米議会報告書:戦後70年「首相対応を注視」
毎日新聞 2015年04月25日 12時20分(最終更新 04月25日 12時28分)
【ワシントン西田進一郎】米議会調査局は23日、安倍晋三首相の訪米を前に日米関係の報告書をまとめた。首相訪米の焦点を「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉と日米同盟における安全保障協力の拡大になる」と解説。戦後70年で日本と近隣諸国との緊張関係が高まっているとし、「国際社会は首相の対応を注視するだろう」と指摘した。
◇近隣国との緊張懸念
報告書は、2012年と14年の選挙で安倍首相と自民党が勝ったことで、政権基盤は強固になったと分析。経済の再生や日米同盟強化への取り組みを強めることを可能にしているとした。一方、歴史問題についての対応が近隣諸国との緊張を高め、米国の国益を損なうことへの懸念を指摘。「首相は日米同盟に肯定的な影響と否定的な影響を与え続けるだろう」と分析した。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については、移設に反対する翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事が14年に当選したことなどを挙げ、「沖縄の政治環境により、日本政府が移設を計画通り実施するのが難しくなる可能性がある」と懸念を示した。
報告書は議会調査局が議員の活動を支援するためまとめる資料。日米関係の報告書は数カ月ごとに更新される。