完成!ドリームハウス。
今回の舞台は東京の下町台東区。
上野のガード下では戦後闇市の面影残すアメ横商店街が今もお客で賑わっています。
どうも。
いってみましょう。
目指すお店はアメ横から歩いておよそ10分。
一歩入るとへぇ〜!あっここここ!いかにもといった下町の老舗の天ぷら屋天正。
両側をお隣に挟まれた小さな間口。
奥さん?はい。
はじめまして。
はぁ〜!一人娘の真花ちゃん。
ここ天正は今から60年前に創業。
ですがこの建物自体は昭和2年に建てられたもので現在築88年。
88年!?古いね〜!初代主人の正八さんがここに店を構え…。
長男だったお母さんのご主人が店を継ぎましたが4年前に他界。
現在の娘さん夫婦は三代目。
下町に愛され家族で守ってきたのれんそんなお店なんです。
また結構これ…。
急ですね。
階段というよりもなんかハシゴ段みたいな。
あらこれは急だ。
階段の傾斜はなんと60度!一見広く見える踏み板も実は重なっており実際の幅は15cmほど。
しかも照明も手すりもなし。
これは下りは大変だ。
上るときは手を使いながら。
まるでハシゴだね。
壁にはこんな隙間が。
あらサッシにも隙間。
天井にも。
これじゃすきま風が入りまくりだ。
更に東西に窓がないため電気を消すとあ〜かなり暗いね。
こっちにも窓ある?あれ?ありゃりゃ…。
これはちょっとね…。
漏電してショートでもしたら大変ですよ。
銭湯行くんですか。
はい。
ありゃ!お母さんは実家にもお風呂がなかったためなんと66年間ずっと銭湯通い。
トイレは当然2階にはなく階段をおりて外履きに履き替え店のトイレへ。
昔ながらの和式…これ結構つらいんです。
お母さん大変でしたね。
新しい家では寒くない楽に行けるトイレが欲しい!お店の奥からつながっている娘さん一家の家は…。
こちらも狭っ!なんだ?あ〜あかんよ!下町の天ぷら屋さん天正。
店の奥に続く家は24年前に買い取り娘さん一家が暮らしています。
しかしここがまた半端じゃない古さ。
壁板がそこら中はがれてますよ!中はどうなってるの!?ここが…ここが…。
なんだ?あ〜あかんよ!柱が…浮いてる!?やばいよこの家。
そうそうそのままそのまま…。
ご主人。
はい。
お店の奥に娘さんの家に通じる隙間のような通路が。
はい。
ここは扉がないんです。
雨が降るとちょっと。
雨が降ると漏ります。
うわぁギリギリだね!この先が娘さん一家が暮らす家の裏口です。
突き当たりには洗濯機が。
娘さんは洗濯のたびに外履きに履き替え暗く狭いスペースで作業をしています。
そりゃあ大変だ!家の中に洗濯機を置ける場所が欲しい!ここが風呂場。
びっくりするくらい小さいお風呂です。
狭っ!え?これ大きさどれくらいあるの?幅73cmの正方形。
体育座りしないと入れません。
そりゃ新しい家には足が伸ばせるお風呂が欲しいよね。
裏口から入りお風呂を右手に見ながら奥へ進めば台所。
その隣には4畳半の和室が。
はい。
こっちが玄関。
商店街の裏の路地に出るんだ。
24年前に買った娘さん一家が暮らす家はもともと裏の路地に面した家だったんです。
店の入り口から商店街をぐるりと回って路地に入れば娘さん一家の家に出るんですね。
更に台所にも問題が。
あちゃ〜!ここも狭い!狭いだけじゃありません。
この家には洗面所がないんです。
ご飯を作る横で歯磨き。
そうそう真花ちゃんはお絵かきが好きなんです。
でもそれが終わると…。
お化粧台も当然ないので…。
調味料の隣に筆そしてアクセサリー。
こりゃ無理があるわ。
新しい家にはとにかく洗面所をお願いします!実はもうひとつ困ったことがあるんです。
誰かがお風呂に入ると…。
えっ!?脱衣所がないの!?そこ台所じゃ…。
お願いしま〜す!階段には…なるほど食器棚。
できれば広いキッチンも。
またここも急だね。
真花ちゃん上り方がうまいわ。
あれ?2階は意外ときれいじゃ…。
こんなにほら。
回転さえできるよ。
でもよく見ると床の土台が腐ってるようで今にも抜けそうあちゃ〜!天井は…。
えっ!?隙間から空が見えちゃってる!はい地震でバーンってこう。
あ〜そりゃ大変。
これはここ締め…。
