外苑前「フロリレージュ」(2015年4月)
2015.04.24 (Fri)
今年の1月、「フロリレージュ」旧店舗最後の訪問時に、食後挨拶のため店外へ出てきた川手料理長が、「自分のやりたかった事を表現する、全く新しい店になります」と、強い抱負と自信を語っていたその新店舗が、遂に3月19日にオープンした。
私は予約開始日に繋がらない電話をかけ続けて、やっと希望する日の夜席を確保、そして待ちに待った「その日」がやって来た(笑)。
新店舗の場所は国道246号の北側、地下鉄外苑前駅からラグビー場へ向かって上り、細い路地を左へ折れ直進、熊野神社隣に出来た新しい商業ビルの地下。ドライエリアに繋がる階段を降りると、オープン祝いの蘭の鉢植えが見える、入口が判らず文字どおり戸惑っていたら、自然と内側からドアが開いた(笑)。
新しく出来たレセプションで名前を告げ、ソファーで一旦待機した後にダイニングに案内される、これは国内外の高級店で採用している方式、茶会と同じく本席に入る前に客に「待つ」時間を与えて、別世界へのトリップを感じさせるやり方だ、狭かった旧店舗ではやりたくても無理だった(笑)。
不思議な自動ドア―が開くと、そこが噂に聞くメインダイニング、テーブルトップに石?を使ったカウンター席が、フルオープンキッチンを取り囲む「コ」の字型に配置されている。席数は16で、入店時は気付かなかったが左手奥に個室も備えている。席間は広く天井も高いので、少々圧迫感があった旧店とはかなり雰囲気が違う。
目の前では料理人達が作業を進めている、手前が配膳台とコールドセクション、奥にレンジ類を配置し、洗い場は客から見えない様ドア外にしている。場の第一印象は「川手工房」、そして料理がスタートすると「川手劇場」になった。
カウンター上には本日提供されるムニュが記された小さな紙が置いてある、料理名ではなくメッセージと食材名があり、それに沿って以下全13品の画像を紹介したい。

・投影 ハコベ 人参芋

・敬意 ホワイトアスパラ

・変遷 椎茸 鴨

・繋がり 烏賊 春菊

・駒場「ル・ルソール」の蒸しパン

・風土 筍 ヨード

・分かち合う 緑苺 (北海道産仔羊)

