大阪都構想:住民投票を告示 5月17日に投開票
毎日新聞 2015年04月27日 10時52分(最終更新 04月27日 13時03分)
大阪市を解体して五つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を決める大阪市民対象の住民投票が、27日告示された。政令指定都市の廃止を問う全国初の住民投票で、5月17日に投開票される。大阪市内の有権者約211万人が対象で、過去最大規模の住民投票になる。投票率に関係なく投票結果は成立し、有効投票のうち賛成票が反対票を1票でも上回れば、2017年4月に大阪市を廃止し、公選区長と区議会をそれぞれ持つ特別区に分割することが確定する。
橋下徹・大阪市長(大阪維新の会代表)が実現を目指す看板政策が市民の審判を受ける。
今回の住民投票は、大都市地域特別区設置法(大都市法)に基づいて実施され、結果には法的拘束力が生じる。公職選挙法が一部準用され、28日からは期日前・不在者投票も始まる。
この日は午前8時すぎ、市役所の掲示板に住民投票実施を告示する書面が張り出された。各党は午前中から街頭に立ち、賛成・反対の立場からアピールした。維新の松井一郎幹事長(大阪府知事)は「二重行政を根本からできない仕組みに作り変える」と呼びかけ、自民市議団の柳本顕幹事長は「大阪市の歴史と伝統と誇り、自由と民主主義を守る戦いだ」と訴えた。
都構想は、橋下市長が大阪府知事時代の2010年1月、府と市の「二重行政解消」を目的に提唱。政令市を廃止し特別区を設置する手続きを定めた大都市法が12年に成立した。
都構想を巡っては、維新と、反対する他党が激しく対立してきた。橋下市長は「府と市の役割分担ができていない。役所を一から作り直す」と訴え、自民、民主、共産など反対する各党は「単なる大阪市の解体に過ぎない。東京のまねをして大阪の繁栄などありえない」などと批判している。公明党は「最後は住民が決めるべきだ」などとして住民投票の実施は容認したが、制度設計の中身自体には反対している。
賛成多数で都構想への移行が決まっても、府の名称を「大阪都」とするには、新たな法整備が必要になる。維新は住民投票で賛成多数だった場合、国に法改正を働きかける方針。
毎日新聞社など各社の世論調査では、都構想への市民の賛否は拮抗(きっこう)している。【山下貴史、熊谷豪】
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