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 26日に投票された市区町村議選。女性議員が1人もいないまちで、女性たちが「ゼロ」の壁に挑んだ。

 千葉県勝浦市議選(定数16)では、1958年の市制移行後、初の女性議員が2人誕生した。

 元小学校長の照川由美子氏(62)は、若い教員がいきいきと働ける学校づくりなどを訴え、候補者17人中トップで初当選した。当選を決めた後、事務所で「子どもたちが男とか女とかに縛られない感覚を養えるよう、できることをすぐ始めたい」と語った。

 定年退職後、地域の子どもたちにチョウが羽化する様子を見せるボランティア活動などをしていた。友人たちに立候補を促されたのは8カ月前。父親(89)は「女が前に出るとは」と反対したが、自治会長の夫三郎さん(65)が説得。最終的に父親も「三郎がいいなら」と納得してくれた。

 市議会事務局によると、1955年に4町村が合併した旧勝浦町時代も含めて女性議員はいなかった。立候補後、知人らに「自治会長さんが(市議選に)出るんだよね」と夫と勘違いされたことも。「まずは私が頑張る。後に続く女性が出てきてほしい」

 元食料品販売業の久我恵子氏(52)も当選を決め、事務所で支持者ら約30人に祝福された。「学校の統廃合で地域間格差が生じないよう、皆さんの声を市政に届ける」と支持を訴えた。昨年、長女が通っていた市立中学校の校庭を縮小する計画を市が発表したことに「上からの一方的なやり方だ」と反発。高校生になった子ども2人の育児が一段落したこともあり立候補した。「女性がいないとだめだよね」。そう言ってくれる人もいたが、「夫や父の付き合いで応援する人が決まっている」と話す知人女性もいたという。

 統一選の後半戦で議員選が告示された668市町村のうち、朝日新聞の全国自治体議会アンケート(1月1日時点)で「女性ゼロ」だったのは157市町村。うち41市町村で計47人の女性が立ち、無投票当選6人を含む39人が当選した。

 青森県は40市町村のうち21町村が女性議員不在で、「女性ゼロ」議会の割合が都道府県で最も高かった。今回、4町村で女性がゼロ解消に挑み、深浦町議選(定数12)では船舶販売事務員の斉藤のぞみ氏(42)が初当選。31年ぶりに女性町議が誕生した。

 蓬田村議選(定数8)では、家族で自動車修理工場などを営む稲葉聡子氏(59)が初の女性村議を目指したが及ばなかった。「準備不足。でも、女性議員も必要だという声を多く聞いた。今回の経験をバネにしたい」。4年前は夫や長男に「仕事に支障が出る」と反対されたが、今回は「女性の視点を生かして人口減の村を活性化したい」と家族を押し切って立候補した。長男の妻美香さん(32)と2人で手作りののぼりと風船をつけた自転車に乗って村内を回った。(壱田和華子、岡林佐和)

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