鍵締まんないよ真花ちゃん。
(笑い声)旦那さんの寝室にはすきま風だけでなく雨漏りまで。
雨風の入らないぐっすり眠れる寝室もなんとか!うわぁなんだここは。
さらにとんでもないところが!向こうはお母さんが暮らす住居ですが物干し台が無残なことに。
上ったら危なくない?だから洗濯物は部屋干ししかできません。
ベランダもできれば。
そして家族のいちばんの希望は真花ちゃんに。
真花ちゃんのために子供部屋を。
へぇ〜今もっとおっきいもんね。
背比べずっとここで暮らしてきたんだね。
お友達呼んでお泊まり会やりたいね!改めてお母さんの希望は?あったほうがねやっぱり。
今度はちょっと暖かい南のほうに住みたいななんて。
ちゃんと陽の光をねええ。
今まで我慢してきた分希望はてんこ盛り。
普通のことばかりだけれど家族にとっては切実な願いなんです。
実は今回えっ何!?別なんですか?あららららほんとだ。
よく見るとどうなってるかがまだわからない。
そんな…。
こっちの家解体したらお隣さんとくっついてる部分っていうのはどうなっちゃうんでしょう?しかもつながっていたのは手前のお店だけではなく裏の娘さん夫婦の家もお隣さんとつながっていたんです。
どれどれ。
あっほんとだ!中はどうなってるの?どうなっちゃうの?
(一同)よ〜!この難題に取り組むのはお祭り大好きの下町っ子。
天正から歩いて10分のところに事務所を構える建築家。
周りの環境に溶け込む建物を数多く手がけてきた川島は特に限られた条件の中で光をうまく使い空間を最大限に活かすことを得意としています。
ここでおさらい下町台東区の老舗天ぷら屋さんが施主は二代目の女将さんとその娘さん一家。
これ下抜けるって。
建物はもう限界!床はブヨブヨだしそこら中すきまだらけで寒い!傾斜60度の危険な階段を下りなければたどり着けないこれまた娘さん一家のお風呂は体育座りで。
更にお隣との境目が…。
くっついちゃってる!建築家川島はどんなアイデアで克服するのか!?職人さんたちがすでに到着。
どうですか?足場を組み…。
廃材を運びやすくするためまずは建具の取り外し。
続いて壁をはがすと…。
ん?何です?それ。
昭和22年。
新聞か!この2日後の5月3日に日本国憲法が施行され憲法記念日ができるんです。
でも新聞紙が断熱材代わりってそりゃ寒いわけだ。
はい。
ハハハハ!ハハハハーッ!壁の中からへそくり!二宮尊徳の…。
ボロボロだ!簡単に壊れますよ。
土壁の中に格子のようなものが。
伝統的な技法です。
そりゃあ88年もったんですからね。
この一帯は全壊。
商店街には耐震耐火を意識した新しい建物が一気に建てられました。
天正もまさにそうした1軒だったのです。
天井の梁には他の木と比べてもやけに古い材木が混じってますね。
これは?あ〜関東大震災の廃材ですか。
確かに他で使われていた形跡が。
これ?えっ?これってトイレの床板?こんなものまで再利用したんだ。
え〜!どどうしました?こちらは防塵マスク。
天井をはがすと…うは!うわ!大丈夫ですか?溜まりに溜まった88年分のホコリです。
いやいろんな現場を見てきましたがこれはすごい!はい。
目の前が見えないよほら。
水をまいてホコリが舞うのを抑えようとしているんですが。
あちゃ〜ダメだこりゃ。
ホコリがすごすぎ。
伸ばした自分の手が見えません。
そうそう心配なのがお隣とくっついていた外壁。
あそこどうなってるんですか?2階西側の…。
ウソ!?向こうは外壁ないの!?解体したらやばいでしょ!このくっついてる部分解体したらどうなっちゃうんでしょう?家の中から壁をはがしてみると。
ひゃ〜土壁がむき出し!お隣さんまったく外壁を作ってなかったんだ。
でもなんでこんなことに?その答えは古い写真の中に。
建築当時2軒の家は独立していました。
ですが建て替えられた際覆いかぶさるようにくっついてしまったのです。
そのため解体すると…。
やばいでしょ!家がくっついていたのはお隣の赤いトタンの壁の下…。
ああやっぱり土壁がむき出しだ。
ん?ちょっちょっ…ちょっと赤いトタンはお隣さんでしょ?それはがしちゃっていいの?お隣さんが雨対策のためにと取りつけたトタン板でした。
