「ヤフーショッピング」などに出店していた家電通販サイト「まいど」(閉鎖)の運営会社「ディーケイシー」(東京、DKC)の社員がまいどに家電を架空注文し、買い物客に還元される換金可能なヤフーポイントを大量に詐取していた疑惑が3月、産経新聞の報道で浮上した。ヤフーが警視庁に被害を相談、詐欺罪での告訴の準備を進めているが、DKCをめぐってはポイント詐取だけでなく、少なくとも数億円の資金流用疑惑も判明している。架空発注によって売上高を水増しした結果、大手銀行がこぞって多額の「運転資金」を融資。これらの資金の多くが使途不明になっているのだ。DKCは廃業する意向を取引銀行に伝えており、関係者は頭を抱えている。(南昇平)
昨年10月下旬、大阪市内のオフィスビルの一室。関係者から連絡を受けた記者が訪ねると、緊張した面持ちの男性が関係者とともにテーブルに就いていた。
男性はDKCの元社員。ヤフーポイント詐取の内部告発を決意し、信用できる関係者を頼ってはるばる大阪まで足を運んできたという。
簡単に自己紹介を済ませると、慎重に言葉を選びながら、ポイントを詐取する詳細な手口について語り始めた。
ヤフーショッピングで買い物客に還元されるポイントは通常、まいどをはじめとする出店者の負担だ。しかし、ヤフーが随時開催しているキャンペーン中はポイント還元率を5〜10倍にし、ヤフーが増額分を負担する仕組みになっている。
DKCはこの仕組みを悪用した。
元社員によると、複数のヤフーIDを用いて、キャンペーン中にまいどへ大量の商品を注文していたという。ヤフーは注文額は把握できるものの、実際に代金決済と商品の受け渡しが行われたかどうかは確認できない。
このため、DKCが社員に架空注文を実行させることで、増額分ポイントを“ぬれ手であわ”で入手できるというわけだ。
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