印刷ページ

「世界で孤立し自滅する日本」

鈴置:そこです。「無限」という言葉に韓国人の本音がよく現れています。村上春樹氏は無限に謝罪しよう、とは主張していません。「相手が納得するまで」と言っているのですが、韓国人は納得するつもりは全くないので「謝罪は無限に続く」ということになるのです。

 もっとも、それとは正反対の「反日限界論」も登場しました。4月21日にヴァンダービルド氏が「残念ながら『反日祭り』は終わった」(韓国語)という記事を書いています。要点を訳します。

  • これまで米国は韓国の反日感情に考慮して、歴史問題については日本に多くの圧力をかけてきた。「反日」は対国内、対日、対米の3つの面で効果を発揮してきた。
  • しかし、国内用を除きもう、効果がなくなったことがはっきりした。韓国の反日に日本が露骨に対抗し始め、米国も問題視し始めたからだ。その背景には中国の拡張的な動きがある。
  • 世の中が根本的に変わっているのに、韓国人は全く気づいていない。なぜなら韓国メディアは依然としてハトヤマ、ムラヤマ、カン・ナオトのような日本でも宇宙人扱いされる人々の例外的な意見ばかりを載せているからだ。
  • 「日本に一針」式の記事に慣れた韓国人は世界が「反日」で満ち溢れ、日本が孤立し自滅の道を歩んでいると思い込んでいる。
  • 国際的な勢力均衡を崩し始めた中国を懸念する米日が、中国と協力して反日を固守する韓国をどう見るだろうか。私たちは「反日」を感情次元ではなく、国の安全保障の観点からコントロールすべきだ。

日本を許す米国は許さない

「謝罪や反日は無限どころか、そろそろ限界だぞ」という意見ですね。

鈴置:そうです。ここまではっきりとは書かないけれど「日本との関係を改善すべきだ」との意見が韓国紙に相次ぎ載るようになりました。

 「慰安婦」で国を挙げて頑張っても、思い通りに米国を動かせない。それどころか、韓国を置き去りにして日米関係は深まる一方だからです。

 それに4月22日、インドネシアのバンドンで習近平主席も安倍首相と会うなど、中国も日本との関係改善に動きました。

 「日本を孤立させた」と政府やメディアが言うので喝采を叫んでいたら、実は韓国が孤立していたではないか――と韓国人も朴槿恵外交を疑い始めたのです。

 しかし一方では、東亜日報がいみじくも書いたように、韓国では「無限謝罪論」が常識です。

 気になる記事があります。韓国人の心の奥底を覗いては日本語で解いてみせるシンシアリー氏が「韓国は、安倍談話をきっかけに、中国との関係を深めることになるでしょう」と断言したのです。

あのシンシアリー氏が断言したのですか。

反日を捨てられない韓国は中国に行く

鈴置:だから不気味なのです。4月10日の「共通点と、皮肉な矛盾〜儒教とプロテスタンティズム〜」と言う長いブログの、最後のくだりです。

 過去よりも現在が大事な米国と、過去の「恨(ハン)」を永遠に引きずる韓国は、いつかは価値観が衝突する。米国が日本の過去を許せば、反日を捨てられない韓国人は米国を離れ中国に向かう――との見立てです。

結局、韓国は「反日共闘」のためにも中国側に行くのか、米国との同盟を維持するために「反日」を自制するのか、どちらなのでしょうか。

鈴置:今時点では判断できません。1つ言えることは、どちらに向かうにしろそれに必要な指導力が朴槿恵政権にあるとは思えないことです。

バックナンバー>>一覧

関連記事

コメント

参考度
お薦め度
投票結果

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事