あ〜よかった。
どうしたんですか?どういうこと?こりゃまずいっしょ!ブルーシートで応急処置をし解体を進めます。
すると…またまた不思議なものが壁の中から。
不思議なもの?天正にくっつけて建て替えたお隣さんですが…。
あ〜。
隣の窓を覆う感じで増築したんだ。
今回はお隣が密着しているため解体も重機を使えず人力で。
一本一本柱を切って…。
あれ?最後まで切らないんですか?いいよ。
はい。
引っ張って倒すならあらかじめ全部切ればいいのに。
あの柱見てもらうとわかるように。
全部切ってしまうと崩れ落ちてしまいどこに倒れるかわからない危険性が。
あとはこっちで持ち上がれば折れちゃうから…。
お隣さんへの配慮だったんだ。
このように柱が縦に割れていれば解体はうまくいっている証拠。
へぇ〜。
家族の思い出が詰まった柱も…。
職人さんの手で丁寧に解体されていきます。
重機を使えば4日で済む解体。
職人さんお疲れさまでした!問題はお隣さんの壁です。
この日建築家の川島さんと現場監督がお隣石黒さんのお宅へ。
和やかに決着。
お隣の外壁部分に足場が組まれ補修工事がスタート。
むき出しの土壁は防水シートで保護し更にトタン板をはり付け費用も今回は渡辺さんが負担。
トタン板は歴史が古く明治時代からあり今もずっと使われている建材です。
釘はさびにくいステンレス製を使用しました。
これでひと安心。
お隣の石黒さんどうですか?長い間寄り添うようにくっついていた2軒の家が切り離され渡辺邸の敷地がはっきりと現れました。
やっぱり細長〜い!商店街に佇む老舗の天ぷら屋さんは消え生まれ変わるための敷地が現れました。
細長い土地は…。
幅4mで長さが15mという細長い土地。
東と西はお隣さんが迫っているため日ざしは望めません。
南の路地側には高い建物がないので日ざしはなんとか確保できそうです。
うなぎの寝床のような土地に重機が。
ようやく掘削工事家づくりが始まります。
いやぁここまで長かったね!土は5台のトラックで運び出します。
地盤を改良するためコンクリートの杭29本が打ち込まれました。
掘削工事は3日間で無事終了。
お疲れさまでした。
続いて運ばれてきたのは鉄筋。
配筋工の職人さんです。
結束線と呼ばれる針金で固定していきますが今回は普通とは違うやり方をしています。
えっ何が違うの?一般的な留め方は斜めに針金を巻く…。
一方中川さんは裏側から左右を通して留める…。
手間がかかってますけどどうしてこのやり方にこだわるんですか?片たすきに比べ頑丈でズレる心配もないんです。
こういう職人かたぎかっこいいね!やがて配筋の終わった現場には…。
生コンが流し込まれました。
手間をかけたつぎ目もコンクリの中に埋まり見えなくなります。
この見えないところにこだわって仕事をするのが日本の職人さんなんですよね。
これで基礎が完成。
やっぱりかなり細長いね。
その幅は…。
4歩。
4歩で。
渡辺邸。
ここにどんな家が建つんでしょう?渡辺邸の建築プランがこちら。
すっきり長方形の鉄骨3階建てです。
1階部分はこれまで同様店舗。
上が居住スペースとなります。
一見シンプルな形ですがここに細長い土地でも広がりを感じる工夫がギュギュッと詰め込まれています。
川島さんお手並み拝見です。
五月晴れのこの日何だ?現場に見たこともない車がやってきた。
敷地に入っていきます。
なな何だこれ!?あれよく見たら同じものがもう1台。
あ〜なるほど!伸びるんだ!こちらは高所作業車。
その名もスカイタワー。
走行と上下をスイッチで切り替えあとはハンドルを動かすだけ。
でもこの車で何をするんです?おぉ鉄骨を引っ張ってる。
鉄骨を基礎に固定。
これってひょっとして…。
はい今日は上棟です。
え〜っ!?こんな調子で引っ張って組み上げる気?ないですか。
ないです。
大型クレーン車は規制がかかり入れないんです。
でも伸びたね〜。
はいよせえのはい。
これはこれで画期的なやり方じゃないですか?通りがかった皆さんも興味津々です。
でも足を止めて注目していたのは。
10cmあぁそうですか。
お隣の石黒さんも。
う〜ん確かに言われてみると細いかも。
