都構想住民投票告示:選択肢、伝える努力を
毎日新聞 2015年04月27日 13時04分(最終更新 04月27日 13時13分)
大阪都構想の賛否を問う大阪市民対象の住民投票が27日、告示された。横浜市の「特別自治市」や名古屋市の「中京都」、新潟市の「新潟州」など、大都市の改革についてはさまざまな構想が持ち上がり、議論されてきた。西日本最大の政令指定都市、大阪市を存続させるか、廃止するか、その判断を迫る今回の住民投票は、大都市のあり方について、一つの方向性を示すものだと位置づけられる。
しかし、制度論が中心となる協定書の内容は複雑で、かつ、賛否の主張は真っ向から対立している。毎日新聞が今月4、5日に実施した世論調査では「大阪都構想」の内容について「よく理解している」「ある程度理解している」を合わせても53%にとどまっている。今回の住民投票で都構想が実現するということを「知っている」が71%なのに対し、「知らない」も29%いた。それだけ都構想への理解は高くない。
今月14日から26日まで連日住民説明会が開かれたが、賛成・反対の意見を双方ぶつけ合う討論の場はほとんど実現していない。市民は難しい選択を迫られる。
今回は、市町村合併の住民投票などとは異なり、結果がそのまま制度変更につながる。投票まで3週間。賛成派・反対派の政党とも、今後もその主張をわかりやすく市民に伝える努力をすべきだ。そして市民も、自分の暮らすまちのあり方を考えなければならない。今回の住民投票の主役は、賛成・反対を唱える政党ではなく、あくまで市民一人一人だ。【石川隆宣】