・本質 海老

・記憶 鱒 クレソン

・破壊と創造 スッポン 緑茶

・原点 仔兎

・用の美 日向夏 ヨモギ

・再生 ミルク

・不朽 卵 米

・茶 フレッシュハーブティー、煎茶、国産烏龍茶からの選択
舞台下手にあたる右奥のストーブ前には川手料理長、火を使う調理が済むと配膳台で料理人達がドレッセを開始、その皿を料理人が運んで料理の説明をする、私は未訪問だがこのやり方は「NOMA」が始めたと聞く、今までは裏方で作業していた料理人達が、舞台へ出てスポットを浴び台詞を発する事になる。
料理にはそれぞれテーマがある、例えば「分かち合う」と名付けた料理が出る前には、調理された仔羊肉の塊が登場し、「これを皆で分かち合います」と説明がある。「再生」では被災地岩手の牛乳を使用し、復興を祈念したとメッセージがあった。
全体に国産食材を多用し、和食的なテイストを感じる料理もある、前店を知っている客の中には「フランス料理から和食になった」と思う人は居ると思う、カトラリーが箸ならそう云っても通用するかも知れない、私自身の感想は「もう国やオリジンに拘らなくていいのでは?これは『川手料理』で充分完結している」だった(笑)。
各料理に触れると長くなるので、全体的な印象を記すに留めるが、一言で云うと「川手劇場の第二幕開場、なお上演時間は3時間半」(笑)。
シェークスピア時代の劇場みたいに、客は観ているだけでなく、その場の一員として参加する、それにはまず驚いて呆れる事(笑)、そして五感を研ぎ澄まして、料理人が発する直球メッセージを、身体の正面で受け取る必要がある。
客側からキッチンが劇場舞台に見えるなら、キッチン側からの客席の見え方を想像すると、丁度ダ・ヴィンチ描く「最後の晩餐」の構図になる筈、そうすると今日のイエスは誰だ、ペテロは誰だと当て嵌めるのも面白い、因みに私が座ったのはユダの席辺り、銀30枚は入っていないが、思わず財布を握りしめたくなった(笑)。
オープンキッチン内では、若い料理人達とサービス陣が見事な動きの連携を見せる、聞いて不愉快な叱責や命令口調の言葉は一切無く、これだけのオペレーションを僅か一ヶ月で作り上げた川手料理長は、今更ながら凄いなと感心する、「悪いオーケストラはない、悪い指揮者がいるだけだ」と云う有名な言葉を思い出した(笑)。
ディネの支払いは一人2万円以上、安い金額ではない、でも店を出た後の充足感を考えると決して高くはない、「少年の心と大人の財布を持った大人」にこそ行って欲しい店だ。
この記事を読んで新しい「フロリレージュ」に興味が湧いたら、今すぐ電話する事です、そして空いている日があったら迷わず予約を、もしその日に仕事が入っていたら、仕事はキャンセルすべきです、人生にはもっと大事なものがある筈(笑)。
ドリンクペアリング等まだ書きたい事はあるが、初回はこの位に留めたい、勿論次回の予約を入れたが、暫くは「フロリレージュ症候群」になりそうだ(笑)、私にとって今年の東京レストラン界最大の「事件」だと云える、もう今から次の訪問が待ち遠しい。
私は予約開始日に繋がらない電話をかけ続けて、やっと希望する日の夜席を確保、そして待ちに待った「その日」がやって来た(笑)。
新店舗の場所は国道246号の北側、地下鉄外苑前駅からラグビー場へ向かって上り、細い路地を左へ折れ直進、熊野神社隣に出来た新しい商業ビルの地下。ドライエリアに繋がる階段を降りると、オープン祝いの蘭の鉢植えが見える、入口が判らず文字どおり戸惑っていたら、自然と内側からドアが開いた(笑)。
新しく出来たレセプションで名前を告げ、ソファーで一旦待機した後にダイニングに案内される、これは国内外の高級店で採用している方式、茶会と同じく本席に入る前に客に「待つ」時間を与えて、別世界へのトリップを感じさせるやり方だ、狭かった旧店舗ではやりたくても無理だった(笑)。
不思議な自動ドア―が開くと、そこが噂に聞くメインダイニング、テーブルトップに石?を使ったカウンター席が、フルオープンキッチンを取り囲む「コ」の字型に配置されている。席数は16で、入店時は気付かなかったが左手奥に個室も備えている。席間は広く天井も高いので、少々圧迫感があった旧店とはかなり雰囲気が違う。
目の前では料理人達が作業を進めている、手前が配膳台とコールドセクション、奥にレンジ類を配置し、洗い場は客から見えない様ドア外にしている。場の第一印象は「川手工房」、そして料理がスタートすると「川手劇場」になった。
カウンター上には本日提供されるムニュが記された小さな紙が置いてある、料理名ではなくメッセージと食材名があり、それに沿って以下全13品の画像を紹介したい。
・投影 ハコベ 人参芋
・敬意 ホワイトアスパラ
・変遷 椎茸 鴨
・繋がり 烏賊 春菊
・駒場「ル・ルソール」の蒸しパン
・風土 筍 ヨード
・分かち合う 緑苺 (北海道産仔羊)
・本質 海老
・記憶 鱒 クレソン
・破壊と創造 スッポン 緑茶
・原点 仔兎
・用の美 日向夏 ヨモギ
・再生 ミルク
・不朽 卵 米
・茶 フレッシュハーブティー、煎茶、国産烏龍茶からの選択
舞台下手にあたる右奥のストーブ前には川手料理長、火を使う調理が済むと配膳台で料理人達がドレッセを開始、その皿を料理人が運んで料理の説明をする、私は未訪問だがこのやり方は「NOMA」が始めたと聞く、今までは裏方で作業していた料理人達が、舞台へ出てスポットを浴び台詞を発する事になる。
料理にはそれぞれテーマがある、例えば「分かち合う」と名付けた料理が出る前には、調理された仔羊肉の塊が登場し、「これを皆で分かち合います」と説明がある。「再生」では被災地岩手の牛乳を使用し、復興を祈念したとメッセージがあった。
全体に国産食材を多用し、和食的なテイストを感じる料理もある、前店を知っている客の中には「フランス料理から和食になった」と思う人は居ると思う、カトラリーが箸ならそう云っても通用するかも知れない、私自身の感想は「もう国やオリジンに拘らなくていいのでは?これは『川手料理』で充分完結している」だった(笑)。
各料理に触れると長くなるので、全体的な印象を記すに留めるが、一言で云うと「川手劇場の第二幕開場、なお上演時間は3時間半」(笑)。
シェークスピア時代の劇場みたいに、客は観ているだけでなく、その場の一員として参加する、それにはまず驚いて呆れる事(笑)、そして五感を研ぎ澄まして、料理人が発する直球メッセージを、身体の正面で受け取る必要がある。
客側からキッチンが劇場舞台に見えるなら、キッチン側からの客席の見え方を想像すると、丁度ダ・ヴィンチ描く「最後の晩餐」の構図になる筈、そうすると今日のイエスは誰だ、ペテロは誰だと当て嵌めるのも面白い、因みに私が座ったのはユダの席辺り、銀30枚は入っていないが、思わず財布を握りしめたくなった(笑)。
オープンキッチン内では、若い料理人達とサービス陣が見事な動きの連携を見せる、聞いて不愉快な叱責や命令口調の言葉は一切無く、これだけのオペレーションを僅か一ヶ月で作り上げた川手料理長は、今更ながら凄いなと感心する、「悪いオーケストラはない、悪い指揮者がいるだけだ」と云う有名な言葉を思い出した(笑)。
ディネの支払いは一人2万円以上、安い金額ではない、でも店を出た後の充足感を考えると決して高くはない、「少年の心と大人の財布を持った大人」にこそ行って欲しい店だ。
この記事を読んで新しい「フロリレージュ」に興味が湧いたら、今すぐ電話する事です、そして空いている日があったら迷わず予約を、もしその日に仕事が入っていたら、仕事はキャンセルすべきです、人生にはもっと大事なものがある筈(笑)。
ドリンクペアリング等まだ書きたい事はあるが、初回はこの位に留めたい、勿論次回の予約を入れたが、暫くは「フロリレージュ症候群」になりそうだ(笑)、私にとって今年の東京レストラン界最大の「事件」だと云える、もう今から次の訪問が待ち遠しい。
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