あれれれ?しかもグラグラして頼りない。
ねえねえねえ大丈夫?こんなに細い鉄骨じゃダメなんじゃないの!?今回使われた鉄骨は一般的に軽量とされる鉄骨より更に小さく…。
あ〜やっぱり手にすっぽりサイズ。
それってやばいでしょ!ほんとに大丈夫?上棟が進む渡辺邸ですがどうしてこんなに細い鉄骨を使うんでしょう。
太い鉄骨だと内側に張り出してきてしまうため細い鉄骨を採用し空間の広さを確保するアイデア。
なるほどお隣と離して建てる分今までより幅も狭くなるんですもんね。
これで部屋が広くなるんだ。
狭い横幅有効に使わなきゃね。
大型クレーンの代わりに高所作業車が現場を縦横無尽。
渡辺邸の上棟が完了です。
谷間のような空間にすっぽり収まりました。
ただこの細い鉄骨…。
上棟はひととおり終わったかと思ったらまた鉄骨が。
しかも今度のはなんか曲がってますよ。
ほら。
あれ?1階の真ん中につけるんだ。
なんなの?これ。
職人さんたちも驚く不思議な鉄骨はこんな形。
花みたいになってるけどなんなんですか?細い鉄骨の渡辺邸は地震が心配。
これで骨組みが頑丈になるんだ。
でもこの筋交いの鉄骨自体も細いよ。
ほんとに効果あるの?まだ半分ですけど。
細くても丈夫なのは複雑な形にしたから。
構造を徹底的に調べ角度や数を計算。
まるで花開いたような形状の筋交いはデザイン的にも期待できそう。
この筋交い1階をがっちり支えますが実は更に大切な効果があったのです。
まあそこが…。
そうなんです。
筋交いは1階部分を補強するだけでなく建物全体をがっちりと固めてくれるのです。
だから2階や3階に室内を遮る柱や壁を作らず広い空間を確保することができるのです。
この斜めの鉄骨にそんな深い意味があったとはお見それしました!でもお客さんには…。
う〜んちょっと邪魔なんじゃ?でも階段どこです!?上にはどっから上がるんでしょうか?現場には資材を積んだトラックが入ってきました。
これは何でしょう?よく見ると小さな穴がいっぱい!これって材質は何になる?コンクリートに比べ4分の1ととんでもなく軽いんです。
ですが中に鉄筋を入れることで十分な強度も確保。
燃えにくく遮熱性にも優れているんです。
うわっダメカメラさん!そんなに上っちゃいけないと思うよこれ下抜けるって…。
以前の家の…。
このALC板がひょっとして床になるのかな?軽いから上げるのも楽チン。
やっぱり床に入っていきます。
こりゃ話が早いね!よいしょOK!床を敷く作業はあっという間。
半日でワンフロアが終わりました。
続いて用意したのは…。
モルタルだこれはどうするんです?モルタルを四角い缶の中へ。
すると…。
あ〜なるほど。
何すか?これ。
カンに切れ目を入れ溝にモルタルを流し込むためのお手製の道具。
ハハハハ!犬でも散歩させてるみたいだからポチって…。
実はモルタルの下には鉄筋を埋め込んであるんです。
鉄筋と一体化させることでより頑丈に。
続いて引っ張り上げたのはまた発泡コンクリート板だ。
今度はどこに取り付けるんでしょう?あっ壁もこれ…。
発泡コンクリート板は耐火性にも優れているんです。
関東大震災後に建てられ戦火を乗り越えた天正。
その新しい外壁にも頼りになる建材が採用されました。
ご近所さんみんなが顔見知り。
今度は壁用石膏ボードの貼り付け。
でもお隣さんとの間が狭いね。
ハハッ!作業も窮屈そう。
この石膏ボードも防火のため。
ですが石膏ボードじゃ雨風でボロボロになっちゃうんじゃ?心配ご無用。
石膏ボードの上には耐火性断熱性を合わせ持つ防水シートが…。
外壁は何か特徴があるんですか?そうですか。
このセメント板は膨張率が低いため形状の変化や凍結による損傷が起こりにくいんです。
へぇ〜!あれ?横から見ると穴が開いてますよ。
これは?セメント板防水シート石膏ボードの3層仕上げ。
それでも厚さはたった44mm。
建物の外側をきっちり断熱処理しておけば室内のカビの発生も抑えられます。
建物らしくなったところで中を見てみます?あっ広いね!でも…。
あの…窓はこんなに小さいのが低い位置に1つだけ?これじゃあさすがに暗いんじゃ?小さな窓はこちら北側の2階部分。
