核軍縮:ケイン国連担当上級代表「保有国の取り組み不足」
毎日新聞 2015年04月24日 21時15分(最終更新 04月25日 00時48分)
【ニューヨーク草野和彦】ケイン国連軍縮担当上級代表が23日、国連本部で毎日新聞のインタビューに応じた。ケイン氏は、米国やロシアなど核保有国について「核軍縮に向けた(具体的な)戦略がない。極めて残念だ」と述べ、取り組み不足を非難。27日開幕の核拡散防止条約(NPT)再検討会議では、核保有国が具体的な核軍縮措置に前向きな姿勢を見せない限り、最終文書の採択は困難との認識を示した。
ケイン氏は国連の軍縮部門トップ。再検討会議は5年に1度で、今回は広島、長崎への原爆投下から70年、核軍縮と不拡散を義務付けたNPT発効から45年という節目の年での開催となる。だが「核廃絶に向かう兆しがまったくない」ため、非核保有国の不満は増大しているという。
核保有国は安全保障上の環境に応じた段階的な核軍縮を主張する。しかし、ケイン氏は方法論としては理解を示しながらも「一つ一つの段階が何を意味しているのか。概略や行程、スケジュールが欠けている」と批判した。
このことが核兵器の非人道性議論の高まりや、一部の非核保有国による核兵器禁止条約を望む声につながっており、核保有国は会議成功に向け「可能な限り短時間」で核廃絶に取り組む意思を見せる必要があるという。
ケイン氏は、核兵器禁止条約の交渉開始が「望ましい」としつつ、現状では核保有国が同意する見通しはなく、「核保有国が参加しない禁止条約は建設的とは思わない」とも述べ、非核保有国側に対話の継続を求めた。
また、オバマ米大統領が「核なき世界」を目指すと訴えた「プラハ演説」を受け、前向き感があった前回と異なり、現在は不安定なウクライナや中東情勢の影響で「(加盟国間の)政治レベルの不信感が強い」と指摘。会議はこうした地政学的状況の影響も受けるといい、今回は成功に向けた加盟国の一層の努力が必要と強調した。
日本についてケイン氏は、唯一の被爆国として核廃絶に向けた「極めて強い道徳的メッセージ性」を有する一方、欧州諸国同様、米国の「核の傘」の下にあることで、メッセージ性が「ややあいまいになる」と指摘。非核保有国の中でも「極めて特殊な立場」だと表現した。