまう超絶技巧とは?また金属系アーティストが開発した「アートなフライパン」も、“売り切れご免”の優れもの。驚くべきアイデアが詰まっていて、使って便利、見て楽しい。その他、東大阪市で作られたレトロな魅力のアルミ鍋など、ものづくりの町が生み出す魅惑のキッチンツールをラブリが探る。
出演者
【リポーター】ラブリ,【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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