そしてお隣さんが迫る西側更に東側に窓は1つもありません。
えっなんで?というのは…。
小さな窓の部屋は夫婦の寝室。
はぁ〜なるほど。
これなら人通りの多い商店街からの目線も大丈夫そう。
更に窓の工夫が…。
え?どういうこと?ここが2階の北側。
そして3階は…あ〜確かに大きいわ。
南側は更に大きい。
こちらは高さ2mの大開口。
これはどうして?そうすることによってしぜんと明るい場所にみんなが集まるようになっていてそこがリビングとして家族が集う場所にすればいいなというふうに思っています。
明るい所には人が集まる。
そんな心理を使うってことか。
窓を南北にしかつけられないことを逆手にとった建築家川島のアイディア。
暗めで落ち着く…。
それより明るめの子供部屋。
更にリビングをいちばん明るくすることでしぜんと家族は光ある場所へ集まるように。
どれどれ実際はどんなものか。
ああまぶしいよ。
外壁ができたところで…。
更に中には大きな機械が持ち込まれました。
何が始まるんでしょ?ん?職人さん何か吹きつけてます。
泡ですか?鉄骨に泡のようなものをどんどん吹きつけてます。
よく見ると綿っぽい。
吹きつけたのはロックウールという不燃材をセメントに混ぜたもの。
鉄骨は熱に弱い面もあり350℃を超えると軟化し始めるといいます。
ですのでこうして保護を。
鉄骨という鉄骨が不燃材で覆い尽くされました。
これで防火対策もバッチリ。
また結構これ急だね。
この階段が。
1回落っこったことあります。
落っこったことがある?以前の家の階段は…。
危険な急階段でした。
到着したのは…。
階段だ。
さあてどこにつける気でしょう?足場にウインチを取りつけ引き上げます。
でもこの鉄骨階段…。
でかすぎじゃ?中に入るの?お隣の石黒さんも興味津々。
あれひょっとしてそこ?外階段でしたか。
階段が取りつけられるのは裏の路地に面した南側の外。
階段を上がった2階が住居部分の玄関になります。
値は張りますが外階段は延床面積に入らないので容積率いっぱいに室内空間を広くとれるんです。
へぇ〜外階段も家を広くするための工夫だったんですね。
次々くるね。
今度は…。
お母さん待望の!渡辺邸の浴室は2階の真ん中。
メンテナンスの楽なユニットバスを採用。
あれ?床に模様?細かな溝を入れることで水滴の表面張力を減らし水を流れやすくできるのです。
だから床が乾くのも早い。
これなら床暖房も必要なし。
今やユニットバスの主流となっている床です。
お値段もお手ごろ。
知らない間にユニットバスも進化してるんだ。
お風呂を楽しみにしていたお母さん喜んでくれるかな?これで完成。
はは〜早速来ましたよ。
さっお風呂お風呂!66年間銭湯通い。
娘さんの家にはありましたがお母さんにとっては初めての家風呂なんです。
よかった嬉しそう!あららら…。
さあ3階は…。
上乗っかっても大丈夫なの?大丈夫です。
新しいベランダはどうでしょう?周りに高層ビルがないから抜けた空が広い!早くもお気に入りの場所ができました。
今度は真花ちゃんだ。
へぇ〜すごい。
夫婦の寝室は2階北側。
そう窓を小さくするだけでなく低い位置につけたのは布団で寝たときにちょうど目線に合うようにという娘さん夫婦の希望。
3階はどうかな?なんか見える?どれどれ?ほんとだ!これはなんだか得した気分。
何をおっしゃいます。
これからですよ!窓の明るさが目立つのも東西の壁に窓がないから。
壁材が入り…こちらもだいぶ出来てきました。
仕上がりが楽しみです。
続いては床。
床板が全面に入るととたんに部屋らしくなってきました。
真花ちゃんも嬉しそう!すごいねマーちゃん。
お家の中で走れるよ。
嘘みたいだね。
近所でアパートを借りているお母さんは毎日のように見学に。
おはようございます。
おはようございます。
ほらほらほらご近所さんも気になっています!暑い中この日は冷たいお茶を差し入れ。
更にお茶うけも。
これ1本いただいて。
創業196年下町の名物羽二重団子。
お母さんは1本持って自転車へ。
お気をつけて!団子…。
いよいよ工事も大詰めに。
この日は渡辺さん一家が勢揃いで現場へ。
