ネパール地震:中印が積極支援…「地域の盟主」アピール

毎日新聞 2015年04月26日 22時21分(最終更新 04月27日 09時37分)

ネパールへの出発を前に北京首都空港で整列する中国の救助隊メンバー=2015年4月26日、ロイター
ネパールへの出発を前に北京首都空港で整列する中国の救助隊メンバー=2015年4月26日、ロイター
ネパールの地震救援任務への出発を前にニューデリーの空港で気勢を上げるインド軍兵士=2015年4月26日、AP
ネパールの地震救援任務への出発を前にニューデリーの空港で気勢を上げるインド軍兵士=2015年4月26日、AP

 【カトマンズ金子淳、北京・工藤哲】ネパール大地震で、中国とインドが発生直後から救援隊を派遣するなど積極的な救助支援活動に乗り出している。被災者の中に自国民が含まれていることも理由だが、両国ともに「地域の盟主」として、存在感を示す狙いがありそうだ。

 インド民放NDTVなどによると、インド政府は25日夜から26日早朝にかけて、ネパールの被災者500人以上を空軍機でニューデリーに運んだ。また、26日には航空機10機をカトマンズに飛ばし、陸軍の医療チームやインフラ復旧の工兵部隊、救助隊、飲料水や食料などを空輸する。

 インドのモディ首相は26日のラジオ演説で、「インド国民12億5000万人はネパールの同胞だ。この危機の中で、我々はあなた方と共にいる」と、ネパール国民に呼びかけた。モディ首相はその上で、緊急を要する救出活動や、今後長期間にわたる支援活動を含め「できることはすべて行う」と宣言した。

 インドの隣国ネパールは、歴史的にインドの影響が強い国だった。しかし、近年は中国がダムや道路などのインフラ整備を積極的に行い、相対的にインドの力が落ちていた。

 中国はネパールだけでなくパキスタンやバングラデシュ、スリランカなどインド洋諸国で港湾を含むインフラ開発を進めており、インド側では「中国軍が使用できるインフラ拠点を整備し、インド包囲網を築こうとしている」との懸念を呼んできた。今回の地震を受け、インドは影響力挽回へ向けた好機と捉えている可能性がある。

 一方、中国の習近平国家主席や李克強首相は25日夜、医療隊員や地震の専門家ら62人と6匹の捜索犬などで組織される国際救援隊の派遣を決めた。また、中国中央テレビによると、発電機など2000万元(約3億8000万円)相当の支援物資を送る。

 中国政府の国際救援隊派遣は、東日本大震災(2011年)以来初の国外での大規模活動となる。ネパールは中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の加盟国で、中国は救援や復旧で大規模支援を打ち出すことで、ネパールでの存在感を高める狙いもある。26日には王毅外相が財政省や商務省、国家観光局、国家地震局の担当者を集めて緊急対策会議を開いた。

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