3階の子供部屋で何を始めるんですか?あっ真花ちゃん髪切ったんだ!えっこれってペンキ?真花ちゃん塗っちゃうの?いやいや楽しいじゃなくてむらになっちゃうよ。
へぇだったら子供でも塗れるんだ。
ヒマワリ油を使った自然塗料。
シンナーも入ってなく人体に無害なんです。
だから子供が使っても安心。
何点?家族で塗って経費節減。
家が出来上がったとき一層愛着がわきそうです。
こんなに長いこと店を休むのは初めて。
家族みんな体がうずうずしてるみたいです。
こちらは建築家川島さんの事務所。
中では娘さん親子が…これは粘土ですか?何になるんでしょうね。
おあとのお楽しみです。
仕上げに入った渡辺邸。
この日は…。
壁紙を貼るんですね。
選んだのはビニールコーティングされた汚れのつきにくい耐火クロスです。
空気を抜いて余った部分をカットシュパッとね!ちょちょちょ!職人さん!わざと切り残したのはプロの技。
隣に壁紙を貼って。
こうして切れ目を揃えるためだったんです。
お見事!継ぎ目がわからないくらい一直線!ずいぶん狭い感じがしますけど。
以前の台所は狭いうえに洗面台も兼ねていて何でもやってました。
一家にとっては待望のキッチンがついに来たみたいですよ!でか!搬入はすべて外階段から。
置く場所を確認。
ところが!やばいんですか?キッチンは3階ですが廊下そしてこの階段を通らないかぎり…。
ええ!ってことはキッチン作り直し!?はい?今外から上げるって言いました?はぁ〜足場の外から吊り上げる。
すごいこと考えるね!うん。
いいかな?垂らしたロープにくくりつけいよいよ宙に浮かせます。
落っことさないように気をつけてくださいよ。
さあいけ!これで入らなきゃ作り直しだ!キッチンを足場の外から引っ張り上げます。
大丈夫かな?さあ浮かせますよ。
オーライ!オーライ!OK!なんとか上がりました。
ここに設置するのかな?せえの。
ここまで来れば話は早い。
あっという間にアイランド型キッチンが現れました。
渡辺邸のキッチンは大きな箱が3つ。
そうですか。
うん。
せえの。
当初は予算の都合で1階店舗の厨房を台所代わりに使いキッチンは作らない予定でしたが奥さんがやっぱりキッチンは欲しいと予算をひねり出しました。
そうなんだでもキッチンはあったほうがいいよね。
完成したキッチンは3階南側明るいリビングの横に。
ちょっとよすぎる…。
ワォ!思えないね。
以前の家では昼間でも電気をつけないと台所に立てなかった奥さん。
やっぱり。
新しいです。
これも渡辺家念願のもの。
そして念願の洗面台。
真花ちゃんの絵の具もここでOKだ。
さあ家がみるみる仕上がっていきます。
2階の南側お母さんの部屋には大きな箱が。
こちらは収納になります。
ずいぶん厚みあるね。
そういえば北側奥夫婦の寝室には…。
どうする気だろう?よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
やってきたのはご主人。
板やらいろいろ持って登場です。
見た目だけは。
内装屋さん。
それ何ですか?えっこれ自分のですか?本格的なものじゃないですかこれ。
ご主人が作るのは回転収納。
これも経費節減。
川島さんに図面を描いてもらったんです。
以前の家を直してばかりで日曜大工が趣味になったご主人。
学校帰りの真花ちゃんも。
お父さんを手伝いたいんだ偉いなぁ。
1人でおがくずをまとめました。
ここで取り付けたのは大きなキャスター。
これで回転させるんだ。
押し入れにする回転収納が形になりました。
家族で力を合わせて作った回転収納はこの2つ。
ちなみにキャスターは横板を下まで出して見えないように。
材料費は11万円。
ふだんはひっくり返しておけば布団も見えません。
今度は1階。
少しずつね少しずつね。
店舗部分に業務用冷蔵庫を搬入です。
以前からの調理器具も使えるものは使うことにしました。
続いては店舗用の照明をセッティング。
前の天ぷら屋さんとはガラリと変わるようです。
工事はラストスパート。
88年間ボロボロになるまで頑張り続けた建物とバトンタッチ。
新たなドリームハウスがついに産声をあげます。
さあ渡辺邸…。
渡辺邸大公開です。
これかお〜。
下町台東区の商店街に今までとはまったく違うエッジの効いたモダンな店舗兼住宅が佇んでいました。
思い切りましたね。
シルバーのサッシと真っ黒な外壁。
ご近所さんもビックリ。
生まれ変わった天正です。
お元気でしたか?どうもこんにちは。
どうもお母さんこんにちは。
ねえ。
ええ。
ハッハッハッハ!そうそう!家族で粘土を彫ってましたね。
はぁ〜。
あの老舗天ぷら屋さんの面影は消えそこにはすてきな空間が。
白く塗られた筋交いも強烈な存在感を放っています。
工事をしてるときは邪魔そうに見えた筋交いですが白にすることで黒い内装と見事に調和。
いいアクセントになりました。
窓を小さくした分大きくなった黒い壁がひと際目を引きます。
その中にこんな空間があるとはまさか想像できません。
常連さんも驚いたかな?いらっしゃいませ。
ありがとうございます。
へぇ〜。
いらっしゃいませ!筋交いの間に配置された客席は空間も十分。
余裕を持たせた造りになっています。
おいしい天ぷらを味わうだけでなく会話も楽しめそうなお店に変身しました。
広く感じるのはカウンター席をなくしたから。
厨房は今までの2倍近い長さに。
笑顔は今までどおり!これが居心地をよくしてくれるんです。
それではお店を抜けて住居部分へおじゃましましょう。
奥のドアを開ければそこは裏の路地。
ここからがちょっとビックリ。
カメラさん振り返ってみてください。
そう表は真っ黒でしたが裏側は真っ白。
そうなんです。
はいじゃあ…。
お店きれいになったねねっ。
玄関に通じる外階段は囲いをメッシュにして日ざしが入るようにしています。
晴れた日はまぶしいほど。
階段を上りながらどんな家なんだろうと期待が膨らんだところで2階の玄関が見えてきます。
あっ!はい。
渡辺邸の玄関を開けると目に飛び込んでくるのが表通り側の窓まで続く長い廊下。
これも収納です。
イスにもなるとお母さんも重宝しています。
ここも全部収納なんですか?収納ですね。
ここにもういろんなものも。
なるほどなるほど。
そうですねここは。
廊下とお母さんの部屋の間に壁を作らず収納を仕切り代わりにしました。
前の家の玄関は狭く下駄箱から靴がはみ出していましたが…。
今度は余裕たっぷり。
奥行きがあるので2列に並べられます。
上着やコートもハンガーのまますっぽり。
玄関から入ってすぐ。
2階の南側がお母さんの部屋。
奥行きのある収納が壁代わり。
これだけあれば十分気持よく過ごせそうですね。
そう。
そうそう暗いうえにすきま風がひどかったんです。
お母さん念願の南側の部屋。
いや〜明るくなりました!これも南向きの窓から光が採れるから。
住み心地はどうですか?前の家では寒いからと部屋の中でもダウンを着ていました。
今はふだん着で快適に過ごせるように。
畳ベッドは高さが41cmあり立ったり座ったりが楽なんだそうです。
そうですよね!今はトイレに行くのも楽チン。
何しろ部屋を出てわずか10歩。
しかも段差はありません。
ずっとこれにしたかったんです。
なかったんでしたっけ。
以前は真花ちゃんの髪をまとめてあげていたのは居間でした。
明るい鏡の前でやってあげる。
これも小さな夢だったんです。
お風呂も…。
広くなりました。
脚が伸ばせる。
は〜。
前こうだったもんね。
へ〜。
以前は肩まで浸かることもできなかったお風呂。
一日中立ち仕事のあとはやっぱりこうでなくちゃね。
廊下には念願の…。
ごく普通に見えるけど家族にとっては切実な夢ばかり。
きちんと叶ったドリームハウスです。
浴室を出て北側へ進めば娘さん夫婦の寝室。
以前はお母さんが寒そうに暮らしていた場所がみちがえるよう。
この部屋のいちばんの特徴は床に合わせて低くつけられた窓。
そうですはい。
布団はご主人手作りの回転収納にしまってあります。
これもいい働きしてますね。
一日中お店で働いていてこの部屋に戻るのは寝るときくらい。
だから夜が快適な部屋にしたい。
2人の希望が叶いました。
窓を下にしたことで窓側にも収納がつきました。
いちばん下の段はワークスペース。
こういう場所必要ですよね。
夫婦の寝室と階段の間に壁は作らなかったんですね。
どこを見てもオープンな家族です。
階段を上っていくと目に入るのは高い天井。
広々とした3階北側のスペースに出ます。
床から立ち上がる開口の高さは2階の倍だからより開放感を感じますね。
この部屋も仕切りをなくしました。
ここはどうしても作ってあげたかった真花ちゃんの子供部屋。
7.7畳です。
壁と壁。
家の幅。
めいっぱいに窓も広げましたからね。
商店街の通りに面していますが3階まで上がれば静かなもの。
気持のいい風が入ってきます。
いい部屋もらっちゃったね真花ちゃん。
そうそう!この部屋にはお気に入りの場所があったんだっけ。
そこはナベちゃん押さえておかないと!この家では真花ちゃんの部屋からだけの眺めです。
欲しかったベッド!机と一体型のタイプを買ってもらいました。
えっ?まぁまぁ!?子供部屋から階段を挟み南側に出ると奥さん念願の大きなキッチンがど〜んと顔を出します。
その先には渡辺邸のメーンルーム。
明るい日ざしが日だまりを作る。
リビングダイニングが広がります。
いや〜ほんとポッカポカ。
静かで明るくてあったかい!とっておきの場所です。
はいそうですね。
確かにそうですね。
アイランドキッチンは…。
お皿がいくらでものっかりそう。
以前は食器棚に苦労していましたが今度は足もとにしまえます。
更に壁にも収納をつけました。
おしゃれにすっきり収まりましたね。
そうそう!真花ちゃんと一緒に料理するのが夢だったんですよね。
このキッチンになってから真花ちゃんが自分から手伝うようになったんです。
出来たよ〜。
よしご飯だご飯だ。
キッチンの大きな天板が食卓代わり。
出来立てのアツアツを目の前でよそえるとみんなが気に入っています。
あ〜キッチン作ってよかったですね。
そしていちばん変わったのがみんなで過ごす居間。
これだけ明るいとなんとなく足が向いてしまう。
建築家川島さんの狙いどおり。
家族がしぜんと集まる場所になりました。
顔がいつも見られるので家族の体調もわかるように。
なんと!物干し台はこの有り様でしたからいつも部屋干しでした。
今は降り注ぐ日ざしを独り占め。
これなら洗濯も楽しいよね。
真花ちゃんはここでもお手伝い。
家が変わって暮らしが変わり。
家族の関係まで変わってきています。
もうあの昭和を感じさせるレトロな天ぷら屋さんはありません。
そこにあるのはしゃれた店舗と快適な住空間。
家族の歴史はまたここからひとつずつ新しい家に刻まれていきます。
住まいから以前の面影は消えましたがより強くなったのが家族の絆。
何より一緒の時間が増えました。
さあ解体に鉄骨3階建の建物。
いったいいくらかかったんでしょう?古い家に持っていた不満を全部ぬぐい去り家族三世代気持よく同居できるドリームハウスを手に入れた渡辺さん一家。
工事では解体やお隣さんの壁の修復もありましたが…。
完成おめでとうございます!2015/04/25(土) 19:00〜20:54
テレビ大阪1
土曜スペシャル「完成!ドリームハウス」[字]
雨漏りにすきま風ぴゅーぴゅー!築88年下町、御徒町の激セマ天ぷら屋。解体に四苦八苦!下町人情あふれる老舗の難工事!憧れの3階建ては果たして完成するのか?
詳細情報
番組内容
雨漏りにすきま風ぴゅーぴゅー!築88年下町、御徒町の激セマ天ぷら屋。憧れの3階建ては家族の絆がさらに強くする!だが、隣の店がよりかかっている!?解体に四苦八苦!下町人情あふれる老舗の難工事!そして、下町の老舗というイメージを守りつつ、斬新でいて落ち着く店内。最新だけどどこか懐かしい落ち着く住居。下町の未来の暮らしがここに誕生。お楽しみに!
番組概要
「理想の家」を作るために夢を追求する「施主家族」と、あらゆる難題を解決する「建築家」。両者の共感や葛藤に迫りながら、その夢の結実した「家」が完成するまでを追う。
出演者
【立会人】渡辺正行
ジャンル :
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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